峠に棲む鬼「イラスト分析22」・・・麻紀子は処女だったのか(後編) [峠]
<独自の解釈なので、不要な方は以下をご覧にならないことをお奨め致します>
さて、本題に戻ります。
⑤
男にとって魅力のない裸身ではないとの自負は、麻紀子にある。すらりと伸びた肢体であった。乳房も尻も豊かだ。
(上巻 第二章ライター 2項より)
と、麻紀子が考えているように、これは自惚れではなく、二十五年間、おのれの美しさを磨き上げ、その結果、男たちの視線を浴び、しかし、それだけで済むはずもなく、おそらくさまざまな男たちとの経験を積んできたことで、このような自負(プライド)を持つように至ったのでしょう。
では実際のところ、麻紀子の男性経験はどうだったのでしょう。
⑥
「ええ、命令通りになります」
麻紀子はうなじを染めた。この真庭にならこの場に押し倒されてもかまわないと思った。真庭の手が肩にかかるのを待った。
きらめくような何かが脳裡を走った。
(上巻 第二章ライター 2項において)
について、まず考えてみます。
⑥ですが「麻紀子が真庭とセックスがしたい」と、明確に考えた場面です。
「きらめくような何かが脳裡を走り」は、その瞬間、麻紀子が濡れてしまったとも、とることが出来ます。
「男の命令通りになることに喜びを感じる」性癖を、麻紀子自身に表明させ、「麻紀子はマゾ」だと、読者に明らかにしました。
真庭との、セックスの期待に濡れたということは、その気持ちよさを想像できるだけの経験がある、しかもひょっとすると、SMの経験すらあることを、読者に想像させる場面がここです。
このほかに、さらに六カ所、「麻紀子がSM好き」であることを読者に想起させる記述があります。
⑦、⑧、⑨、⑩、⑪、⑫の記述です。
⑦
「また縛って、後ろから犯すの」
「そうしてほしければね」
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)
⑧
「後ろ手に縛って、犯してもいいわ」
細い声だった。
真庭は起きて手錠を持ち出した。麻紀子を転がして後ろ手に手錠をはめた。そうやっておいて、麻紀子の尻をかかげさせた。麻紀子は逆らわなかった。真庭は豊かな尻の割れ目に唇をつけた、しばらく舌で弄んだあとで、掌を入れた。麻紀子のはひどく濡れていた。かすかなうめき声がきこえた。
「犯してッ、もっと辱めてッ」
小さな叫びを麻紀子はあげた。
悪夢は麻紀子の脳裡にも棲みついていることを、真庭は知った。
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)
⑨
蹴りながら、麻紀子は終生、中垣の奴隷で過ごすことになりそうな予感をおぼえていた。それでもよいという気がした。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項より)
⑩
麻紀子は自分を戦士だと思っていた。報復の闘いに打って出た戦士であった。とらわれて奴隷にされるのは定めの一つとしてしかたがないと思っていた。
(上巻 第八章 虜囚 4項より)
⑪
人間は男も女も究極的にはマゾヒストなのかもしれなかった。
(上巻 第九章 孤島 2項より)
⑫
スローモーな突きたてがはじまった。
麻紀子は肘をついた。
快感が、体を侵しはじめていた。
それは抑えることのできないものであった。抑えも耐えもできない快感が、性器を中心にして、湧き上がっていた。脳裡にも黒い炎が燃え転がりはじめていた。ああッ、ああッ、と麻紀子は叫んでいた。女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。
その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
(下巻 第十二章 西独 4項より
⑦⑧についてですが、通常、この場面の解釈としてあげられるのは、「真庭と麻紀子それぞれが、中垣たちに受けた凌辱を再現することで、わずかでも心を癒そう(薄めよう)としている」というものです。
実際、真庭は、「すこしでも中和できる方法」として、解放直後の麻紀子を犯しています。
中垣たち組織員に縛られて犯されたことで、このときに麻紀子のマゾの血が目覚めた可能性がないとは言えませんが、⑩にあるように麻紀子は初めから「とらえられたら、男たちの奴隷になる」という発想を持っていました。
そのような発想を持つと言うことは、潜在意識では「男の奴隷になりたいと考えている」と思われ、「殺し屋じみた男たちが、とらえた女をどう扱うのか」をきちんと理解しているということでもあり、さらには、「どのように振る舞えば(刺激すれば)、男のS性を引き出せるか」を麻紀子自身が理解している(中垣に弄ばれて、泪をこぼした場面)、ということです。
つまりは「麻紀子には、マゾとしてのSM経験がある」という解釈も充分に成り立つのではないでしょうか。
そして、西村先生は⑪⑫において、麻紀子自らに、おのれが「マゾヒストである」「奴隷である」と語らせています。
⑥~⑩に、⑪⑫を加えた描写により、「逢魔麻紀子はマゾヒストである」=「SMが好き」=「SMの経験がある」と解釈することが、自然な流れであると思います。
⑬
「いまはおまえの体を賞味しよう。すばらしい体だ。充分に愉しませてもらうぜ」
「いいわ」
「いい覚悟だ」
(上巻 第二章ライター 4項において)
つぎに⑬ですが、奥義を究めた武術家といえど、若い女性ですから、初めてのときは「好きな男」としたいと考えるのではないでしょうか。
仮にそれがこのときだとしたら、凌辱されるというのに、処女のくせにあまりにも堂々とし過ぎています。
「命が奪われそうになっているから諦めた」ということもあり得なくはないでしょうが、なにものをも恐れぬこの態度は、逆に考えれば、麻紀子には男性経験が(ひょっとすると、膣内射精の経験すら)あると考えるのが自然な流れです。
このときは潜入調査に臨んでいたわけですから、最悪のパターンとして、とらえられ凌辱されることを想定し、避妊薬を服用していたのかもしれません。
(ほとんどの寿行作品では、凌辱される側の女性に避妊や妊娠という発想が無いのですが、ここでは「ひとりの女性としてどうか?」という観点で、考察しています)
この場合、ここは「いままで大勢の男を経験してきたし、こんなことぐらい平気よ(大したことじゃない)」という、虚勢かもしれませんが、男性経験という裏付けがあっての、自ら覚悟して乗り込んできた態度のあらわれだと推測することができるでしょう。
以上の事柄から、総合して判断した結果、麻紀子は「処女だから痛かった」のではなく、単に「乱暴に犯されることに」、「はげしい痛み」が生じたとの結論が導き出されました。
ろくな愛撫もせず、雰囲気が全く盛り上がらない状況で、無理な体位でいきなり挿入されれば、どんな女性でも痛いのは当然でしょう。
その上、痛かったもう一つの理由として推測できる記述があります。
⑭
屹立した男根があった。
麻紀子は引き起こされた。
目の前に中垣の男根があった。中垣が頭髪を掴んで貌を引き寄せた。口を開かざるを得なかった。中垣は何かを割るように突き入れてきた。口が裂けそうだった。
中垣は頭髪を放さなかった。掴みしめたまま、腰を使った。
泪が出た。呼吸困難にもなっていた。なんどか、吐きかけた。喉まで届いていた。
(上巻 第二章ライター 4項より)
よくある黒人の男根にあるような明確な記述こそ無いものの、中垣は巨根だったのです。
巨根の中垣に無理に犯され、はげしい痛みを感じたのでしょう。
結論ですが、あくまで個人的見解ではありますが、「麻紀子には二十五歳なりの男性経験があった」と考えています。
しかも世間一般的な二十五歳ではなく、お誘いや誘惑が多かった分、絶世の美女なりの相当の経験を積んでいたといえるのではないでしょうか。
まとめてみます。
(1) 麻紀子はスタイル抜群の絶世の美女で、平時は女王様気質の性格もあって、男にモテモテだ。
(2) 麻紀子は普通の二十五歳の女性より、多くの性体験をしている。
(3) 麻紀子は名器であるが故に、いままで、挿入から快感をあまり得ていなかった。
(4) しかし、セックスには興味があったので、性の快感を得るためか、あるいは好奇心からか、SMに傾倒していった。
(5) 麻紀子はマゾヒストだ。
(6) 中垣は実は巨根だ。
(7) 麻紀子は名器なので、膣が締まっている。
(8) 中垣には無理な体位で、はげしく犯された。
(9) (6)(7)(8)により、麻紀子は犯されたときに、はげしい痛みを感じた。
(10) 中垣に屈辱的に逝かされて、体が男に目覚めはじめた。
(11) はじめは、中垣の巨根は痛いだけだったが、馴れると巨根が好きになった。
(12) 一日に何人もの男に犯され、そのうち、体が男根に馴れていった。
(13) もともとSMが好きだったこともあり、男の性の奴隷にされることを自然と受け入れた。
イラストは、東スポ版「峠に棲む鬼」第38、39回に掲載された「関東製薬の組織に拉致された逢魔麻紀子が、中垣に凌辱されたときに、いかされた」場面を描いたものになります。
麻紀子の逝き貌を描いた数少ないモノで、安岡旦先生の傑作です。
さて、本題に戻ります。
⑤
男にとって魅力のない裸身ではないとの自負は、麻紀子にある。すらりと伸びた肢体であった。乳房も尻も豊かだ。
(上巻 第二章ライター 2項より)
と、麻紀子が考えているように、これは自惚れではなく、二十五年間、おのれの美しさを磨き上げ、その結果、男たちの視線を浴び、しかし、それだけで済むはずもなく、おそらくさまざまな男たちとの経験を積んできたことで、このような自負(プライド)を持つように至ったのでしょう。
では実際のところ、麻紀子の男性経験はどうだったのでしょう。
⑥
「ええ、命令通りになります」
麻紀子はうなじを染めた。この真庭にならこの場に押し倒されてもかまわないと思った。真庭の手が肩にかかるのを待った。
きらめくような何かが脳裡を走った。
(上巻 第二章ライター 2項において)
について、まず考えてみます。
⑥ですが「麻紀子が真庭とセックスがしたい」と、明確に考えた場面です。
「きらめくような何かが脳裡を走り」は、その瞬間、麻紀子が濡れてしまったとも、とることが出来ます。
「男の命令通りになることに喜びを感じる」性癖を、麻紀子自身に表明させ、「麻紀子はマゾ」だと、読者に明らかにしました。
真庭との、セックスの期待に濡れたということは、その気持ちよさを想像できるだけの経験がある、しかもひょっとすると、SMの経験すらあることを、読者に想像させる場面がここです。
このほかに、さらに六カ所、「麻紀子がSM好き」であることを読者に想起させる記述があります。
⑦、⑧、⑨、⑩、⑪、⑫の記述です。
⑦
「また縛って、後ろから犯すの」
「そうしてほしければね」
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)
⑧
「後ろ手に縛って、犯してもいいわ」
細い声だった。
真庭は起きて手錠を持ち出した。麻紀子を転がして後ろ手に手錠をはめた。そうやっておいて、麻紀子の尻をかかげさせた。麻紀子は逆らわなかった。真庭は豊かな尻の割れ目に唇をつけた、しばらく舌で弄んだあとで、掌を入れた。麻紀子のはひどく濡れていた。かすかなうめき声がきこえた。
「犯してッ、もっと辱めてッ」
小さな叫びを麻紀子はあげた。
悪夢は麻紀子の脳裡にも棲みついていることを、真庭は知った。
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)
⑨
蹴りながら、麻紀子は終生、中垣の奴隷で過ごすことになりそうな予感をおぼえていた。それでもよいという気がした。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項より)
⑩
麻紀子は自分を戦士だと思っていた。報復の闘いに打って出た戦士であった。とらわれて奴隷にされるのは定めの一つとしてしかたがないと思っていた。
(上巻 第八章 虜囚 4項より)
⑪
人間は男も女も究極的にはマゾヒストなのかもしれなかった。
(上巻 第九章 孤島 2項より)
⑫
スローモーな突きたてがはじまった。
麻紀子は肘をついた。
快感が、体を侵しはじめていた。
それは抑えることのできないものであった。抑えも耐えもできない快感が、性器を中心にして、湧き上がっていた。脳裡にも黒い炎が燃え転がりはじめていた。ああッ、ああッ、と麻紀子は叫んでいた。女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。
その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
(下巻 第十二章 西独 4項より
⑦⑧についてですが、通常、この場面の解釈としてあげられるのは、「真庭と麻紀子それぞれが、中垣たちに受けた凌辱を再現することで、わずかでも心を癒そう(薄めよう)としている」というものです。
実際、真庭は、「すこしでも中和できる方法」として、解放直後の麻紀子を犯しています。
中垣たち組織員に縛られて犯されたことで、このときに麻紀子のマゾの血が目覚めた可能性がないとは言えませんが、⑩にあるように麻紀子は初めから「とらえられたら、男たちの奴隷になる」という発想を持っていました。
そのような発想を持つと言うことは、潜在意識では「男の奴隷になりたいと考えている」と思われ、「殺し屋じみた男たちが、とらえた女をどう扱うのか」をきちんと理解しているということでもあり、さらには、「どのように振る舞えば(刺激すれば)、男のS性を引き出せるか」を麻紀子自身が理解している(中垣に弄ばれて、泪をこぼした場面)、ということです。
つまりは「麻紀子には、マゾとしてのSM経験がある」という解釈も充分に成り立つのではないでしょうか。
そして、西村先生は⑪⑫において、麻紀子自らに、おのれが「マゾヒストである」「奴隷である」と語らせています。
⑥~⑩に、⑪⑫を加えた描写により、「逢魔麻紀子はマゾヒストである」=「SMが好き」=「SMの経験がある」と解釈することが、自然な流れであると思います。
⑬
「いまはおまえの体を賞味しよう。すばらしい体だ。充分に愉しませてもらうぜ」
「いいわ」
「いい覚悟だ」
(上巻 第二章ライター 4項において)
つぎに⑬ですが、奥義を究めた武術家といえど、若い女性ですから、初めてのときは「好きな男」としたいと考えるのではないでしょうか。
仮にそれがこのときだとしたら、凌辱されるというのに、処女のくせにあまりにも堂々とし過ぎています。
「命が奪われそうになっているから諦めた」ということもあり得なくはないでしょうが、なにものをも恐れぬこの態度は、逆に考えれば、麻紀子には男性経験が(ひょっとすると、膣内射精の経験すら)あると考えるのが自然な流れです。
このときは潜入調査に臨んでいたわけですから、最悪のパターンとして、とらえられ凌辱されることを想定し、避妊薬を服用していたのかもしれません。
(ほとんどの寿行作品では、凌辱される側の女性に避妊や妊娠という発想が無いのですが、ここでは「ひとりの女性としてどうか?」という観点で、考察しています)
この場合、ここは「いままで大勢の男を経験してきたし、こんなことぐらい平気よ(大したことじゃない)」という、虚勢かもしれませんが、男性経験という裏付けがあっての、自ら覚悟して乗り込んできた態度のあらわれだと推測することができるでしょう。
以上の事柄から、総合して判断した結果、麻紀子は「処女だから痛かった」のではなく、単に「乱暴に犯されることに」、「はげしい痛み」が生じたとの結論が導き出されました。
ろくな愛撫もせず、雰囲気が全く盛り上がらない状況で、無理な体位でいきなり挿入されれば、どんな女性でも痛いのは当然でしょう。
その上、痛かったもう一つの理由として推測できる記述があります。
⑭
屹立した男根があった。
麻紀子は引き起こされた。
目の前に中垣の男根があった。中垣が頭髪を掴んで貌を引き寄せた。口を開かざるを得なかった。中垣は何かを割るように突き入れてきた。口が裂けそうだった。
中垣は頭髪を放さなかった。掴みしめたまま、腰を使った。
泪が出た。呼吸困難にもなっていた。なんどか、吐きかけた。喉まで届いていた。
(上巻 第二章ライター 4項より)
よくある黒人の男根にあるような明確な記述こそ無いものの、中垣は巨根だったのです。
巨根の中垣に無理に犯され、はげしい痛みを感じたのでしょう。
結論ですが、あくまで個人的見解ではありますが、「麻紀子には二十五歳なりの男性経験があった」と考えています。
しかも世間一般的な二十五歳ではなく、お誘いや誘惑が多かった分、絶世の美女なりの相当の経験を積んでいたといえるのではないでしょうか。
まとめてみます。
(1) 麻紀子はスタイル抜群の絶世の美女で、平時は女王様気質の性格もあって、男にモテモテだ。
(2) 麻紀子は普通の二十五歳の女性より、多くの性体験をしている。
(3) 麻紀子は名器であるが故に、いままで、挿入から快感をあまり得ていなかった。
(4) しかし、セックスには興味があったので、性の快感を得るためか、あるいは好奇心からか、SMに傾倒していった。
(5) 麻紀子はマゾヒストだ。
(6) 中垣は実は巨根だ。
(7) 麻紀子は名器なので、膣が締まっている。
(8) 中垣には無理な体位で、はげしく犯された。
(9) (6)(7)(8)により、麻紀子は犯されたときに、はげしい痛みを感じた。
(10) 中垣に屈辱的に逝かされて、体が男に目覚めはじめた。
(11) はじめは、中垣の巨根は痛いだけだったが、馴れると巨根が好きになった。
(12) 一日に何人もの男に犯され、そのうち、体が男根に馴れていった。
(13) もともとSMが好きだったこともあり、男の性の奴隷にされることを自然と受け入れた。
イラストは、東スポ版「峠に棲む鬼」第38、39回に掲載された「関東製薬の組織に拉致された逢魔麻紀子が、中垣に凌辱されたときに、いかされた」場面を描いたものになります。
麻紀子の逝き貌を描いた数少ないモノで、安岡旦先生の傑作です。
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