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峠に棲む鬼「イラスト分析16」・・・正常位1 [峠]

さて、本日からは「峠に棲む鬼」東スポ版で使用されている「正常位」イラストを順次ご紹介したいと思います。

西村先生は、「セックスにおける基本体位は後背位」と思われていたようで、それ以外の体位は、作中ではあまり使われていません。
事実、「峠に棲む鬼」徳間文庫版の下巻巻末の「俳優 原田芳雄氏との対談」でも、「これだけは頑固でいこうと思って(笑)。」と先生は頑固におっしゃっています(笑)。
そのため、本作においても後背位以外の体位イラストを見つけることが難しいのですが、今回は、「第六章 虜囚」の93話のイラストをご紹介したいと思います。

本イラストも、今年の3月10日に一度、「逝き貌」としてご紹介したのですが、東スポ版における「正常位」ベスト1と思われ、改めてご紹介する次第です。

3月10日では、

②峠に棲む鬼「東スポ版」第93回 「第六章 虜囚」
・・・「男は猿に犯させるといった。麻紀子が嘆願すると、ベッドへ引き倒した」の説明コピーとともに掲載されている「男に正常位で犯されて貌をのけぞらしている麻紀子」イラスト。
このイラストでの麻紀子は「両手でシーツを掴み、頭がベッドから床に落ちそうになっている」。
初見では「男に激しく突かれてベッドから落ちそうになっている」のかと思ったが、この場面では、「男に正常位で犯された麻紀子が絶頂を極め、失神している」ことが記述されているため、逝った瞬間か、あるいは逝っている最中の麻紀子の様子を表しているものと推測される。
上記①と異なり、逝き貌と裸身を同時にみせている、「男が麻紀子の両膝を持ち、足を拡げさせ犯している」構図が秀逸である。

と述べさせて頂きました。

改めてご紹介しますと、本イラストは「関東製薬の誘拐組織にふたたび拉致監禁された逢魔麻紀子が、十数人の組織員に来る日も来る日も、凌辱されつづけている場面」になります。
この日も、麻紀子は組織員に性器を弄ばれてから、正常位で犯されます。
イラストはその凌辱された瞬間を描いたものです。

この少し前に、麻紀子は同じ組織員に後背位で犯され、絶頂に昇りつめたばかりでした。
男の男根が大きくてすばらしいと泣きながら昇りつめた麻紀子でしたが、二度目のセックスの正常位で、今度は失神してしまいます。


男が乳房を揉みはじめた。
やがて、男は完全に勃起した。ゆっくりと、麻紀子に乗ってきた。麻紀子は足を拡げて、迎え入れた。そうしただけで、何か熱い棒に似たものが脳裡をかすめた。
男はゆっくり、焦らずに腰を使いはじめた。股間を、火の棒が灼いていた。
「ああ、ご主人さまッ」
麻紀子は、男の胸にしがみついた。
わけがわからなくなりはじめていた。男の一突きのたびにすーと気が遠くなりそうな快感が湧いて出るのだった。
男は同じリズムを保った。小さな気泡がつぎつぎと男の男根から生じて麻紀子を頂点に誘っている。気泡は脳裡の暗い海面に浮かび出て、つぎつぎと、弾け散った。
その速度が速くなってゆく。
気泡は際限もなく湧いた。
麻紀子は悶絶した。

の場面です。

よほど、この男の男根が気に入ったのでしょう。
あるいは、十二、三人に犯されたところで、体が凌辱に馴れてきたのかもしれません(その前の男たちを入れると二十人ほどか)。
この男以降の麻紀子は、犯されるたびに、快感を感じるようになります。
そして、「大きい、すばらしい」と犯されて快感を訴えているように、麻紀子は大きくて逞しい男根が好きであることがわかります。

こののち、麻紀子は男の睾丸を握りつぶし、入手した棒を使って脱走を図りますが、再度、中垣に捕らえられてしまいます。
そして、それ以降、麻紀子は自力で脱出を試みることも、棒を使うことも控えてしまいます。つぎに棒を駆使して闘うのは、なんとエンディングに近くなってようやくです。
この麻紀子の豹変ぶりはいったいどうしたことでしょう(ビフォーアフター風に)。
一つの推理としては、「組織員に犯され感じた快感が忘れられない」、あるいは、「失神するほどの快感を与えられて、男根が大好きになった」等の理由により、麻紀子が心底から奴隷に堕ちることになったと考えることもできるわけです。

それでは、なぜ、このときの麻紀子は男たちを半殺しにしてまでも脱走を図ったのか。
大好きな「大きい男根」のご主人さまを、棒で叩きのめしたのでしょう。

設定をみてみると、麻紀子はとてもプライドの高い女であることがわかります。
例えばそれは、初めて真庭とセックスをした夜の、そのあしらい方をみてもわかります。麻紀子は、自分の望み通りに行動しない男は「否定・無視・放置」するのです。
それほどプライド高い麻紀子が、実は自分が「男根好き、犯されるのが好き(マゾヒストだった)」という事実に直面し、それを無理に否定するがために起こした行動が、この脱走劇だったとは考えられないでしょうか(私ともあろう女が、そんなはずはない→現実を受け入れない→現実逃避→現実破壊→あれ?上手くすれば脱出できるかも?)。

「麻紀子は男根をみた。萎縮していた。みつめていると、急に憎悪が湧いた。どこから湧いたのか、麻紀子にも唐突すぎてわからなかった。男の奴隷になって性欲を体から貪婪に絞りだしたせいかもしれなかった。」

の場面がそれです。

しかし、麻紀子はすぐに中垣に捕らえられ(「奥義を究めた武芸者」のプライドすらズタズタにされ)、反抗してもこの男には敵わないのだと思い知らされます。
棒で敗れ、はげしい平手打ちの折檻を受けて、「男根が好きなこと」も、「犯されるのが好きなこと」も、「自分が実はマゾヒストだった」ということも、ようやく受け入れるのです。
「真実」を受け入れたことで精神が安定したのでしょう。以降は、麻紀子は人が変わったように大人しくなります。

唇を噛んで、耐えた。麻紀子はおそれていた。快感が訪れないことを、祈った。いつ殺されるかわからないが、死ぬ日までこうして、男の好きにされる。屈辱に耐えながら、その屈辱から喜びを得る女の体が、あさましかった。
脳裡の暗い海に何かが訪れつつある気配を、麻紀子はみつめていた。

の場面がそれを象徴的に表現しています。
そして、以降は自分からは決して反抗せず、主人たちの命令には絶対服従するようになります(坂本のときは、麻紀子自身が言っているように、目覚めてしまった肉欲に勝てなかったのでしょう。麻紀子をそんな女に調教したのは、他ならぬ倉田恵治たち主人なのですが・・・)。

だが、逆らえなかった。逆らっても無意味だった。棒がなければ、男の力には勝てはしないのだった。どれもこれも殺し屋じみた男たちだからなおさらだった。
いずれは殺されるーそれは、わかっていた。

という心情は、以降の麻紀子をずっと支配しつづけるのです。
その意味では、本作の転換点でもあり、麻紀子の性癖の転換点になったこの正常位イラストは非常な力作として描かれています。
Scan10091-1.jpg

余談ですが、生みの親である西村先生の意向に逆らい(笑)、この組織員はなぜ正常位で麻紀子を犯したのでしょう。
「さまざまな体位で犯された」といった表現が作中に使われていますが、具体的な描写をすることで、表現の幅を持たせたかったのでないかと、個人的には考えています。
また、読者サービスという点でも、見逃せないことろです。
正常位の責めで麻紀子が失神したあと、男は体位を変え、後背位ではてていますので、「最後はきっちり寿行流で抑えて」います。


峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
  • メディア: -



峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
  • メディア: -


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