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裸の冬「イラスト分析1」・・・代表的凌辱場面を考察する.. [裸の冬]

今回、ご紹介のキャラは、男性にとってある意味「理想的」な女性。
「裸の冬」主人公の白骨紅になります。


白骨紅は、本作の主人公の女性。
東京育ち。
年齢二十七歳。
身長百七十センチ。色白で容姿端麗。鼻筋が通っている。夫の拝郷によれば、端正な容貌、充分に発達した肢体の持ち主です。
紅の父は弁護士。母は専業主婦。母親は紅が十五歳のときに病死、父親は五年後に同じく他界(後追い自殺ともとれる記述あり)しています。
ちなみに、紅姓は日本には紅一家しか現存していません。
それは紅はBC五千年前のメソポタミア文化圏からつづく阿羅木一族の末裔で、紅の葉脈を残すため、1200年間の近親相姦の積み重ねから成り立っていた家系だったからです。

余談ですが、黒人船員のピートからは、三百ドルで買う価値がある、白人よりうつくしいと評され、アラブの大富豪アブドル・マルカーンからは、膚には他国の女にはないなめらかさがある。漆黒の髪もうつくしい。泣きたいほどのうつくしさを紅に見出したと、評されています。
ちなみにマルカーンからは、紅は「弾力のある膣の持ち主」と、名器であるとの認定もされています。


さて白骨家というと、第一印象では古くからの家系の、奥ゆかしい血筋の女性、男性経験も旦那だけといった典型的古典的日本女性というイメージが強そうですが、読んでいくと徐々にあれあれ?と違和感を感じていきます。

西村作品で奥ゆかしい(奥ゆかしそう)女性キャラを一人あげろといえば、作品”わらの街”の「保月志津」でしょうか。
人妻、色白で従順なところが某掲示板で男性読者の支持を集めているようですが、この紅は”はじめは人妻ってキャラ被り?”、”志津ふたたび?”と志津ファン読者に期待?させておいて、冒頭から大どんでん返し(とっても強い女武闘派)の展開が、真逆の「いい意味」でのワクワク感をもってスタートしていきます。

紅は強そうなだけでなく実は男性経験豊富かも…と予感させるのは、例を挙げればきりがなく、”紅って複数プレイの経験者?”とか、”実は近親相姦願望がある?”とか、”ショタ好きの気がありそう?”とか、あとは寿行作品でお馴染みの”巨根好き”とか…ですね。


そういった予備知識を踏まえて、本作の検証を進めていきます。
まずは物語の根幹たる紅姐さんの簡単な説明から。

白骨紅は、性交の絶頂時のみ、興奮で体のある部分に「サイン」が浮かび上がります。そのサインというのは、鮮やかな紅色の痣(作者曰く、”血の葉脈紋様”)のです。

紅目線でいえば、この痣を出せる男性はまだいいのですが、出せない男性にはせっかく許してやったのに、叱咤激励の、まさしくズバリの駄目出しとなるわけです。
せっかく紅姐さんがその気の、千載一遇のチャンスを不意にするダメ男の烙印を押されちゃうことになります。

そういう人物設定の紅姐さんの身に大事件が起こります。
いきなりの拉致監禁です。
しかも白昼堂々、自宅からという強引な拉致り方をされるのでした。

なぜかこの相手、ヘンリー日高一味は白骨家の一子相伝、極秘中の極秘としていた痣の秘密を知っており、わざわざ紅姐さんをその場で全裸に剥いて拉致するのです。
いやがおうにも、男性読者の期待は昂まる序盤の展開ですが、御大はその期待を裏切りません。

そんな男性読者の期待を一身に背負った紅姐さんですから、作中では旦那以外の、逞しい男たち相手にたくさん痣を出しまくります。
彼女がこんな目に遭うのは、このサインに実はとっても深い意味があるからなのですが、それにしても紅の体に群がる男たちの数が凄い。
凌辱役の男たち「館と仲間」三人を皮切りに、お次は中東までの拉致に使われたタンカーで、監視役の館、陽気な黒人船員ピート。
それから本命、拉致の黒幕たるアラブの大富豪となります。
それと、サインに関係ないとはいえ、大富豪に使えていた少年、そして三人の巨漢のノルウェー人もご相伴にあずかっています。
拉致されてわずか一ヶ月かそこらで、それまで旦那しか知らなかった(?)紅姐さんが一生でも余るほどの男性経験をしてしまう…。
なんて淫猥な人生でしょう。

このように、紅は逝ったことが相手に丸わかりなので、秘密が秘密じゃなくなったとたんに我も我もと次から次と男たちに群がられてしまいます。
美しい女の宿命ってやつでしょうか。
美しさって罪なんですね(美しいから罰せられる→美しくない人は罰せられない→人生って平等…はは)


あくまで個人的なイメージですが…紅というと”小顔のショートボブ”、逢魔麻紀子、槐帰雲と並ぶ三大女武闘派設定なので(かな?)、”鍛えて締まった細身のボディ”・・・にも関わらず「乳房と尻が豊か」で、”白い肌のボーイッシュな若い人妻”…を想像してしまいます。

でも裏の貌は、実は男性経験もそこそこあって、頭では感じまいとしても、やさしくされるとすぐその気になっちゃう下半身ルーズな(男に都合のいい)ダメな女。

そんなところでしょうか。




物音がして、白骨紅は貌をあげた。
四人の男が侵入していた。
紅はテーブルの片づけをしていた。昨夜、夫が同僚を連れ戻って、おそくまで飲んだそのあとかたづけであった。
四人の男は無言で押し入ってきた。
紅は男たちをみた。殺気立っている。表情がゆがんでいた。紅は楊子を手にした。男たちが何者かはわからない。わからないが、紅を目ざして押し入ったことははっきりしていた。押し入る家をまちがえたのではない。夫に何かをしようとして押し入ったのでもない。四人の視線は紅に集中している。
紅は男たちを咎めはしなかった。
その余裕はなかった。
右手の指の間に二本の楊子を挟んだ。左手には果物ナイフを握った。
紅の右手が小さく動いた。指の間に挟んだ楊子が疾って、紅を掴もうとした男の右目に突き刺さった。男は短い悲鳴を放った。つづいて紅の手が動いた。もう一人の男の右目にも同じように楊子が突き刺さった。
紅はナイフを投げた。
三人目の男の胸にナイフは突き刺さった。狙ったとおりに正確に心臓に突き刺さっていた。しかし、その男は小さくうめいただけであった。ナイフを抜いて掴みかかってきた。無傷のもう一人の男が背後に回った。
紅はねじ伏せられた。
その場で全裸にされた。手足を縛られ、口には粘着テープを貼られた。
右目をつぶされた二人の男がうめいている。押さえた指の間から血と硝子体液がしたたり落ちていた。
五人目の男が大型トランクを持って入ってきた。紅はその中に押し込まれた。
(第一章 葉脈の紋様 1項)

物語の冒頭で、驚くべき紅の武闘派としての実力が明らかにされます。
彼女の両手はあらゆるものを正確に高速で飛ばし、武器にすることができるということです。



紅の指は魔力を秘めていた。母に教えられた魔力だった。もの心ついたときから紅は指を使って相手を仆す術を教え込まれていた。楊子一本あれば大の大人をたやすく仆せる。パチンコ玉が一個あれば相手の額を割ることもできる。
(第一章 葉脈の紋様 3項)
彼女の両手は指で摘めるものならそれを正確に高速で飛ばし、武器にすることができるという能力を秘めています。
この能力は母から教えられたものでした。

これはまるで、複数の迎撃目標に対し、対空ミサイルを同時に発射・攻撃できるイージス艦のようです。
敵の領空侵入に際して、紅はこのイージス能力をフルに発揮します。
三人の男に、連続してミサイルを発射し、そのことごとくが敵の急所に命中するのです。しかし、いかんせん、ミサイルとは異なり、一撃で撃破ということはできず、イージス艦”紅”は三機の攻撃機に損害を負わせわするも撃墜はできませんでした。
心臓にナイフを刺しても行動不能にすらできないということは、敵は紅の能力を知っており、その対策を練っていたと思われます。
その分析については、のちほど述べます。

侵入者たちはいわゆる「飽和攻撃」と呼ばれる手段をとりました。
それによって紅のイージスシステムは破綻してしまいます。
例えれば、四人の男たちは冷戦時代のソビエトの攻撃機で、アメリカの空母機動部隊に対する攻撃手段として、機動部隊のミサイル迎撃能力を超える大量のミサイルを放つ(同時に襲いかかる)ことによって、空母を撃沈する(この場合は紅を拉致する)という戦術をもって襲いかかったのでした。
その結果、男たちの作戦計画通り、紅はねじ伏せられ、全裸に剥かれ、手足を拘束され、声すら出せなくされ、まんまと拉致されてしまったのです。

「全裸で拉致」という状況は、このあとに紅を待ちうける運命は男たちからの凌辱しかあり得ず、全裸で拉致されるという表現と服を着たまま拉致されるのでは、読者が受ける意味合いはまったく変わってしまいます。
冒頭から読者の心をがっちり掴む、寿行ワールド炸裂ということですね。

実はこのときの拉致の犯人たちですが、いまでは致命的と思われる証拠を残してしまっています。
それは「血と硝子体液」です。
ただし、この時代の日本では、まだDNA鑑定の技術がいまほど確立されてはいないため(1991年に証拠採用はじまる)、せいぜい血液型がわかる程度の価値しかありません。
それ故、警察の捜査初期段階では犯人につながる情報は得られず、捜査に進展がない状況に陥ってしまうのです(紅救出が後手後手に回る)。



長い間、車は走っていた。
紅は瞳を閉じていた。拉致される理由がわからない。思いあたることはない。夫かもしれないという気がする。夫の拝郷樺介は警視庁に勤務している。紅を拉致して何かの交換に使うのかもしれない。
だが、それにしても乱暴すぎた。捕らえていきなり全裸に剥いたのは異様だ。かりに交換に使ったところで、このことを拝郷が知れば拝郷はかならず報復に出る。そういう男であった。押し入った男たちはそれくらいのことは知っていなければならない。
ーあるいは、殺すのか。
刑事の妻を拉致にかかるのだから、男たちは拝郷の性格くらい知っていよう。これは交換ではなくて拝郷への報復かもしれない。
車は走りつづけている。
拝郷と知り合ったのは約一年前であった。拝郷の運転する車と紅の車が接触した。きっかけはそうだった。短い交際があって、一緒になった。たがいに身寄りがなかった。それもあって、紅が拝郷の家に移った。親譲りの拝郷の家は国立市の外れにある。敷地はかなりあるが家はボロ屋だ。
庭も荒れはてている。
拝郷はそういうものにはかまわない。
共同生活をはじめて四ヶ月になる。
籍は入れていない。
短い共同生活であった。
(第一章 葉脈の紋様 1項)

ここで驚かされるのは、全裸で拉致されているにもかかわらず、紅が異常なくらい落ち着き払っていることでしょう。あの逢魔麻紀子ですら、中垣に全裸で股間を弄られ、泣かされたのに、です。

ここで想像してみます。
白骨家代々の言い伝え、一子相伝の秘密について。
彼女は母親から、どんなことがあっても痣の秘密は他人に知られないようにといわれていました。
そのため紅も、男性と夜を過ごすときは細心の注意を払いながら抱かれていました。
それなのに、自分と母以外誰も知るものがいないはずの秘密をなぜ他人が知っているのか。
本作は大変複雑な物語ですが、ネタバレを気にしない人だけにご説明すると…。
黒幕のアラブの大富豪が、意識を遙か過去に遡らせられるガスの存在を知り(ある種のタイムマシン)、そのガスが噴出する洞窟の在処を知ろうと、画策します。
その場所を知るには、自分と同族である日本の女性に自分の胤を孕ませ、二人の故郷である「アラーギの丘」に立たせ、大昔の記憶を呼びさませばよい。
そのための紅の拉致であり、第四夫人と称して胤つけ専用性交奴隷として必要とされたのが紅でした。



マルカーンの妾になることは避けられない。第四夫人とはいえ、性交用奴隷だ。むしろ、性交奴隷になると宣告してもらいたかった。第四夫人ということばに紅は嘔吐感をおぼえる。
(第二章 アラーギ一族 4項)
マルカーンに面会した時点で、自分はマルカーンの性交奴隷として拉致されたことのだと、紅は認識しています。



「性交用奴隷か」
拝郷樺介は、神長の貌をみた。
(第二章 アラーギ一族 1項)
また、紅拉致の直後に、夫の拝郷にも、外事警察に所属する友人の神長より情報がもたらされています。
胤つけ専用性交奴隷なので、拉致する側に紅への配慮や人違いだったときの対応は全くありません。やるだけやって、人違いだったら殺して埋めてしまえばいいとでも考えていたのでしょう。
それ故の「全裸に剥いての拉致」だったのです。

このときの紅には、事件の背景にそのような事実があることは知る由もないのですが、それにしても「全裸で拉致される」理由が紅への凌辱以外にはなく、表向きは「夫の捜査がらみ」と考えようとしていますが、単に「紅の体目当て」でないとしたら、それ以外の可能性の一つとして、性交の絶頂時に右掌に血の葉脈模様が浮かぶことが何らか関係あるかもしれないと、考えたでしょう。
おそらくそのことに確信が持てなかったのは、母から、他人には「血の葉脈模様」を決して見せてはいけないといわれていたため、知っているのはいまや夫の拝郷樺介以外には誰もいないはずだからです。

紅も、葉脈紋様の謎については興味があったでしょうし、それが謎を秘めているのだとしたら解けるかもしれないとの期待もあったでしょう。

そのこともあり、事態を冷静に眺めようとの判断ができたのかもしれません。



車がガレージに入った気配がした。
トランクが運び出された。
担いで、運ばれた。
トランクが開けられた。
紅は引き出された。
ベッドルームであった。紅はベッドに放り出された。三人の男がいた。三人とも四十前後の歳にみえた。その一人が紅の口を塞いだガムテープをはがした。足の縛めもとった。手だけはそのままだ。
「外してやりたいが、おまえさんの手は危険すぎるのでね」
男は冷たい目で紅を見下ろした。
男は、紅の両の掌を調べた。
「理由が、わかったかね」
「わからないわ」
「そうか」
「人ちがいをしているのではないの」
「かもしれん。もしそうなら、じきに釈放してやるさ」
「そう」
紅は、瞳を閉じた。
男が掌を調べたことで、拉致された理由がわかった。
三人の男の視線が股間にそそがれている。
凌辱されることを覚悟した。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
ここに至り紅はようやく、拉致された理由に確信が持てました。
男たちの目的はやはり「血の葉脈模様」だったのです。
ということは、紅が100パーセント凌辱されることは確定でした。
それも、紅が感じて逝くようにたっぷり時間をかけて愛撫され、そのあとの長い挿入の責めも容易に想像できました。
男は三人もいます。
しかも若造ではない、女の経験は充分ありそうな男たちです。

さてここである事実が明らかになりました。
それは、紅の目の前にいる男たちはいずれも怪我をしていないという事実です。
これはどういうことでしょうか。

それは、拉致実行犯たちと凌辱しようとしている男たちは別人だということです。
男たちのだれも目や胸に負傷をしていなかったことから、拉致を担当した連中とは別の人物であることはたしかです。
彼らの目的は紅に葉脈模様を出させることであり、それには紅を確実に拉致し、また拉致したあとは痣を確認する必要があったからです。
紅拉致にあたり、謎の組織はそれぞれの分野におけるエキスパート、手練れを用意したのです。

これでようやくナイフで刺されても軽傷程度で済んだ(ナイフが胸に刺さっても、小さくうめいただけ)理由が明確になりました。
ナイフに対抗できるということは、おそらくは防刃チョッキの類でしょう。
拉致のエキスパートですから、多少の手荒い修羅場は日常茶飯事の男たちなのでしょう。また、当然のこととして五人の男は全員、紅の反撃を予想し、防刃チョッキを着込んでいたのです。
部屋に残された果物ナイフにAB型の血が付着していたとあることから、致命傷にはならなかったようですが、ナイフは防刃チョッキの一部を貫通していたことになります。
着ていなかったら、男は即死だったでしょう。

また、全裸で拉致に成功した時点で、紅は男たちに痣をみられることは確定となってしまいました。
実際、凌辱を担当する男たちは、拉致担当の実行犯とは違い、セックスで女を喜ばせる(確実に逝かせることができる)その道のプロでした。
そのことは、紅もうすうす感じていたでしょう。
そのため、このときの紅は、感じてしまっても、せめては逝かないようにしようと抵抗を考えるのがせいぜいだったのです。



「すばらしい、体だぜ」
男の声がかすかにおののいている。
男の手が股間に入った。別の男の手が乳を握った。紅は太股を押し拡げられた。
三人がかりでの凌辱がはじまった。
紅は固く、瞳を閉じていた。
二人の男が性器を愛撫している。一人は両の乳にかかっていた。
「どうだ、いいだろう」
乳を揉んでいる男が、ささやいた。
「人妻が、三人の男に犯されている。三人がかりで愛撫される。こんなことはめったにあることではない。存分に愉しむんだ。どんな女だって、強姦されたいという欲望はある。何人もの男に犯されてみたいと思う。しかし、たいていの女は、思うだけだ。こんなふうに実際にやられることはない。おれたちは人ちがいをしたわけではない。あんただ。あんたが必要だったのだ。しかし、痛めつけたり殺したりしようというのではない。その逆だ。大切にする。あんたは王侯貴族になれる。実際に、そうなる。いつでもこんなふうに何人もの男に仕えさせることができる。貧乏刑事の女房でいることはない」
男はささやきつづけた。
紅は歯を喰い縛っていた。意志力で快感を押さえていた。どこともわからない深い淵から湧き上がってくる快感を喰い止めていた。二人の男は巧みに指を使っている。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
朝の片づけ中に突如侵入した男たちに全裸に剥かれた紅。
そのため、朝起きたあとシャワーを浴びたかどうか、微妙な時間帯に紅は拉致されてしまいました。
男たちは全裸の紅を責める際、二人の男が下半身を受け持ちました。
しかしその記述には、紅の性器を舐めた描写はありません。
男たちの目的は、単に紅を凌辱することではなく、紅を感じさせて逝かせることです。
女性を感じさせるには。指より口唇での愛撫の方が確実に効果が高いと思われるのに、このときはなぜ指を選択したのでしょうか。

微妙な時間帯だけにおそらくは紅は歯は磨いても、シャワーは浴びていなかったのではないかと想像できます。専業主婦である紅ですから、時間には追われておらず、通常、シャワーを浴びるのは朝食の片づけ後だろうと思われます。
拉致担当班は拉致実行前に、数日間、拝郷家の日常のスケジュールを確認したのちに実行におよんだでしょうから、当然、紅がいつ起床し、朝食を作り、拝郷を職場に送り出し、そのあと紅がシャワーを浴びるのはいつか等、しっかり確認し実行計画を立てた上での、拉致実行だったでしょう。
彼らの目的は紅を確実に拉致することです。
そのため、その阻害要因たる夫の拝郷が確実に自宅におらず、かつ、在宅している紅がもっとも油断している時間帯であれば、紅がシャワーを浴びていようが、浴びずに汚れていようが、それはどうでもよかったのです。

そのため、凌辱班の男たちは、紅がシャワーを浴びる前に拉致班が犯行におよんだことを知っていました。

夫婦ですから、拝郷と紅は子作りに励んでいたかもしれません。そのため、前の晩、膣に出された拝郷の精液を適当な処理で寝てしまったかもしれません。
またあるいは、朝の排尿時についたトイレットペーパーの屑が性器にこびりついたままの状態だったかもしれません。

どんなに美人であっても、さすがにそんなところに口をつけるのは憚られるでしょう。


さらにもうひとつの理由が考えられます。
性器を口にする行為というのは、大概は下の立ち位置にいるものの行為です。
人体でももっとも汚れた部位を口にするわけですから、上の立ち位置にいる相手へのご奉仕の意味合いがあるわけです。

「峠に棲む鬼」でも、麻紀子の性器を舐めたのは、主にそのときの麻紀子より立場が下のものたちでした(麻紀子の美しさに心を奪われるとか、気を引きたいとかの理由も、下に立っていると考えられます)
また、麻紀子が男根を口にする(ご奉仕)ときは、つねに男に犯されるときでした。


つまり、紅を拉致した男たちは、いずれも紅より立ち位置が上なので、性器を舐めなかったとも言えるでしょう。


このふたつの理由(設定)で、男たちは紅の性器を指のみで愛撫したことは間違いないようです。

さてつぎに、男たちの愛撫の詳細について、検証してみましょう。
”二人の男が性器を愛撫している”とあることから、一人はクリトリスを、もう一人が膣を愛撫したことは間違いないでしょう。
詳細な描写はありませんが、おそらくは紅の太ももを左右に大きく拡げ、片手の指で左右それぞれの陰唇を摘んで引っ張り、性器を剥き出しにして、眺めながらもう片方の指で執拗な愛撫を繰り返したのでしょう。
やさしくクリトリスと膣を愛撫されつづけ、男の囁きのことば責めと相まって、紅はすぐに濡れてしまったでしょう。
一度そうなれば、もう男に止める気がないかぎり、紅にはどうしようもありません。
溢れてきた愛液を潤滑油にして、クリトリスとGスポットを責められ、紅はギリギリのところまで追い詰められてしまいます。



「ほら、乳がこんなに固くなったぜ。奥さん、奥さんは三人の男に犯されているんだ。気持ちがいいだろう。いまに、交互に入れてやるぜ。奥さんは四つん這いになる。うしろからもやられるんだぜ。もうすぐ、堪えられなくなる。声をたててもいいんだぜ。ほら、きれいな腹が波打っているじゃないか」
男は乳を揉みながら唇を重ねてきた。
男は紅の舌を引き出して吸いはじめた。
舌を吸っている。乳を揉んでいる。性器には二人がかかっている。男、男、男ー体中に男が充ちていた。執拗に、たくみに、男、男、男が、女を責めたてている。
脳裡で砕けそうになるものがあった。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
紅の心が折れた瞬間でした。
人妻である紅が、夫以外の男に身も心も屈服したのです。
すでに、夫以外の男根を、喜んで受け入れる準備は整っていました。乳首を勃起させていることは、男が指摘しています。また、おそらくは、紅の性器は愛液でトロトロになっていたでしょう。
男の巧みな愛撫を喜ぶように、腰を打ち振っている姿が想像できます。
男に唇を奪われているため声こそ出せませんが、紅の洩らすうめきが部屋に響いていたでしょう。



数分がすぎた。
「さあ、そろそろ、本番だぜ、奥さん。これから三人の男に交互に犯されるんだ。奥さんは声をたてる。叫ぶ。そう、叫ぶんだ。泣くんだ。失神するまで責められるんだ。さあ奥さん、本番いくよ」
乳から手が離れた。
男が、紅に跨ってきた。
手首の縛めが解かれた。両手で二人の男の怒り立ったものを握らされた。跨った男が挿入している。ゆっくり、責めはじめた。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
とうとう、紅の膣に、夫のものではない男根が入ってきました。
トロトロヌルヌルになった膣は、なんの抵抗もなく、巨根(根拠は後述)を受け入れてしまいます。
男は正常位で、ゆっくり紅を責めたてます。
それでも紅は拒みません。
この時点では、紅も男のいうとおり、失神するまで男三人相手のセックスを堪能するつもりになっていました。ついさっきまで極秘扱いだった葉脈模様ですが、みられようがもうどうでもよくなってしまったのです。
もう声を我慢する必要もありませんでした。
男根が挿入された瞬間、紅はのけぞり、うめきを洩らしていたでしょう。

そして「本番」に入っても、男たちの三位一体攻撃は停まりません。
まるで、例のあれ、ジェットストリームアタックのように、つねに紅に複数プレイを意識させる動きをつづけます。



もう一人が胸に跨った。
男に男根を押し込まれた。
しばらくその責めがつづいた。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
とうとう紅は口に男根を含まされてしまいました。
膣と口、右手(左手?)すら男たちに奪われ、紅はもう絶頂までまっしぐらに突き進みます。

さて、この膣と口を同時に責められる表現ですが、西村作品では珍しい体位の表現です。世間ではいわゆる「焼き鳥」とか、「串焼き」などといわれる体位です。
このときはもう三人目も責めに参加しているので、強いていえば「シュラスコ」と命名すべきでしょうか。

このとき、一人が正常位で責めながら、もう一人が紅の胸に跨っています。跨ったといっても、どっしり体重をかけて乳房に座ったのではなく、両膝を突いて胸の上に跨ったのでしょう。
この状態で紅に男根を含ませるには、どの程度の男根の長さが必要になるでしょうか。

紅に男根の威力を見せつけるためには、当然、唇に触れるだけとか、亀頭部分だけ口に含ませればいいというわけにはいきません。ある程度まで深く、ひょっとすると喉の奥まで含ませたのかもしれません。

おおざっぱですが、この描写から男の男根の長さを推測してみましょう。

例えば、西村作品に使用されている女性の裸体写真で、角川文庫発行の単行本「化石の荒野」のカバーの表紙に使われているものがあります。
全裸の後ろ姿の長い髪の女性が足の先だけ水に浸かっている写真なのですが、たしかに非常にバランスのとれた、美しいとしかいいようのない裸身です。
この彼女の裸体を写真から数値化してみました。

実測数値を例えば身長160センチと置き換えると、股下80センチ、胴の長さ(首含む)60センチ、頭部20センチとなります。
乳首の位置が胴体部の1/4近辺なので、乳首から喉までが20数センチ、喉から口までは3センチ程度となるため、単純に跨っただけでは口まで25センチあってもやっと届くだけになってしまいます。
ただし、人間には腕と肩があり、この両者を避けて床に膝をつけなくてはならず、具体的にそちらを踏まえての数値を検討してみましょう。

「紅の胸に跨った」と一言でいっても、膝が床につけられるのは二つのパターンがあります。
まずひとつは、紅の鎖骨の上(肩の上側)に膝を突く方法。
もうひとつは乳房に跨る感じで、両腋の下に膝を突くやり方です。

腋の下なら男の腰の厚みがあっての、男根なので、男根の位置は紅の鎖骨下部あたりからはじまることになるでしょう。
この位置からなら男根の長さは13センチですみ、さらに口の中に入れるとなれば20センチもあれば充分でしょう。亀頭が5センチ、陰茎部が20センチ、計25センチが妥当と思われます。

つぎに男の膝の位置が紅の肩の上にある場合ですが、これはもう何センチでも口に含ませることが可能です。
そのため、ここでは「胸に跨った」との描写の通り、”男は紅の両腋の下に膝を突き、男根を口に含ませた。”と推測することが妥当と思われます。
あるいは、紅の頭髪を掴んで引き寄せ、亀頭を喉に突かえさせ、嘔吐に苦しむ姿を愉しんだかもしれません。

さて、25センチの男根と一言で言っても、日本人の平均値を大きく上回っています。
日本人男子の平均ですが、ある資料によれば、「全長(亀頭含む):13.9センチ、横幅:3.9センチ、亀頭部分の幅:4.0センチ」というデータがあります。
25センチの長さの男根ですから、巨根といえるでしょうし、太さも相当なものと考えられるでしょう。
単純な比例計算では7センチになりますが、これは少々オーバーですね。5センチ程度が適当なのではないでしょうか。

いずれにしても、太くて長い男根を口に含まされ、美しい紅の貌は、典型的な縦長の卑猥な形に変形させられていたのです。



胸の男が、下りた。
責める男の動きが早くなった。
ああと、紅は叫びを放った。
両手は二人の男に押さえられている。
紅は叫びつづけた。
紅の右手を押さえた男が、出た! と小さな叫びを放った。
右手の拇指の内側の肉の厚い部分に紅の紋様があざやかに浮き出ていた。一枚の葉の形をしていた。繊細な葉脈がくっきりと描かれている。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
紅の発する声、体の反応などで、紅が絶頂直前なのがわかり、男根を口に含ませていた男は体を離します。
そしてダメ押しのように紅を責める男が動きを早めると、その直後、紅は絶頂に達します。
はじめこそ感じるのを我慢をしていた紅ですが、男たちのテクニックと巨根に堪えきれず、とうとう葉脈模様をみられてしまいます。
”紅は性交の絶頂時のみ、右掌に血の葉脈紋様が浮かぶ”と作品の紹介文章に記載されているので、この瞬間に紅が逝かされたことは事実でしょう。
人妻である紅が、夫のものではない男根の責めに屈服してしまったのです。
一度逝きはじめると、三人の男すべてが果てるか、男の宣告通り「紅が失神する」までは、逝くのを止められません。
失神に至る連続絶頂のはじまりでした。

明確な描写こそありませんが、紅の身に起きた二つの事実について考察したいと思います。
ひとつは、紅は気持ちのよさにどうにも堪えきれず、逝く瞬間、大きい声を放ってしまったということ。
もうひとつは、逝った証明ともいうべき「膣の痙攣」を起こしてしまったということです。


紀魅は、瞳を閉じた。三人で入れ替わりの凌辱が思われた。自身の姿態が思われた。紀魅は自分を責める男根に屈服した。無残な屈服であった。膣は男たちのものとなった。紀魅のものではなかった。精液を絞り取るために膣は収縮をつづけた。
(花に三春の約あり 第三章 鷲の巣 1項)
女性が逝くときには膣に痙攣を起こしますが、この紀魅の記載と同じく、「膣の収縮」が紅にも起きたわけです。
紅の状況を想定し、時系列順に並べると、
(1)逝く寸前に泣くよう声で逝くことを告げる(いつもの癖で、つい口にしてしまう)
(2)逝った瞬間、大きな声を放つ、あるいは逝くと叫ぶ(絶頂時)
(3)緋色に染まった貌をゆがめ、歯を喰い縛る(同上)
(4)大きな腰部の痙攣と、打ち振られる黒髪。それにつづく全身の太い硬直(同上)
(5)若干の無呼吸あるいは声を発するのも困難な状態が継続(同上)
(6)膣の痙攣ののちに訪れる下半身の痙攣
(7)はげしい呼吸とあえぎ、泣き声の復活

記述によれば、責めの間中、紅の紋様は常に出たままになっています。
つまりは、責めの最中はずっと紅は逝きつづけていることを表しています。「逝く」と泣き叫び、何度も硬直と痙攣を繰り返していた(失神するまでは無限ループ)でしょう。

そしてさらには、
(8)逝きすぎて、呼吸困難となり、途中で「もう死んじゃう」「許してください」などと許しを乞う
(9)紅の懇願を無視し、男たちは責めを続行(紅の名器を味わいつづける)
(10)紅、連続痙攣

とつづくことになります。


「妖しの花乱れにぞ」に、このときの紅と同じく連続絶頂に陥った女性の記述があります。


たてつづけの性交だから男は長持ちがした。
ああッ、ああッと、マリアは胸中で声を洩らしていた。
無我夢中になりつつあった。
マリアは匪賊に屈した。
声を洩らしてしまった。堪えられない。男根は巧みに出入りしている。マリアは尻を上げた。そして、短く叫んだ。
男が誘われたように射精した。
~略~
男が尻に跨った。精液が流れ出ている。
マリアはまたつづけて、いった。どうしてだか、とまらなかった。はじめての経験であった。
いきつづけた。別の男に替わった。精液は溢れ出ている。それを押し分けて男根が入って来た。
マリアはその男根でもいった。
たすけてー胸中で叫んだ。
殺される、一突きされるたびにいく。死ぬと思った。
マリアは意識を喪った。
引き出されたときにはマリアは朦朧状態にあった。何人の男にやられたのかわからなかった。
(妖しの花乱れにぞ 第四章 地底の黄金都市 7項)
マリア・フェンテスは身長百六十。イタリア系で、髪はブロンド。ブラジル政府直轄の特殊部隊「必殺隊(エスクワルド・デ・モルテ)に所属する秘密隊員なのですが、取り締まりにあたっていた犯罪組織「ジャララックス)にとらえられ、性交奴隷として凌辱の限りを尽くされます。

このときのマリアの相手をした男は六人で、前からうしろから最低でも二回ずつ責められ、合計で十二回は責められたようです。
紅の場合は相手は三人ですが、男たちはその道のプロなので、時間的にも、テクニック的にも紅をここまで追い込むには充分だったでしょう。


男は責めつづけて、はてた。
すぐに別の男に替わった。その男は紅を這わして後背位で犯しはじめた。紅はシーツを掴みしめた。声をたてつづけた。わけがわからなくなっていた。波濤がなんどもなんども押し寄せている。
三人目の男は両足を抱えて紅の体を折るようにして責めはじめた。
傍に立った二人の男は、紅が眠ったのをみた。すっと、昏睡に引き込まれたのをみた。
右手の紅の紋様が失せた。
(第一章 葉脈の紋様 1項)
男たちの責めはさすがにその道のプロといえるでしょう。
その責めは三段階に別れています。
はじめの男は正常位で膣の入り口付近を中心に責めたて、紅を絶頂に導いています。
つぎの男は後背位で、入り口から中あたりまでを責め、これまた連続して逝かせ、最後の男は屈曲位で子宮口をがんがん責めたて、失神に追い込んでいます。
三人の男たちに理想的な責め方をされ、さすがの人妻紅もメロメロになってしまいます。



紅は床に頽れていた。
ピートはいなかった。股間に多量の精液を呑んでいた。失神から覚めたが立つだけの気力はなかった。ピートの緩慢な責めに紅は何かを突き破られた思いがした。たてつづけにその衝撃が紅を襲った。巨根が責めている。それと自身の性器のみが意識にあった。衝撃は紅を埋め尽くした。死ぬと、紅は思ったことをおぼえていた。
そこから先は、闇の中にあった。
~略~
紅はぼんやりとピートの巨根を思った。大小は女を満足させる要素ではないとその道の先達は説く。ウソだと思った。膣を完全に占領したピートの巨根の責めは想像を絶するものがあった。
女であることが哀しかった。
意識を喪った紅の尻を抱えてピートは射精したのだ。紅に与えた衝撃をピートは自慢して部屋を出たのにちがいない。男根で征服した女の頽れた裸体をみながら。
女とは男根に支配される生きものなのかと思った。
(第一章 葉脈の紋様 3項)
のちのエピソードですが、紅は巨根が好きであるとの明確な記載が出ています。
その紅を失神まで追い込む男たちですから、男根を含ませた男だけでなく、三人全員が巨根の持ち主なのでしょう。

大好きな巨根に死ぬほど責めたてられ、もう、紅の脳裡には夫への後ろめたさも背徳心もありません。


女性のオーガズムと一言で言っても、大きく分けて3パターンあるといわれています。

(1)オーガズムに近い状態(いけそうでいけない)が継続。
(2)オーガズム1回で終了(典型的なオナニーのパターン)。
(3)複数回のオーガズムを得られる(膣で逝く理想的なパターン)。

今回の紅はパターン3にあてはまります。
1回いったあとも、何度もつづけて逝きつづけるパターンです。
人妻であること、葉脈模様をみられてはいけないという、ふたつの強い理由があり、更には後述で述べますが、名器の持ち主でもある紅をここまで追い込む男たちのテクニックは羨ましいかぎりです。

紅は最後には白目を剥いて失神してしまいます。
これ以上、快感がつづけられると破壊される危険があると紅の脳が判断し、それを恐れて、快感を遮断するため意識をシャットアウトしたのです。

セックスのエキスパート集団、おそるべしですね。



おまえを放すことはない。東洋の女ははじめてだ。膚がきれいだ。ここの女どもときたらここがでかくてどうにもならんと、ホルベアは、紅の性器に指を入れた。
(第四章 氷河の爪痕 3項)


弾力のある膣がマルカーンを締めつけている。
(第四章 氷河の爪痕 7項)

2カ所の記述にあるとおり、紅は名器の持ち主のようです。
謎の組織は紅を確実に絶頂に導くため、三人のエキスパートを用意したのは事前のリサーチ力の結果だと思われ、過去の男性経験を調べる課程でその事実(名器)を知ったことによるものと思われます。

この後の展開ではあるのですが、拉致された紅は眠らされてタンカーに積み込まれ(密航)、紅誘拐の黒幕であるアラブの大富豪アブドル・マルカーンの待つ中東の地に連行されます。
その道中、紅とともにタンカーに同乗したのが、セックスのエキスパートとして紅を凌辱した3人の男の一人、館と呼ばれている男でした。


紅の世話はすべて館が受け持つ。
館は紅を日に一、二回は弄んだ。
紅はつねに手錠をかけられていた。性交の際にも外されることはめったにない。館は紅の手をおそれていた。外すときには極度に警戒する。
~略~
紅は全裸だった。館は、武器となるものを隠すことをおそれてたいていは全裸にしておく。
(第一章 葉脈の紋様 3項)
一日で1、2回とあることから、館は紅の体に執着しています。
相当、紅の味がよかったのでしょう。


左菊はバスルームから引きずり出された。
「あなたがたは、だれなの」
「睦月島でおまえを抱いたおれたちのボスが、偶然、この山荘村に来た。そこで、味がよくて忘れ難かった、連邦警察秘密捜査官、尼子左菊の姿を幸運にも目撃したってわけさ」
「そうなの」
「覚悟しな。もう二度と陽の目は拝めないぜ」
男の手が裸の尻を掴んだ。
(頽れた神々 第四章 脳と毒 4項)
御大の別作品にも、登場する女性キャラの名器のことが描かれているものがあります。
左菊同様、紅も名器ゆえに、一度抱かれた男に執着をもたれたのかもしれません。

また、館が紅を弄びつづけたもうひとつの理由が考えられます。
館はセックスのエキスパートとの設定なので、別のことばで言えば「性の調教師」とも言えるでしょうが、つまりは、紅を中東に連行するに当たり、時間を要するタンカーをやむを得ず使用したのではなく、長い道中で紅を調教しつづけ、反抗心を削ごうと事前に計画されていたものだったのかもしれないということです。


鬼無麻里は人売組織の手に落ちたままになっていた。
麻里が売られたのは八月十七日であった。
今日が八月二十四日だからちょうど一週間になる。
~略~
女殺しが専門の小城舞なる男に麻里は釣り上げられた。一夜の情事のあとで麻里は男二人の中継屋に渡された。そこでいきなり裸に剥かれて鎖をかけられた。二人の中継屋は嬲りになぶった。それが仕事だ。女に性交奴隷に堕ちたことをわからせてこれまでの人生を諦めさせる。そのためにありとあらゆる犯しかたをする。いきなり競り台に立たせると発狂しかねないからだ。
麻里は山中での競りにかけられた。
仲買人に競り落とされてどこかに売られたはずだ。鎖に繋がれて飼われている。電話などをされてはことだから鎖は外されることはない。飼い主は好きなときに好きなように弄ぶ。SMでもなんでもしたいほうだい。
弄ばれている麻里の裸身を左菊は思った。
(頽れた神々 第四章 脳と毒 3項)
紅の運命はまさにこの麻里と同じだったでしょう。
場所は絶対に脱出不可能な大海のど真ん中。
そこで、紅は毎日、1、2回のセックスの調教を受け、その都度、何度も絶頂に導かれています。
そんな性の調教を受けながらも、待ち受ける運命は王侯貴族になれると囁かれる日々。
そのうちに紅もそんな人生なら悪くはないかとなかば諦めに似た感情を持つようになったのでしょう。
すなわち、この調教の日々は、王侯貴族になるのと引き替えに、その性に仕えるものであると、紅に受け入れさせることが目的だったのかもしれません。

事実、紅がその諦めともとれる感情を浮かべている描写があります。

(21)
紅は諦めていた。
夫の拝郷は警視庁刑事だ。懸命になって捜索しているにちがいない。だが、紅は海にいる。船がどこかの港を出港してから五日になる。日本の領海はとうに出てしまっている。
外国に連れていかれることは覚悟していた。
(第一章 葉脈の紋様 3項)
気の強い紅もこの時点ではすべてを諦め、館のことばに縋っていることが描かれているのです。


さて、最後にひとつ、気になる記述があります。
それは、男たちはいずれも紅の膣内に射精しているということです。
紅拉致の黒幕であるアブドル・マルカーンの一つ目の目的は、紅におのれの胤を孕ませて、アラーギの丘に立たせることです。
そのマルカーンが、自分ではない、赤の他人の胤を孕む可能性のある凌辱(膣内射精)をなぜ許可したのでしょうか。
日本では異端だった歴史学者「堂本常久」の新聞投稿をみて、紅まで辿り着いたマルカーンです。
1回の生理期間で、女性の受胎できるタイミングは数日と限られています。上述されていますが、ありとあらゆる紅の情報を収集しているマルカーンですから、例えばそのひとつとして拝郷家から出されるゴミの中から、紅の使用済み生理用品の出される頻度を調べ、生理周期を調べることなど容易だったのかもしれません。


イラストは、徳間ノベルズ版「裸の冬」表紙、帯、P93、P191 組織に拉致された紅を描いたものになります。
イラストレーター金森達先生の傑作です。
また、化石の荒野の表紙に記載されている女性の写真についても紹介させていただきます。
Scan10008mini.JPGScan10010mini.JPGコピー ~ Scan10012.JPGScan10009mini.JPGScan10011mini.JPGScan10006mini sono2.JPGScan10006nudemini sono2.JPG
★著者:金森達

★販売元:徳間書房、角川書店

★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。

★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。

★画像使用に対し、原権利者からの削除指示がある場合は即座に削除します。

★掲載画像の再利用(複製・転載・プリント)は固くお断りします。

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峠に棲む鬼「イラスト分析23」・・・代表的凌辱場面を考察する [峠]

「峠に棲む鬼」の主人公である逢魔麻紀子は、男という男に数え切れないほどの凌辱をうけていますが、代表的な描写は下巻の、
(1)竹生島での磔刑を免れた麻紀子が、真庭の前で倉田に奉仕させられ、犯される場面
(2)西独に拉致された麻紀子が、ヨーゼフ・クラインに初めて犯される場面

2カ所でしょう。

記述そのものが短いため、読まれる方によってもさまざまな解釈がされていると思います。
そこで今回は(1)について、このブログなりの大胆な解釈(個人的見解)を述べさせて頂きたいと思います。



<独自の解釈なので、不要な方は以下を「ご覧にならない」ことを強くお奨め致します>



(1)のあらましです。

「峠に棲む鬼」東スポ版のサブタイトルで、「無残!倉田の男根をむりやり口に含まされる麻紀子」の場面です。

竹生島に拉致監禁された逢魔麻紀子は、性交奴隷として、倉田をはじめとするご主人さまの性に奉仕する日々を送っていました。
ある日、奴隷の男に体を与えたことをとがめられ、その男とともに磔刑を宣告されます。

寒風吹きすさぶ戸外に立てられた十字架に、素裸で磔にされ、竹槍で処刑される麻紀子。

しかし、それは島に潜伏した真庭正之をとらえるための演出でした。
やがて真庭はとらえられ、麻紀子とともに倉田の部屋に連行されます。
場面はそこからのスタートです。




逢魔麻紀子は、倉田恵治の寝室にいた。
傍に、真庭正之が、手錠を柱につながれてうずくまっている。
麻紀子は素裸だった。暖房がきいているから、寒くはなかった。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

拘束した真庭の前で、倉田は素裸の麻紀子に性の奉仕を命じます。
戸外での磔刑からいまに至るまで、かなりの長時間、麻紀子は全裸でいることを強いられています。
寒風吹きすさぶ中、持ち物はすべて取り上げられ、衣服のみならず下着一つ与えられない、肉体だけの悲惨な状況でした。
しかもその肉体も、そして精神すらいまや主人たちの持ち物です。
権利や人権などとは全く無縁の、まさに奴隷以外のなにものでもない存在でした。

一見して奴隷とわかる男と並べられ、二人共が素裸で磔られている情景は、麻紀子がこの男と関係を持ち、主人たちの逆鱗に触れて処刑されかかっている状況以外の何ものでもありませんでした。
他の奴隷たちに対する見せしめの公開処刑だったのです。

それもただ殺されるのではなく、素裸で磔にされ竹やりで刺し殺される憐憫のかけらすらない残酷な仕打ちでした。
美貌や美しい肉体のみならず、麻紀子のその命ですら、主人たちにとっては慰み程度の価値しかないのでした。

麻紀子が日常から全裸同然で飼われていること。
男たちの気が向けばいつでもどこでも性の奉仕をさせられている現実。
作者の言葉を借りれば「つねに、四つん這いにさせられて、きれいな尻を、犯される。」のがいまの麻紀子でした。
十字架に素裸で磔られた麻紀子をみて、真庭は麻紀子の置かれている状況を痛切に実感したでしょう。
そして、実際にはこれはこれから始まるショーの端緒に過ぎず、いまからが倉田が待ちに待ち望んだ復讐劇の始まりでした。



②体がついて行けないから、残虐なふるまいで、脳に燃える炎を鎮めようとしていた。
麻紀子を足元に這わせて、鞭打った。おゆるしくださいご主人様、と懇願しろという。そういってのたうつと、やがて、倉田は勃起するのだった。
ときに、倉田は中垣明を呼んで、麻紀子を目の前で犯させることがある。そのときも、倉田は、強姦される女の恐怖心と羞恥心を要求した。
すぐにさせてはならないのだった。抵抗のあげくに体を開かねばならなかった。さまざまな体位で犯されるのを、倉田は傍で噛みつくようにみているのだった。
(上巻 第九章 孤島 2項より)

倉田は真庭に麻紀子を横取りされたばかりか、拳銃で腕を撃ち抜かれて、恨み骨髄に徹っしていました。
麻紀子を性交奴隷とし、連日連夜、SMごっこや強姦ごっこなど、やりたい放題に犯すことで、恨みの一部は晴れたかもしれません。
真庭の妻である麻紀子を、自分だけの、性交専用の奴隷女にしたからです。
しかし、粘着な倉田の復讐心はその程度では晴らされるモノではありませんでした。

夫である真庭の目の前で、妻の麻紀子を犯す。
しかも、ただ犯すのではなく、

(1)麻紀子のような、棒を持たせれば無敵の女ですら、性交奴隷として飼える、倉田の強大な力を真庭に思い知らせる
(2)真庭の妻である麻紀子が、従順な奴隷女になりきっている姿をみせつける
(3)奴隷女として、妻が毎日、どんな扱いを受け、どんな奉仕をさせられているかをみせつける
(4)奴隷女として飼われた麻紀子が、調教を受け、妻だった頃と比べ、テクニックを含め、どれだけ変わったかをみせつける
(5)奴隷女である麻紀子が、ご主人さまの男根の責めでどんなふうに喜び、悶えるのか、そのさまをみせつける
(6)妻の麻紀子が、他人の男根で征服される(いかされる)様をみせつける
(7)夫の目の前で、たっぷり逝かせた麻紀子の膣に射精する(中出しする)
(8)妻の麻紀子が「倉田の男根の責めに完全に屈服した」様子を夫である真庭にみせつけ、真庭の精神を破壊する

おおよそ、この8つの段階を経て、倉田に刃向かった愚かさを真庭に思い知らせるべく、また、その副産物として麻紀子の精神を破壊し性交奴隷になりきらせることも念頭に、倉田の凌辱はスタートしました。

倉田はまずはじめに、麻紀子に口腔性交を命じます。



③「立て」
「はい、ご主人さま」
男は裸をみせろと命じた。麻紀子は男の前に立って、前と後ろをみせた。
男はしばらくみていて、いきなり、無言で、引き倒した。麻紀子はベッドに倒れ込んだ。
(上巻 第八章 虜囚 1項)



④クラインが何かいったが、麻紀子には理解できなかった。巨漢のクラインが麻紀子を抱いた。唇が奪われた。バター臭い舌が差し込まれた。分厚い、長い舌だった。
思う存分、吸われた。
それが終わると、クラインはその場で麻紀子のセーターを脱がしにかかった。麻紀子は立ったままでいた。
貧血を起こしそうな感覚があった。
また、嬲りものになる。それも、ことばもわからない巨漢の異国人にだ。はてしない凌辱がつづくのだと、意識がずり落ちて行きそうな感覚の中で、そのことを思っていた。
ジーパンを脱がされた。パンティも取られて、その上に手錠をはめられた。
クラインは。素裸にした麻紀子を立たせたまま、すこし離れて、観賞した。前から、そして後ろから。
麻紀子は瞳を閉じた。
(下巻 第十二章 西独 3項)

あるいはその前に、麻紀子を目の前に立たせ、前と後ろを向かせてじっくり裸身を眺めておのれを昂ぶらせてから、口腔性交を命じたかも知れません。
「峠に棲む鬼」でも、計2回、男に命じられ、裸身をみせる麻紀子が描かれています。

拘束された夫の真庭が、麻紀子のことを目の前でみつめています。
真庭の目の前で口腔性交をさせることには、二つの意味が込められていました。
一つは、麻紀子がもはや真庭の妻ではなく、倉田の奴隷女に過ぎないことを、夫の真庭に見せつけること。
もう一つは、夫の前で奉仕を強いることで、麻紀子自身に、もはや自分は倉田の奴隷女に過ぎないのだと、すべてを諦めさせることでした。

これは、目的(2)を、より具体化したものです。

倉田の男根は待ちきれぬ思いからの興奮で、麻紀子にズボンとパンツを脱がせたときから、既に半勃起以上の状態だったでしょう。
(おそらく)倉田は「定石通り」、初めは麻紀子を目の前で土下座させました。
奴隷ですから、ご主人さまに素裸で土下座し、犯していただく御礼を言上するのが当然です。
麻紀子は「奴隷めを犯していただき、ありがとうございます」か、「奴隷めに、男根さまをお与えいただき、ありがとうございます」のいずれかの意味の御礼を述べたでしょう。

それは、後述で「麻紀子が心の底から倉田の奴隷になる決心をした」ことが述べられており、とくにこのときは処刑されかけた直後のことでもあり、その思いは非常に強かったにちがいありません。
倉田はその麻紀子のことばを聞き、地にひれ伏し自分に向かって深々と頭を下げている姿を見て、征服欲を存分に満足させた上で、儀式を始めるのです。

まず、自身の男根を手で擦るよう麻紀子に命じ、充分に堪能した段階で口に含むよう命じます。
男根を擦っているときは、男根を見つめながら愛撫していた麻紀子も、男根を口に含むときは弱々しく目を閉じたでしょう。
残虐趣味の倉田は、命令通りに麻紀子が自分の男根を口に含む様子と、真庭の顔が次第に苦悩にゆがんでいく様子をみて、ぞくぞくするような満足感を感じたでしょう。

このときの、倉田の心境に一番近いと思われる描写が他の西村作品に描かれています。



⑤「やれよ」
立ったままで小黒は命じた、
珠樹は州政府庁舎から小黒が特別に引き抜いた秘書で人妻であった。三十三歳になる。
珠樹はしばらくは小黒をみつめていたが、やがて、うなずいて跪いた。ズボンを下げて男根を手にした。ゆっくり、擦りはじめた。
小黒は珠樹が口腔性交に移るのをみていた。
端正な白い貌が黒々とした男根を呑み込んでいる。
女はだれでも口腔性交する。しかし、端正な容貌の女はそこに至ってみないとそんな屈辱的なことはしないように思える。ズボンも脱がずに立ったままでその前に珠樹を跪かせる。そこから珠樹が口腔性交に移るまでの行程に小黒は優越感を感じる。珠樹は単調な夫を捨てて州権力の中枢に突き進む小黒の女になる。その思いが珠樹をして小黒の男根に跪かしている。
連邦警察秘密捜査官の尼子左菊を拐取したとの連絡が入った。
左菊なる秘密捜査官を犯す愉悦が小黒にある。
-女も権力もいまにすべて自分のものになる。
(頽れた神々 上巻 第四章 脳と毒 4項より。途中略)

おそらく、倉田はこの小黒と同じ心境だったでしょう。
しかし、これは倉田の復讐劇における序の口に過ぎませんでした。




倉田恵治がベッドに腰をかけていた。麻紀子は倉田の股間に入って、倉田の男根を口に含んでいた。
さっきから、そうやって愛撫をさせられていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

「夫」の目の前で、他人の男根を口に含んで愛撫するということは、その段階では既に、「妻」は夫にみられながら犯される覚悟を決めたことになります。

ここでもうひとつ、奴隷となった妻の姿を真庭に見せつけるため、倉田が麻紀子に命じたある可能性について、検証したいと思います。
その言葉とはずばり、
「どうだ、麻紀子。(夫のものと比べて)ご主人さまの(男根の味)は?」
です。
後述にあるとおり、倉田は麻紀子を犯しながら「どうだ、麻紀子」と詰問しています。
前後の状況から判断するに、この言葉の意味は麻紀子の気分を聞いたという解釈が成り立ちますが、一方で、男根の味の感想を聞いたものともとれなくはありません。
こうした事実がある一方で、女は夫の前で犯されても気持ちいいのかを麻紀子自らの口から語らせることが、倉田の目的のひとつであることから、男根をしゃぶらせながら、その感想を聞くことは伏線としても非常に理にかなっています。
このような状況を総合的に判断するに、このとき倉田が麻紀子に上記の質問をしたことはおそらく間違いないでしょう。
そして、そのときの麻紀子の答えも間違いなくこうだったでしょう。

「どうだ、麻紀子。ご主人さまの男根の味は?」
「はい、ご主人さま。美味しゅうございます(あるいは、「すばらしいです」)」
「そうか。美味いか」

その答えに満足した倉田は、「さっきから」とあるとおり、それからしばらくの間、麻紀子に口腔性交をつづけさせたのです。



真庭は、放心したようにその情景をみていた。麻紀子は背を向けている。若さを示す背筋の凹みが、尻の豊かさが、目の前にある。
麻紀子は従順に倉田に仕えていた。倉田が尻を向けると、ためらわず、そこを舐めた。
無残な情景であった。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

の場面です。
麻紀子に男根を舐めさせている間も、倉田は真庭夫妻の表情を観察したでしょう。
そして倉田の目論見通り、麻紀子がもはや倉田の奴隷女に過ぎないことを、真庭は思い知らされました。
妻の麻紀子が、殺したいほど憎んでいるはずの倉田の股間に自ら跪き、男根を口に含み、愛撫をはじめたからです。

打ちひしがれた真庭の表情をみて、倉田はさらなる満足感に浸ったはずです。



⑧裸になった倉田が、立っていた。
脂肪太りで、太鼓腹だった。目の前にある白髪混じりの陰毛が薄い。男根は垂れていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 5項より)

勃起していないときは垂れるほどですから、倉田の男根は大きいのでしょう。
それを口に含まされて、麻紀子は「口が裂けそうだった。」でしょう。
大きい男根を口に含めば、ほおがすぼまり、鼻の下が伸び、鼻の穴が拡がります。
サディストで残虐趣味の倉田なので、単に麻紀子に奉仕させるに厭きたらず、頭髪を掴んで逃げさせないようにしてから、巨根を喉につかえさせ、麻紀子をうめかせ、苦しむ様子を愉しんでいたにちがいありません。

その「口腔性交」専用の、麻紀子の貌は、恋人か夫以外の他人が決してみるはずがないモノです。
倉田は無造作にそれを真庭に見せつけました。
倉田は、男根を含む麻紀子の貌を真庭に見せつけ、麻紀子が日常置かれている立場を、真庭の脳裡に刻み込ませていったのです。

このときの真庭の脳裡には、これから目の前で繰り広げられる出来事、この白くて美しい麻紀子の裸身が倉田に無残にも開かされ、凌辱される場面が何度も繰り返されていたでしょう。



さてつぎは、麻紀子の状況を分析してみましょう。
倉田の部屋に連れ込まれるつい先ほどまでは、麻紀子は死刑直前の処刑囚でした。
いまでも、わずかでもご主人さまの機嫌を損なえば、いつ処刑されるかわからない状況です。
自分の磔刑は真庭をとらえるための演出であること、自分の体はまだまだ必要とされていることなどは、麻紀子には知るよしもありません。
素裸で磔にされ、竹槍の恐怖で失禁させられた麻紀子です。
十字架から降ろされた直後は腰が抜けて、自分ではその場に立っていられないほどでした。
それゆえ、倉田恵治への性の奉仕は、麻紀子にとっては全身全霊を込めた愛撫となりました。

⑨つぎつぎと口腔性交を移り替わった。心をこめて真澄は仕えていた。廃屋のとき以上に濃密さを真澄は口腔粘膜と舌にこめた。一通り終わると真澄は三人を回らせて尻を舐めはじめた。少年の尻は固く締まっていた。肛門まで真澄は舌を差し入れた。
(死神 ザ・デス 第五章 乱雲 3項より)

⑨の真澄のように、当然のことながら、麻紀子は口腔性交に知りうる限りのテクニックを駆使し、倉田に奉仕したでしょう。
亀頭舐め、尿道口舐め、竿舐め、睾丸舐め、口に含んでの亀頭吸い、舌での愛撫、喉まで呑んでの吸引、鼠蹊部や男根周辺部への舌での愛撫、掌や指、乳房で包んでの愛撫など、描写こそありませんが、麻紀子の奉仕は徹底したはずです。


それは、「心底から、ご主人さまに奉仕することだけを考える奴隷女になった」さまを、倉田に認めてもらう必要があったからです。
また、「体がついて行けないから」との記述があるとおり、容易な愛撫では倉田は勃起しませんでした。
そのため、麻紀子は相当長い間、倉田に口腔性交で仕えていたでしょう。


そして、その上での肛門舐め。
文章では明確に「肛門を舐めた」とは記述されていませんが、麻紀子は自分に尻を向けられたとき、どこを舐めたら倉田は喜ぶのか、あるいは、どこを舐めさせたいのかを考えたはずです。
人体でもっとも汚れている箇所であり、女にそこを舐めさせれば征服欲を満足させる箇所。
すんなりそこを舐めるかどうかが踏み絵なのは、麻紀子も承知していたでしょうから、ためらうことなく、舌を差し込んだり、舐め回したりしたにちがいありません。

男の尻の穴を舐めるなど、史上最高の「美女」である麻紀子には、こうして拉致監禁されなければ、考えたことすらない行為です。
おそらく麻紀子は、夫の真庭にもしたことがないでしょう。

倉田の目的は麻紀子たちの精神を破壊することにあったわけですから、「より深い屈辱」を与えるため、おそらく男根も肛門も洗っていませんでした。



⑩倉田は下腹部を押しつけてきた。
真庭は口を開けた。倉田の萎えたものを、口で愛撫した。悪臭がただよっている。その悪臭は脳髄に滲み込んだ。
(下巻 第十章 多国籍企業 5項より)

島に真水が不足しているため、長時間、倉田は男根を洗っていなかった可能性が高いです。
その上で、麻紀子の膣に溜まった「倉田の精液」と「麻紀子の愛液」の海を男根でかき混ぜ、それを真庭に舐めさせた。
倉田の汗や垢、精液、麻紀子の愛液、麻紀子や真庭の唾液が混じり合った悪臭は想像するのもおそろしいモノがあり、それがこの描写ではないでしょうか。

いずれにせよ、倉田はそれを麻紀子に与え、麻紀子もためらわずそれを口にしました。

この口腔性交につづく「肛門舐め」は、麻紀子の「究極の愛(ご奉仕)」でした。
あとにもさきにも、これを超える麻紀子の愛の行為(ご奉仕)は存在しません。

極寒の、死の世界から麻紀子は倉田の命令で暖かな部屋へと移されました。
もう少し遅ければ、凍死していたかも知れない精神的にもギリギリまで追い詰められた極限の状況でした。

麻紀子からみれば、いのちを助けて頂いたご主人さまは神にも匹敵する存在です。
その神に寛大なるお許しを頂き、死の直前から救出して頂いた訳です。
例えそれが自分を死の磔刑に命じた相手であっても、人間の精神とは奇妙なもので、死の恐怖や苦痛から解放してもらったこの場合、心の底からの感謝や愛情を感じるのです。

そして、こうした状況に追い込まれて、麻紀子にできることと言えば、いのちを助けて頂いた感謝の印として、自らの体を駆使した性の奉仕しかなかったのです。
倉田の男根や肛門を舐めることで、麻紀子は「ご主人さまの性に尽くす」喜びに心をふるわせ、思わず濡れてしまったといえるでしょう。

余談ですが、物語の最後には倉田は処刑されます。
しかし、麻紀子に肛門を舐めさせたのも倉田ただ一人でした。
このことから「麻紀子の肛門舐め」が「倉田ひとりの命」に匹敵する価値のあるものだったのは間違いないようです。
あの「逢魔麻紀子」に「洗ってもいない」肛門を舐めさせたのです。
倉田もおそらくは殺されても本望だったでしょう。

さて、以上のことから導き出される、このときの「ご奉仕の際の、麻紀子の表情」は


(1)表情がない。情感が死滅してしまったように、貌だけが白い
→希望のすべをすべて奪われ、絶望しかない心の表れ

(2)官能を浮かべた瞳
→ご主人さまの意図を理解すべく、常に倉田ををみている。男の性に仕える被虐感に、体を反応させている


と推測され、いつ倉田に、どんな命令を受けても即座に実行できるよう、常に倉田の様子を伺っていたと思われます。



まとめます。
倉田は麻紀子を全裸で床に跪かせ、その格好で自身の男根を含ませ、愛撫を強いました。
尻の穴を舐めるなど、真庭にすらしない行為を、倉田の命令で麻紀子はためらわず実行しました。
それはまさに奴隷女そのものでした。
倉田は、このような奉仕が「真庭の妻」麻紀子の「日課」であることを、「夫」真庭にみせつけたわけです。

目の前で、麻紀子が他人に犯される場面を、いままでにも真庭は二度みています。
一度目は組織の男、二度目は中垣です。
しかし、そのいずれのときも、真庭は麻紀子とはまだ他人同士で、その上、麻紀子はただ犯されるだけでした。
奉仕させられる場面は、みていないのです。
覚悟こそしていたでしょうが、実際に妻が他人の男根をしゃぶったり、尻の穴を舐める姿を見せつけられて、その衝撃は想像を絶するモノがあったでしょう。

とはいえ、それも倉田の目的の一つであったことは、想像に難くありません。

この段階までに、倉田は(1)~(4)の目的を達成したわけです。




麻紀子が、床に手足をついて、這った。
倉田が立って、麻紀子の尻を抱えた。
「ああ」
麻紀子が低い声を洩らした。
「どうかね、真庭君。妻が、こうして、犯されている風情は。みているがいい。いまに君の妻は、うれし泣きするよ」
倉田は挿入していた。白い尻を抱えて、ゆっくり、腰を使っていた。男根の出入りする白と黒のコントラストがみえる。自信があるのか、倉田は緩慢な責めをつづけた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

いよいよ倉田の大きな男根が入ってきました。
真庭が見つめる中、麻紀子は喜びの声を洩らします。

同じ状況は上巻にも述べられています。
自分のマンションで思いにふけっている麻紀子の脳裡に浮かんだイメージ。

「思わず肉のよろこびに声を上げた」

がそれです。

このときは、思いも寄らない体の反応に麻紀子が戸惑いを感じている記述が散見されますが、調教され、骨の髄まで男の味を覚え込まされたいまとなっては、もはや日常の反応なのです。

喜びの声を放つほどです。
おそらくこのときの麻紀子は倉田の男根の威力に貌をのけぞらせ、足をすぼめて男根を締めつけたでしょう。
ただ、大きな声を放たぬよう、うめいたあと、歯を喰い縛ってそれ以上の声を押し殺した可能性はあり得ます。
それはその後しばらくの間、倉田の責めにもかかわらず、麻紀子のあえぎ声の記述がないからです。

「肉のよろこび」でゆがまされた麻紀子の美貌が歯を喰い縛る様が、また、恍惚を浮かべた頬を卑猥にゆがめた倉田の赤ら顔が、読者の脳裡にまざまざと浮かび上がる秀逸な情景描写です。

さて次に倉田の様子を観察してみましょう。
まずは倉田の台詞です。
倉田はここの短い台詞の中で、妻という単語を二回も使用しています。
これはかなり印象的なことばです。
組織に麻紀子をとらえさせたあとも、倉田はしばらくは麻紀子が結婚した事実を知りませんでした。
例えば、直属の上司である関東製薬 会田秘書室長に結婚報告したわけでもなく、あるいは正式に籍を入れたわけでもない(婚姻届を役所に届けていないので戸籍はきれいなまま)ので、それは当たり前なのですが、倉田がその事実を知ったのが、なんと真庭が自宅を電撃訪問したときでした。
そのとき倉田は真庭に拳銃で脅されたあげく、撃たれ腕に怪我まで負ってしまいました。その際に真庭によって明かされた、倉田が熱を上げていた女が目の前の初対面の男と婚姻したという事実は、かなりの衝撃的なダブルパンチだったはずです。
そして、こうしてそのときの、ショックの復讐を遂げられることが現実となったいま、まさにいまこそ真庭への強烈なお返しとして、皮肉を込めてあえて強調したと思われるのが、この場面の「妻」ということばなのだと思います。
つまり、倉田の台詞を意訳すれば、こういうことではないでしょうか。
おまえが妻だと主張するこの女だが、わたしに後背位で犯されるのが、大好きなようでね。いつもすぐにうれし泣きするのだよ。わたしの毎日の性処理用にこうして犯してやっているのだが、それでもこんなに感じてしまう。これでも君はこの女を自分の妻というのかね。
と、いうところでしょうか。

このときは既に、倉田は麻紀子と何度もセックスをしていました。
そのため、どこをどう責めれば麻紀子が喜ぶのか、倉田にはわかっていたのです。



⑫中垣は麻紀子をうつ伏せにした。裸になって、乗ってきた。
唇を噛んで、耐えた。麻紀子はおそれていた。快感が訪れないことを、祈った。いつ殺されるかわからないが、死ぬ日までこうして、男の好きにされる。屈辱に耐えながら、その屈辱から喜びを得る女の体が、あさましかった。
脳裡の暗い海に何かが訪れつつある気配を、麻紀子はみつめていた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)



⑬どちらにしろ、麻紀子には相手がどんな男であれ、その男の男根を拒む理由はなかった。汚辱に満ちた体となりはてていた。
麻紀子は坂本の責めに染まりはじめる自身を知った。
「ああッ」
それほどたってはいなかった。ふいに麻紀子は絞るような快感に襲われた。
(上巻 第九章 孤島 2項より 途中略)

夫の真庭は知るよしもありませんでしたが、⑫⑬で明らかなように、この時点で麻紀子はどんな相手とのセックスでも、性の喜びを感じる体になっていました。
数多くの男根の責めに、徐々に体が馴らされてしまったのです。
別の言い方をすれば、性感が開発され、男根好き、セックス好きの女になっていました。

一月六日に麻紀子をとらえ、十五日に真庭が竹生島に侵入するまでの十日間、倉田は麻紀子を自分専用の性交奴隷として飼っていました。
上でも述べていますが、この際の、倉田に鞭打たれたのちに犯される麻紀子や、中垣に強姦される麻紀子などが描かれています。
そしてその間、少なくても十回は、麻紀子相手のセックスを倉田はしている可能性があるわけです。
十回が多いか、少ないかは、議論の余地はありますが、その間、倉田には麻紀子の感じるポイントをじっくり調べ上げるだけの時間的余裕があったのです。

巨根のクラインとのセックス描写でも明らかなように、麻紀子は大きいサイズがお好みのようです。
「臓腑にあたりそうなところまで、それが届く」のが好き、つまりは奥まで突かれることが好きと言うことです。
倉田もそれは充分わかっていたでしょうから、抜群の名器相手のセックスでも、余裕すらありました。

この余裕はどこから来るのでしょう。
一つは年齢相応の遅漏ということが言えるでしょう。
だが、それだけでない、麻紀子と重ねたセックスで確実に押さえた責めのポイントを、倉田はここで夫の真庭に披露します。

それが、「ゆっくり、腰を使っていた。男根の出入りする白と黒のコントラストがみえる。自信があるのか、倉田は緩慢な責めをつづけた。」の部分です。

いくら麻紀子が奴隷になりきり、二四時間いつで使用スタンバイ状態になっていたとしても、いきなり巨根の全力責めは苦痛でしょう。倉田の目的の一つは真庭の前で麻紀子を感じさせることもあるのですから、そこは倉田もちゃんと心得ています。

それは、三段階に分けた責めでした。
まずはじめは、挿入直後です。
はじめ、倉田は膣の奥まであえて突かず、大きな亀頭で丹念に入り口近くを責めます。
それが、「ゆっくり、腰を使っていた。」という描写です。
夫である真庭に挿入の事実を見せつけるという理由以外に、もうひとつの理由がこれでした。
麻紀子に確実な快感を植え付けるための秘策として、倉田ははじめに入り口付近を優しく責めたのです。


(1)「いまに、君の妻は、うれし泣きするよ」
(2)自信があるのか、倉田は緩慢な責めをつづけた。
この二つの記述は、真庭の妻である麻紀子と何度もセックスを重ね、
(3)おまえの妻はどこをどうされれば感じるのか、すべてわたしにはわかっている
(4)おまえの妻がいくこと(結末)はすでに決まっている
という二つの宣告を真庭におこない、その有様を見せつけている、まさにその記述なわけです。



⑭「後ろ手に縛って、犯してもいいわ」
細い声だった。
真庭は起きて手錠を持ち出した。麻紀子を転がして後ろ手に手錠をはめた。そうやっておいて、麻紀子の尻をかかげさせた。麻紀子は逆らわなかった。真庭は豊かな尻の割れ目に唇をつけた。しばらく舌で弄んだあとで、掌を入れた。麻紀子のはひどく濡れていた。かすかなうめき声がきこえた。
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)

麻紀子は倉田に奉仕させられている間に、既に濡れていました。
濡れやすい体質なのは、上の描写で明らかにされています。
それだけでなく、奴隷である麻紀子は、倉田への奉仕で体ができあがっていました。
つまり、麻紀子は倉田に入れてほしかったのです。
麻紀子は口の中で倉田の男根が完全に勃起したことを確認しました。
すべての準備が整ったことがわかり、それで、麻紀子は倉田の命令ではなく、自分の意志で愛撫を止め、「おねだり」で床に這ったのです。

奴隷の存在意義は、ご主人さまへの性の奉仕です。
奴隷は、ご主人さまに喜んで頂いて当然、見返り(愛撫)は求めてはいけません。
愛撫がなくても、奉仕しながら、自然と濡れなくてはいけません。

このときの麻紀子がまさにこれでした。
倉田の男根を口に含み、尻の穴を舐めさせられて、子宮が疼いた麻紀子は濡れていました。
おそらくこれから、真庭の前で倉田に犯される場面を想像し、マゾの炎を暗い脳裡に燃え上がらせていたのでしょう。
麻紀子も倉田に逝かされることはわかっていたはずです。
愛撫も無しに濡れてしまうということは、この時点で既に「麻紀子は奴隷女になりきっていた」証明でもあるのです。

ここでひとつだけ、麻紀子はいっけん、不可思議な行動を取っています。
倉田への奉仕を終えた麻紀子は、尻を倉田に向けて這うのではなく、反対側、つまりはその場に這っています。
これは真庭からすると、「尻を自分に向けて高く掲げた(差し出した)」状態にみえます。
奴隷であれば、犯して頂く為に、ご主人さまに尻を向けて差し出すのが当然でしょう。
ところが麻紀子は、倉田に対して土下座をするようにその場で這っています。

なぜなのでしょう。

ひとつ考えられることは、「男根の挿入」や「出入り」、「中出し」の様子を見せつける為に、倉田に命令され真庭に尻を向けて這ったということです。
もうひとつは、ここまで堕ちた麻紀子であっても夫である真庭には感じている貌を見られたくなかった、という二つの理由です。

麻紀子自身も倉田に奉仕している時点で、逝かされることはわかっていたはずです。
当然、その課程を真庭はみるわけです。
鬼無村村民を虐殺した憎むべき敵である倉田恵治に犯される。そして、夫の真庭にその様子をみられながらも、湧き上がる快感を抑えることができない。
ほんのわずかでも麻紀子の心に「羞恥心」や「女としての矜恃」が残っていたとしたら、せめて感じている貌だけでもみられたくないと思っても、なんら無理はなかったでしょう。



いずれは殺されるのであろうが、それまでは尽くすしかなかった。
そう覚悟を決めると、倉田にどんなに弄ばれても、苦にはならなかった。
正常な反応が出るのだった。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

という麻紀子の心情が、明確に、奴隷女になりきったことを物語っています。



倉田は麻紀子に一方的に奉仕させ、やがて、麻紀子を尻から犯しはじめます。
挿入された瞬間、麻紀子は思わず喜びのうめきを洩らしています。
倉田には、麻紀子が感じて、濡れているのがわかっていました。
挿入の瞬間に声を洩らすほどですから、麻紀子に奉仕をさせながら、倉田にもそれとわかっていたはずです。
(1)白い肌を緋色に染めていた
(2)恍惚の表情を浮かべていた
(3)息づかいを荒くした
(4)愛撫しながら、声を洩らしていた
(5)乳首を勃起させた
(6)濡れた股間が目に入った(太股が濡れている等)

等の反応が想像できます。



倉田は麻紀子を後背位で犯しはじめました。
「男根の出入りする白と黒のコントラスト」ですが、「白」は倉田の男根、「黒」は麻紀子の性器を表しているものと思われます。

男根の色が白いというのは、女性経験が乏しい、青白い貧相な男根が想像されますが、意外にも倉田には年齢相応の、麻紀子を屈服させてしまうほどの、それなりの経験があるようなので、青白いという意味ではなさそうです。
それではどうして白なのでしょう。
なぜ男根が白なのかといえば、おそらくは、麻紀子の唾液や愛液にたっぷりまみれた男根が室内灯に反射し、真庭には白く見えたのだと思われます。
また、愛液は摩擦が加わると白く塊状に変化するので、「愛液が大量に出ている」=「麻紀子が感じている様」を表現したかったのかもしれません。

つぎに黒ですが、その正体は影なのではないかと思われます。
倉田や麻紀子自身の体(主に尻)が邪魔になり、麻紀子の尻の割れ目やその奥にまで室内灯の光が届かず(それで影になった)、こちらも真庭には黒くみえたのでしょう。

とはいえ、真庭には麻紀子の性器は明確に確認できなかったかもしれませんが、巨根が麻紀子の股間に緩慢に出入りする様はみえたでしょうし、膣と男根の接合部分から発せられる「ねちゃねちゃ」という特有な卑猥で湿った音もはっきり聞こえていたでしょう。

この場面では、黒(麻紀子の膣)にしきりに出入りする白(倉田の巨根)と表現することで、「挿入していた」ということば以外でも、麻紀子の性器へのリズミカルな凌辱が始まったことを視覚的に、印象的に読者に想像させたかったのでしょう。

倉田の背中側にいる真庭から、男根の出入りがみえるというこの描写からも、倉田の巨根ぶりがわかります。
麻紀子への凌辱をわざわざ見せつけるために、自分の真裏ではなく斜め横に真庭を置いて、倉田は凌辱をはじめたということになるのでしょうが、それでも後背位の男根がみえるというのは、長さもかなりのものだと考えても間違いないでしょう。

亀頭部分を除く、純粋な陰茎部の勃起状態での長さは、麻紀子の尻の割れ目の厚みを考えれば、少なくても十五センチはほしいところです。
日本人女性の、平常時の平均的な膣の長さは七センチ前後といわれています。
性的興奮時には奥行きが拡がるそうですが、男根の全長が二十センチ程度あれば、膣の奥、子宮頸部まで突いても、出入りするさまははっきりみえたでしょう。

倉田の長くて大きな男根が、妻の麻紀子の小さな膣にゆっくり苛むように出入りする様子を、真庭は目の前で見せつけられるのです。

麻紀子は名器と描写されています。
武術家である麻紀子の肉体は鍛えられ、それ故、膣の締まりもいいのでしょう。
単に、貌が美しいということや、抜群の容貌肢体だったりというだけなく、この名器であるが故に、男たちはこぞって麻紀子を奴隷にしたがります。
拘束され、床に這いつくばった真庭の目の前で、倉田の男根は麻紀子の名器に無造作に出入りしています。
妻の麻紀子の、真庭にとっては「世界でたった一つのダイヤのごとく尊い」膣が、倉田にとっては毎日の性処理に使う「単なる性交器具」にすぎない現実を、真庭は思い知らされるのです。


この場面で思い浮かぶのは、初期作品である「黄金の犬<第二部>」です。



⑯「わたしの尻は男に乗られどおしです。性器には無数の男が出入りしています。生きているかぎり、その記憶は消えません。わたしは、汚辱にまみれた女です。男の便器と同じです」
(黄金の犬<第二部> 第二章 樽 6項より)

西村作品で非常に人気のあるヒロインの一人が、北守礼子です。
麻紀子とは根本的に異なり、男の暴力にはまったく無力な点が、西村作品男性ファンの萌え心をとらえているのでしょう。
このときの礼子のことばを借りれば、麻紀子はいまは倉田の性処理専用の「便器」として飼われているわけです。
この台詞は、作中で礼子が安高刑事官に語ったものですが、この描写はまさにいまの麻紀子にふさわしい、また、麻紀子自身がそのように考えても不思議ではない状況だと思います。

さて、はじめは手足をついた四つん這いの体位で犯されていた麻紀子でしたが、倉田の優しい責めがつづくにつれて、深く感じてきました。尻が上がり、上体を床に倒れ込ませていきます。



しだいに麻紀子の反応が昂ぶっていた。尻が上がっている。それをかすかに左右に振っていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

倉田の責めに、麻紀子はしだいに我を忘れていきます。
この反応をみて、倉田の責めは次の段階に入ります。

はじめは優しく責めていた倉田でしたが、そうしながら、麻紀子の反応が昂ぶるのを待っていました。昂ぶってきたら、責め方を変える手順です。

やさしく責めながら、(尻を上げて)倉田に性器を差し出してきた麻紀子の反応をみて、倉田は深く突きはじめます。
それが秘術第二弾でした。
大きな男根ですから、亀頭部分は麻紀子の子宮頸部にまで届きました。
下巻後述の、新納の骨を叩くアンネの拷問がごとく、倉田が腰を使うたびに、その亀頭が子宮頸部に当たり、麻紀子に屈服を迫りました。
倉田はゆっくり責めながら、麻紀子の膣と子宮に奴隷の刻印を「刻み込ませて」いたとも言えるでしょう。

さて、ついさっきまで寒風吹きすさぶ屋外に長時間全裸で放置され、暖房がきいた部屋に連れ込まれたとはいえ、麻紀子の体は充分に温まっていません。
このときの麻紀子は「冷たくて、磁器に似た」肌だったでしょう。
しかし、その膣は熱く濡れていました。
実際、女性のあそこの中は本当に暖かい。
倉田は「冷たい尻」を両手で鷲掴みにし、「炎のように暖かい膣」を男根で堪能していたのです。

そしてこのとき、麻紀子は歯を喰い縛り、貌を快感にゆがませていたはずです。
膣を、倉田の性処理の「性交器具」もしくは「便器」として扱われているのがわかっていても、麻紀子は感じてしまいます。
「尻が上がっている」ということは、「もっといままで以上に責めてほしい」であるとか、あるいは「もっと奥まで責めてほしい」であるとかで、結合を深めたがっている(ご主人さまに性器を差し出す)格好だからです。
「尻を左右に振る」ということは、腰が勝手に動いてしまうほど、麻紀子が深く感じはじめている証拠でもあります。
男根を名器が絞っていたのは間違いないところです。
麻紀子がいま、どんな状況に追い込まれているか、麻紀子と重ねたセックスにより、倉田にはすべてわかっていました。
それゆえ、倉田は麻紀子がいまどんな気分でいるのか、どんな状態なのか、真庭にわかるよう、麻紀子自らに語らせることが重要でした。




「どうだ、麻紀子」
倉田が訊いた。
「はい。ああ、もうー」
何もかも、麻紀子は忘れていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

それがこの場面です。

「どうだ」との倉田の問いは、「夫の前で犯される気分は?」と麻紀子の気持ちを聞いたものでしょう。
それに対して、麻紀子は率直にいまの気持ちを答えています。

「はい」は、奴隷女がご主人さまに答える、返事の仕方です。
麻紀子は以前、ご主人さまでもあった組織の男に「何かをいわれたら、ハイと答えるのだ」と命令され、奴隷の返事を習っており、奴隷女になり切っている「いまの麻紀子」は、即座に答えられるようになっています。

「もう」のつぎに来る言葉は、「だめ」と来るか、「いきそう」と来るか、いずれにせよ、屈服を表すことばでした。
このとき、麻紀子の脳裡にあるのは、「あなたさまに屈服いたします」という思いだけだったでしょう。
「何もかも、忘れていた」麻紀子にあるものは、かつて女王そのものだった頃には思いも寄らない「便器にまで堕とされて犯される喜び」「屈服させられる喜び」「征服される喜び」だったに違いありません。

倉田は麻紀子が感じている様子を真庭に見せつけようとします。
それが目的(5)です。
もはや倉田の奴隷でしかない麻紀子は、一番感じていることを悟られたくない夫に、おのが感じているさまを「ことば」で表現しなくてはならないのです。
夫にみられながら、快感を押し殺すことが出来ない。
倉田の緩慢な責めに我慢が出来なくなっています。
真庭の妻としては背徳の気分は相当なモノでしょうし、逆に、倉田の性交奴隷としては感じていることを隠してはいけない訳です。

麻紀子にこの台詞を吐かせたことで、倉田の目的(5)は達成されました。
そして、このあたりから、この矛盾の論理に、麻紀子の精神状態はグチャグチャになっていきます。

男としては完全に範疇外の倉田に、男根を舐めさせられ、尻の穴まで舐めさせられ、犯されて、逝かされる寸前に麻紀子は追い込まれています。



⑲視線が麻紀子を裸にしていた。麻紀子には男の渇望のはげしさはわからない。ただ、この倉田の前に裸身を横たえることはないであろうと、それだけはわかっていた。
(上巻 第一章 消えた村 3項より)



⑳牛の乳を絞る要領だった。萎んでいたのが、しだいに勃起をはじめた。擦りながら、麻紀子は男の生理の哀しさを思った。女は、犯されるにしても性器に変化はない。それに、犯されることに快感は感じない。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項より)

かつて、麻紀子は倉田には決して裸をみせないし、みせることもないと断言していた時期がありました。
また、たとえ意に反し犯されても、女は感じないと思い込んでいたこともありました。
その麻紀子がいまでは倉田の性処理のためだけに飼われている性交奴隷です。
毎日、口と膣を性処理に使われ、しかも感じてしまうのです。
プライドの高い麻紀子にとっては、死にたいほどの屈辱だったはずです。
しかし、真庭が捕らえられたとあっては、麻紀子にはもはや脱出する手段は残されていません。絶望の中、倉田の凌辱を拒む手段はいっさいないのです。
いまの麻紀子にとって、倉田恵治は「絶対君主」、「生殺与奪の権を握る神」そのものでした。
奴隷でしかない麻紀子にとっては、倉田の命令は「神の命令」そのものでした。

この「夫の前で犯され、逝かされる」行為は、麻紀子の精神を破壊し、いっさいの希望を奪い去るために倉田が用意した儀式そのものだったのです。
事実、麻紀子は



(21)
真庭のいう警官隊はこない。もう、こないのだと思った。倉田から逃れるすべは、皆無だった。 いずれは殺されるのであろうが、それまでは尽くすしかなかった。磔の恐怖には耐えられない。
そう覚悟を決めると、倉田にどんなに弄ばれても、苦にはならなかった。
正常な反応が出るのだった。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

と、性交奴隷として死ぬまで倉田に尽くす覚悟を決めるのです。

そして、緩慢な倉田の男根の責めの前には、他の選択肢はいっさい無く、「ご命令通り」に「うれし泣き」へ突き進むしか、麻紀子には無かったのです。


竹槍で刺し殺される激痛と恐怖を考えれば、例え、死ぬまで男の性処理の道具として扱われようとも(毎日、倉田の尻の穴を掃除するため舐めさせられようとも)、この状況に追い込まれれば、犯されて得られる性の快感は「一筋の神の救い(わずかな神の施し、憐憫)」のようにも感じたでしょう。

犯されている間は、殺される心配がない安心感がありますし、例え首を絞められて殺されても、そうなれば、もうそれ以上は苦しまないで済みます。
そして、いつもより優しくしてもらえる上に、性の快感も頂けるわけですから、それに縋りつきたいが為に屈服し、性交奴隷になりきっていたことは容易に推測されます。

ヘルバルト社の工作員が竹生島に潜入していなければ、麻紀子といえども、身も心も屈服し、人間としての自我が崩壊し、文字通り、性交器具になり切るにのはそれほど時間はかからなかったでしょう



(22)
「どうだ、泣いてみろ」
倉田の動きが早くなっていた。
「あッ!いい、いい、いいのー」
狂瀾が訪れていた。麻紀子は早口に快感を訴えた。泣くような声になっていた。訴えつづけた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

さて、ここでいよいよ倉田の麻紀子責め秘策、最終段階です。
倉田はそれまでおこなっていた子宮頸部への深くてやさしい責めに代え、強くはげしい責めをはじめました。
子宮頸部を亀頭部分で強く突きはじめたのです。
それが「倉田の動きが早くなっていた。」です。

名器に絞られ、いよいよ倉田の射精も近づいていましたが、麻紀子の反応にあわせ射精感もコントロールしていたわけです。

これらはすべて、麻紀子をとらえたこの十日あまりのセックスで習得したものです。
麻紀子に対しての粘着とか、倉田はあまり女性にはもてなさそうなイメージが強かったのですが、意外と女性経験ありそうで・・・やりますね。

ここまで来ると、残すは麻紀子を真庭の前で泣きわめかせることだけでしたが、それは時間の問題でした。
それまでの後背位での責めで、麻紀子は屈服する寸前まで追い込まれ、膣も愛液まみれのトロトロにされていましたが、この子宮頸部責め(今風にいえばポルチオ?)で、麻紀子は完全に屈服してしまいます。

そうです。倉田は子宮を突いて、麻紀子に逝くよう、命じるのです。

「どうだ、泣け」ではなく、「どうだ、泣いてみろ」と命じたことには、意味があります。
「~してみろ」とは、「~してみせろ」という意味が込められており、つまりは夫の前で犯されて泣いてみせろという意味なのです。

倉田の目的が、(6)(7)であることも麻紀子は理解していました。
麻紀子が倉田の性に奉仕する場に、わざわざ真庭を引き出して、その様子を見学させたからです。
奴隷女である麻紀子は、神である倉田の命令には絶対服従です。
夫にみられているのがわかっていて、麻紀子は倉田の命令通りに昇りつめます。
「泣いてみろ」と命じられ、緋色に上気した美貌をゆがませて、泣きながら、おのれの状況を口走ります。
昇りつめている最中ですから、「あッ」と発するところ、無理にことばを発しているため、「早口」で「泣くような声」になっているのです。

麻紀子はそれでも倉田の命令を忠実に実行しようとします。
「訴えつづけた。」という描写がそれです。
倉田の奴隷女である麻紀子は、逝きつづけている最中でも、命令通りに、おのれの状態を報告しなくてはなりませんでした。
絶頂という究極の精神状態でも、倉田の命令を遂行しようとする麻紀子。
心の底から屈服し、奴隷になりきった麻紀子の様子は、サディストである倉田には、心を絞るような情景だったでしょう。

「訴えつづけた。」の場面で麻紀子がどんな台詞を口にしたのか、判断が分かれるところですが、個人的には、昇りつめた悲鳴の合間に「いく」と何度も口走り、倉田への屈服を訴えたのではないかと考えています。

それは、このときの倉田の目的が、真庭の目の前で妻である麻紀子の身も心もを征服することだったからです。
それが目的(6)になります。

麻紀子は真庭に尻を向けた格好で犯されていたので、真庭にみえるのはその尻だけでした。そのため、麻紀子が倉田に屈服したかしなかったのかの判断材料は、あえぎ声と膣の痙攣に伴う下腹部の痙攣だけでした。
麻紀子の本気のセックス(夫婦の性愛)を経験している真庭には、麻紀子の声や痙攣が演技なのかどうか、明確にわかったはずです。
かつておのれの妻だった女が、いまではこうして主人たちの毎日の性処理のためだけに生かされ、鎖につながれ飼われている現実。また、その麻紀子自身が心底から性交奴隷になりきり、犯されても喜び悶えている様を見せつけられ、このときの真庭の精神を描写するとすれば、嫉妬の炎でドロドロになっていたでしょう。

(23)
倉田の放出したものが、小さな部屋を埋めた。
倉田は余韻を愉しむように尻を抱えていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

倉田は麻紀子の中に射精しました。
それは、麻紀子が何度も昇りつめたことを確認してからでした。
麻紀子の尻を抱えたまま、しばらく膣の痙攣を愉しんでいたのがこの場面です。


描写は省かれていますが、(23)の1行目と2行目の間では、「麻紀子は、高くかかげた尻を倉田に抱えられたまま、凌辱が終わったあともしばらくは、泣きうめきながらはげしく呼吸しつづけていた」でしょう。
あるいは、倉田の射精を膣と子宮に受けた瞬間にも、再度、昇りつめたかもしれません。
一瞬で麻紀子の膣を「埋める」ほどの勢いですから、はげしく膣の奥と子宮に当たっていたのは間違いないからです。
男とは異なり、女である麻紀子は逝ったあとでもしばらくは絶頂の高みを漂っていたでしょうから、倉田だけでなく、麻紀子も膣を痙攣させながら、「余韻に浸っていた」のです。

さてここで少し、このときの麻紀子について掘り下げてみましょう。

麻紀子は凌辱が終わったあとは尻を倉田に抱えられたまま、身動き一つしていません。
これは二つの状況が考えられるでしょう。

一つは、倉田に逝かされつづけた麻紀子が、最後には意識を失っていたというケースです。
その場合は、2行目とその次の行間には、「さっきまでの喧噪が嘘のように、部屋は静寂に包まれていた。麻紀子は倉田に尻を高く抱えられたまま、両腕と上体を床にぐったり這わせていた。いまだ深く結合したままだ。身動きひとつしない。なかば失神状態だった。」という文章が想像されるでしょう。

もう一つは、「麻紀子がセックスの余韻をむさぼっていた。」というケースです。
この場合ですが、絶望のどん底にありながらも、いまのこの瞬間だけは、麻紀子は至福感に包まれていたでしょう。
厳冬のさなか、下着を身につけることすら許されない奴隷の麻紀子にとって、主人が与えてくれるセックスの快感は、死の恐怖や絶望をほんの一瞬でも忘れられる「麻薬」であり、奴隷が得られる唯一の悦楽だからです。

あるいはほんのわずかでもこの「幸せなひととき」を長引かせる為、、男根を抜かれまいと、射精が終わって男根が萎みはじめても、その男根を膣で絞っていたかも知れません。

倉田にとっては、夫である真庭の目の前で、妻の麻紀子に「中出し」することに、意味がありました。
それが目的(7)です。


「棒を持てば数人の男はあっという間に叩き伏せる力のある麻紀子が、裸にされ、縛られて、思うさまに男たちの慰みものになっているのだ。」
この描写の通り、倉田は麻紀子を性の奴隷として飼い、「必要とするときにはいつでも引き出」しては犯し、逝かせ、膣に射精しています。
「おまえの妻は、いまはわたしの性交奴隷だ」「男根に仕えさせることも、逝かすことも思うがままだ」「毎日、こうして逝かせてやってる」「麻紀子も犯されて、こうして喜んでいる」と、夫に見せつけることが、このときの倉田恵治の目的でした。
それが目的(8)になります。

名器であるが故に、簡単には逝かないはずの麻紀子を自在に逝かせ、屈服させ、その上、その膣にたっぷりと精液を放出しました。
「余韻」とは、滲み拡がる射精感だったでしょうし、全身の倦怠感だったでしょう。
またあるいは、麻紀子の膣の痙攣を味わう快感だったでしょうし、屈服させた麻紀子の膣に射精した「征服感」でもあったでしょう。
夫である真庭は、無力感に苛まれながら、その一連の有様を見守るしかありませんでした。
この射精した瞬間に、倉田は真庭・麻紀子夫婦を完全に支配し、目的(8)を達成したわけです。


これが何回目の「中出し」になるでしょう。
確認できるだけで、上巻では10回(凌辱されたと明確に推測される回数を合わせると27回以上)で、そのうち真庭の目の前でされた回数は3回(組織員の男、中垣、真庭本人)、下巻では16回(推測回数は16回以上で、肛門性交が1回)で、そのうち真庭の前では4回になります。
初めて真庭が目撃させられたのが、謎を追いはじめてすぐのときで、当時は恋愛感情などはなく、単なる事件の被害者家族と捜査員の関係でしたが、それがこのときは夫婦となっている二人です(婚姻届は出さず?)。
事件が解決(続編では解決したことになっている)したのちに、関係が解消されたのも、夫であった真庭のショックがあまりにも大きかったことを物語っています。


寿行作品でもこれほど直接的で、卑猥な想像力をかき立てる表現は他にはみあたらない貴重な「中出し」シーンです。
他には、同「峠」下巻後半の、野萩広子が組織に拉致され、岩田に犯されたシーンの描写が思い当たる程度です。



(24)岩田が、突き破るように動いている。その動きが、やがて、熄んだ。
射精していた。
生暖かいものが体の芯を埋めている。
(下巻 第十七章 宣戦布告 2項より)

それだけに、先生はこの場面に強烈なインパクトを残したかったのです。
「小さな部屋」が膣か、子宮かは判断が分かれるところですが、倉田の年齢は初老であり、若者よりは精液の量が少ないでしょうから、「埋められる」ほどの量は「膣」ということになるでしょう。
また、「小さな」は、「麻紀子の膣が小さい」=「名器」であることを表しているとも考えられます。


いずれにせよ、夫からすれば、覚悟はしていたものの、決してみたくない瞬間だったでしょう。
倉田に犯され、性の喜びに悶える麻紀子の姿もみたくはなかったでしょう。
麻紀子もそれは承知していたはずです。
しかし、できなかったのです。
真庭の前で「うれし泣きすること」、「中出しされること」はご主人さまの「意思」でした。

真庭は倉田の腕を銃で撃ち抜いています。
恨み骨髄に徹していたのです。
夫である真庭の前で、その妻に男根を舐めさせ、尻の穴を舐めさせ、後背位で犯し、悶えさせ逝かせる。
仕上げにたっぷり「中出し」し、妻を征服することで、その恨みをはらしたのです。

真庭も麻紀子ほどの女が倉田に犯され、うれし泣きすることまでは想像していなかったでしょう。
まさかと、衝撃だったはずです。

8つの目的を果たした倉田でしたが、まだまだそれでは満足できなかったようです。
このあと、真庭夫婦にさらなる凌辱を加えていきます。



(25)
倉田は余韻を愉しむように尻を抱えていた。
やがて、抜いた。
「舐めて、きれいにしろ」
倉田は、それを、真庭の顔につきつけた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)



(26)いまだに、真庭には嘔吐感がある。思いだすたびに、内臓がむかついた。口に、倉田恵治の男根の感触がある。喉の奥まで差し込まれて、汚物を舐めとらされた上に、小便を飲まされた。
さらに、逢魔麻紀子の性器に溜まった倉田の精液まで、舐めとらされた。
それを思うと、舌を咬み切って死にたい気がする。倉田は、麻紀子を犯すときはかならず同じことをさせるといった。あれはまちがいない。残虐趣味の倉田には、それが愉しいのだ。
奴隷にした男女の精神を破壊することが、この孤島に追いつめられた倉田の唯一の慰め、そして、栄養になっている。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

それがこの二つの描写です。
まず倉田は、たったいままで麻紀子の膣に入れていた精液まみれの男根を真庭に舐めて掃除させようとします。
そして、それが終わり次第、麻紀子の性器の掃除を命ずるのです。


麻紀子は処刑場からそのまま倉田の部屋に連行されています。
真水が不足していますから、奴隷女に過ぎない麻紀子にはシャワーを使わせてはくれません。
処刑場で失禁した麻紀子は、おそらく汚れた下半身そのままで、倉田に凌辱されたことでしょう。
倉田は自身の精液や麻紀子の愛液だけでなく、性器や太股に飛び散った麻紀子の小便すら真庭に舐めさせたのです。

残虐趣味の倉田が、真庭に屈辱を与える為にとった「逢魔麻紀子の性器に溜まった倉田の精液まで、舐めとらされた。」方法とはいったい何でしょうか。
ひとつは、「半失神状態の麻紀子を床にあお向けにさせ、股間を拡げさせ舐めさせる」方法。
もうひとつは、「麻紀子を床に四つん這いに這わせ、麻紀子自らの指で性器を左右に拡げさせ、それで肛門から膣までを舐めさせた」やり方の、ふた通りが考えられます。
そして、二番目の方法であれば、真庭夫婦に「同時に」、「より」深い屈辱を与えることが可能です。
それは今度は「洗っていない妻の肛門」を夫である真庭に舐めさせることが出来るからです。



そしてこれ以降、真庭夫婦への暴虐の嵐が延々と続くことになります。



少々話はそれますが、倉田に凌辱されているとき、「麻紀子は素裸だった」との記述がありますが、本当に「一糸も身にまとわない」素裸だったのでしょうか。
素裸で十字架に磔にされ、そのあとすぐに倉田の寝室に連れ込まれたわけですから、当然と言えば当然なのですが、竹生島に移送される際、倉田は麻紀子にこう宣告されています。



(27)「君には足枷をつける。歩けるほどの長さにはしておいてあげよう。」
(上巻 第八章 虜囚 4項より)

この足枷は「鉄輪に鎖のついた足枷」で、その形状はノベルズ版のイラストで明らかにされています。
人力では千切れない強度の鎖が、両足にはめられた鉄輪に取り付けられています。
鎖が鉄輪から外れるタイプか、それとも鉄輪が開いて足から外れるタイプなのかは、イラストや記述からは判断できません。
坂本とのセックスのときに記述がありますが、正常位のときは足枷の片方を外すしかなく、後背位を好む主人たちですから、麻紀子に仕えさせるときはこのまま外さず、していたと思われます。

ただしこのときは、麻紀子が足枷をかけられていた記述はどこにもなく、状況の推移からもそれはまず無いと言えるでしょう。

そして、もう一つ。
下着について考えてみましょう。
ノベルズ版の表紙イラストでは、麻紀子が素裸の上に「黒いガーターベルト」、「黒いストッキング」、「黒いハイヒール」を身につけ、床に跪き、男の股間にしがみつき男根を愛撫している(おそらく口腔性交)様子が描かれています。

このイラストはどこか特定の場面を描いたものなのかは定かではなく、凌辱される麻紀子の象徴的なイラストだと思われます。
ただし、この倉田に凌辱される場面にふさわしいモノと、個人的には考えています。
そう考える根拠として、「若さを示す背筋の凹みが、尻の豊かさが」読者の「目の前にある」からです。

しかしながら、足枷、そして妖艶な黒の下着のいずれも、麻紀子が身につけていた記述はありませんので、このときの麻紀子は「一糸まとわぬ素裸」だったのはまちがいでしょう。
「残虐趣味の」倉田が相手と考えると、妖艶な下着、ヒールと足枷を付けた麻紀子の姿を想像するも興味深いかも知れません。

最後に、作中にはいっさいの記述がないのですが、仮説として、倉田のさらなるもう一つの目的を挙げてみたいと思います。

倉田は麻紀子をさんざんに逝かせたあと、たっぷり射精しました。
体位は後背位。
麻紀子は尻を抱えられ、逝ったあと、上半身はぐったり床にうつ伏せているので、男根は膣の奥まで入っていました。
麻紀子の膣を埋めるほど大量に放出された精液です。麻紀子の絶頂に伴って下がってきた子宮頸部や子宮口を完全に浸していたでしょう。
つまりは実際、麻紀子の子宮内部に倉田の精子が相当量、入り込んでいたわけです。
排卵タイミング次第ですが、麻紀子には倉田の胤を宿す充分な可能性があったということです。
このとき倉田も、麻紀子の妊娠をアシストするかのように射精し、しばらくの間、太い男根で膣の蓋をして、精液が外に流れ出ないように図っていた可能性があります。

人間はもともと妊娠しにくい生物だそうで、妊娠を望んでいる男女が完璧なタイミング(男女ともに妊娠を望んでいるケース。生理のタイミング。男女の体調。ストレス。遺伝的要素。喫煙の有無。運動不足。睡眠時間。食生活。性行為の頻度等)でセックスしたりしても、妊娠の確率は30パーセント程度だそうです。
その中でも、絶海の孤島での性交奴隷という劣悪なストレス環境ですから、その確率は一桁まで下がっていたかもしれません。

倉田の目的は、真庭夫婦の精神を破壊することでした。
麻紀子が殺したいほど憎んでいる敵の男の胤を孕んだら、夫婦の精神的打撃は計り知れないことでしょう。
医者もいない孤島ですから、孕んだら産むしかないわけです。



(28)犯されながら、牧子は、老人たちの胤を孕む自分を想像した。孕めば、産まねばならない。陽光のない洞窟深くで八人の女がそれぞれ子供を産んで育てる光景を思い描いた。
種つけ牧場ということばが、浮かんだ。種を植えつけられるために自分たちは死ぬまで地底の牧場で飼われる裸の牝であった。
(悪霊の棲む日々 第五章 死刑執行 9項より)

敵の首魁の胤を孕み、その子を産む。
こちらの作品で、似たような状況が描写されていましたが、敵役にとってはこれこそ究極の復讐方法といえるかもしれません。



最後に。
改めて調べてみると、麻紀子が中逝きさせられたすぐあとに、中出し(膣内射精)された(推測含む)回数は、今回の倉田の凌辱を除いても、なんと12回もあります。
その中で、明確に描写がされているものは以下の通りです。

(29)中垣は狂ったように麻紀子の尻を犯していた。麻紀子が突き動かされている。波のように体が揺れていた。
ー耐えろ、心を閉ざせ!
真庭は念じた。生死の境であった。
「あッー、あッー」
麻紀子がかん高い悲鳴を放った。長い余韻を引いて、語尾が夢幻の世界に消えた。
ー麻紀子!
真庭は胸中で叫んでいた。麻紀子は死を選んだのだった。中垣の責めに耐え切れずに、唯一の機会を逃したのだ。おそらく、もう放心状態にちがいなかった。
中垣はなおも責めたてていた。
すぐにまた、麻紀子がかぼそい声をあげはじめた。泣いていた。泣き声が中垣の動きで、千切れている。
中垣の動きが早くなった。
そして、はてた。はてて、中垣はしばらくの間は動かなかった。麻紀子の尻を掴みしめたままだった。麻紀子は中垣を尻に乗せたまま、身動きひとつしなかった。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項 途中省略)



(30)真庭は、麻紀子の尻を抱えた。
麻紀子は黙って、尻をあずけていた。
ふいに、麻紀子は声を上げた。どこに潜んでいたのか、炎がまた脳裡の暗い海に燃えはじめていた。炎は、転がりはじめた。麻紀子はとぎれとぎれに声を洩らした。やがて、真庭がはてた。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項 途中省略)



(31)男はゆっくり、焦らずに腰を使いはじめた。股間を、火の棒が灼いていた。
「ああ、ご主人さまッ」
麻紀子は、男の胸にしがみついた。
わけがわからなくなりはじめていた。男の一突きのたびにすーと気が遠くなりそうな快感が湧いて出るのだった。
男は同じリズムを保った。小さな気泡がつぎつぎと男の男根から生じて麻紀子を頂点に誘っている。気泡は脳裡の暗い海面に浮かび出て、つぎつぎと、弾け散った。
その速度が速くなってゆく。
気泡は際限もなく湧いた。
麻紀子は悶絶した。
気づいたときには、うつ伏せにされて、男に尻から犯されていた。すぐに、男は痙攣してはてた。
(上巻 第八章 虜囚 2項)



(32)「待って。この格好では無理だわ。うしろからして」
麻紀子は寝返った。足枷があるから、充分に足が開けなかった。
うつ伏せになって、抱きやすいように尻を高くかかげて、坂本に向けた。
「ああ、きれいな、お尻だ」
坂本が、またうめいた。
「ありがとう。存分に、して」
坂本が尻をかかえた。
すぐに熱い男根が体に埋め込まれた。坂本は力のかぎり麻紀子の尻を抱えていた。死刑になるかもしれない性交だった。その思いがこもっているのかどうか、麻紀子は坂本の責めに染まりはじめる自身を知った。
「ああ、わたし、いいわ」
自然に声が出た。主人たちに較べるとどれほどかやさしい責めだった。傍で、男女が声を呑んで見守っていた。
坂本は、ゆっくり腰を使っていた。
「ああッ」
それほどたってはいなかった。ふいに麻紀子は絞るような快感に襲われた。
坂本の隣につながれている森中は、喉がひきつれていた。薄明かりの中で麻紀子の豊かな尻が小刻みに突き上げている。真白い尻だった。すばらしく伸びた足が森中の目の下にきていた。膝を突いた、そのふくらはぎに力がこもっている。森中は耐えきれなくなった。麻紀子の足に縋りついた。
冷たくて、磁器に似た足だった。
坂本が、はげしく突きたてた。
そのときだった。
中垣明ともう一人、見張りが立っていた。
坂本は、それを見て、ビクッと体をふるわせたとたんに、射精した。長い放出だった。泣きだしそうに表情をゆがめて、中垣をみた。
「おゆるしください」麻紀子が哀願した。「わたしが、したかったんです。わたしが、誘ったのです」
中垣は無言で坂本がかかえた麻紀子の尻をみていた。
「終わったのなら、いいかげんに尻を離したらどうだ」
冷たい声だった。
(上巻 第九章 孤島 2項)



(33)「君の夫には、済まないことをしている。許してほしい」
新納辰吉は罪意識をおぼえていた。
「いいえ、博士。充分に愉しんでいただきます。よろしければ、ゆっくり、弄んでください。わたしに、博士のを、口で愛撫させてください」
新納は命の恩人だった。
新納の手助けがあれば、脱出の可能性はある。そうなれば、倉田への復讐ができる。ただの復讐では絶対に済まさない。ゆっくり、ゆっくり、永劫のような責め苦を与えてやる。
「いや、そんなもったいないことは、わたしにはできん」
「ああ、博士、わたしを許して、あッ、もう、わたし-」
麻紀子は貌をのけぞらせた。それは性感から来た喜びというよりは、絶望の闇に一条の光を得た喜びが導いた快感であった。
新納がはげしく腰を使った。
「とても、美しい体だ」
新納は、はてていた。
「ありがとう、博士」
「そのままにしていなさい」
新納はチリ紙を持ってきて、たんねんに後始末をしてくれた。それが終わったあとに、冷たい塊が膣に押し込まれた。
(下巻 第十章 多国籍企業 4項)



上記の描写を含め、12回の内訳ですが、倉田が1回、中垣が3回、真庭が3回、奴隷男の坂本が1回、新納が1回、クラインが1回、組織員が2回です。

麻紀子の娘、紀魅は暗殺船レグルス号の船長、秋葉達人との子という設定になっています。
が、あくまでも可能性の問題ではありますが、父親が中垣明だったらということも、あるいはひょっとして倉田?なんて結末も作者の気分次第であり得たかもしれません。

「峠に棲む鬼」の続編たる「花に三春の約あり」で、恋人(内縁の夫)だったはずの真庭といつの間にか別れていたのも、事件後に妊娠に気づいた麻紀子が、その子の父親が真庭でないと知って自ら別れ、何も知らない初心(?)な秋葉と一緒になったなんて驚きの展開があったかも。

男が早漏であればあるほど、産まれてくる子供は女の子の確率が高まるとの説もあるので、作中で完膚無きほど男たちに逝かされまくっている麻紀子という事実からすれば、父親はやはりヘタレのイメージが強い秋葉(やっぱり本命)ということになるでしょうか。

妄想は果てしなく尽きないですね。


イラストは、東スポ版「峠に棲む鬼」第105、122、123、124(番外編)、125回。及び徳間ノベルズ版「峠に棲む鬼」上巻表紙、P201 第八章 虜囚に掲載された「関東製薬の組織に拉致された逢魔麻紀子が、倉田に凌辱された」場面を描いたものになります。
竹生島の麻紀子の状況を描いたモノで、安岡旦先生、辰巳四郎先生、山野辺進先生の傑作です。
Scan10112-1.jpgScan10103-1.jpgScan10121-1.jpgScan10122-1.jpgScan10123-1.jpgScan10125-1.jpgScan10333-1.jpgScan10300-1.jpg
★著者:安岡 旦、辰巳四郎、山野辺進

★販売元:東京スポーツ新聞社、徳間書房

★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。

★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。

★画像使用に対し、原権利者からの削除指示がある場合は即座に削除します。

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峠に棲む鬼「イラスト分析27」・・・代表的凌辱場面を考察する(その5) [峠]

前回に引き続き、「峠に棲む鬼」の主人公である逢魔麻紀子が「レイプの被害者」から「性交奴隷」に代わる分岐点になった場面の紹介をします。
今回もこのブログなりの大胆な解釈(個人的見解)を述べさせて頂きたいと思います。





<独自の解釈なので、不要な方は以下を「ご覧にならない」ことを強くお奨め致します>




あらましです。

「峠に棲む鬼」東スポ版98回のサブタイトル「憎むべきあの中垣が投網をもって麻紀子の前に現れた」、東スポ版99回のサブタイトル「麻紀子は再び中垣につかまった。ベッドにうつ伏せにされてまた…」の場面です。



関東製薬の闇組織に襲われ、拉致監禁された麻紀子でしたが、組織員の隙を突いて脱出を試みます。運良く脱出の途中で棒を入手できた麻紀子は、男の敵ではありません。
次から次へと現れる殺し屋じみた組織員の睾丸と男根を棒で叩きつぶして倒していきます。
まさに「無双」となって、出口に突き進む麻紀子でした。
そして最後の最後に、ダンジョンのラスボスたる中垣明が現れ、麻紀子と対峙するのです。
場面はそこからのスタートです。










出口に、足音もたてずに、一人の男が立った。
麻紀子は、足を停めた。男は奇妙な服を着ていると思った。すぐにそれが服ではなくて、投網(とあみ)を体にまとっているのだとわかった。
男は半身になっていた。いつでも投網を投げられる態勢になっている

「棒を捨てろ、逢魔麻紀子」
男は麻紀子の目をみつめた。
「中垣ー」
「そう、中垣明だ」
「とうとう、出てきたわね」
麻紀子は、、二、三歩、退った。
恨み骨髄に徹している中垣である。
真庭正之とともにとらえられてたときの、暴虐の数々を思いだした。あれが、この闘いの発端となったのだ。
「棒を捨てろと、いっておる」
「お断りするわ」
麻紀子は棒を構えた。
「無駄だ。そいつも、投網にはかなうまい」
中垣は半身の姿勢を保って、にじるように動いた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
牢獄からの脱出をはかった麻紀子は、途中で棒を入手したことで、無敵の無双状態になっています。
その無敵の女戦士「麻紀子」の前に現れたダンジョンのラスボスが、「中垣明」でした。
無敵の女戦士が敵にとらえられ凌辱される場面は、男のおかずとして定番のひとつになっています。それは今も昔も変わらない(いわゆる「萌え」)のは、改めてみてもうれしいかぎりです。
ラスボスたる中垣明の最終兵器は「投網」でした。
ラスボスの最終兵器なのだから、最強の女戦士に絶大なる効果があると、予告されているようなものです。
実際、中垣の口から麻紀子への最終宣告が自信たっぷりに確信を持って語られています。
このあたりは、麻紀子が凌辱される妖しい場面をふたたび見られるかも……という読者心をくすぐる演出として、何度見てもわくわくさせられる場面です。

この場面で西村先生の用意周到さに驚嘆させられるのは、杖術の奥義会得者である逢魔麻紀子への最終的な対抗策として、組織が投網を用意していたという点です。
逢魔高時率いる鬼無村へ組織が進行した際、すでに組織は杖術を熟知していたのでしょう。それは鬼無村村民である平岡が組織にとらわれた際、杖術を使い、逃れたことで、一村民に過ぎない平岡がこの驚くべき杖術を会得していた事実は、組織に非常な脅威を与えたのでしょう。
それは、村民であればだれでも、例え女子供・老若男女にかかわらずこの杖術を会得している可能性があるからです。
そのため、組織が鬼無村を襲撃した際、村民すべてを皆殺しにする為、組織員は自動銃を装備していたのでしょう。
ただ、この事件でわかるとおり、自動銃では手加減の余地もなく相手を殺してしまう。
それでは麻紀子相手にはダメなのです。
それゆえ、「杖術を操る相手を捕獲する為には投網を使用する」という設定を設けたのではないでしょうか。

ここまで来ると、西村先生の本作に対する驚くほどの深い設定にはただただ驚かされるばかりです。




どうなるのかは、麻紀子にもわからなかった。明鏡流極意にも投網との闘いはなかった。想定したこともないのだ。中垣が投げる投網は大きな円を描いてスッポリ麻紀子を包み込もう。もし、包み込まれたら、それまでだ。棒は動かなくなる。
襲いかかる投網を、棒で打ち払えるかーそれは、やってみないとわからない。かりに打ち払えたにしても、その隙を衝かれて中垣に組みつかれることになれば、万事は終わる。
だが、棒は捨てられなかった。
そうすることは死を意味していた。男たちは憤りのあまり、麻紀子を牡猿に犯させ、その猿の女にするにちがいなかった。素裸で檻にいれられ、牡猿に背後から犯される日日を思うと、その屈辱に耐えることはできなかった。
生か死かが、棒一本にこもっていた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
ラスボスの最終兵器「投網」を前にして、無敵の女戦士麻紀子も少々ひるんでいます。
あまりにも意表を突かれた武器に、動揺を隠せません。
オリンピックを見てもそうですが、一流同士の闘いで技術レベルにそれほどの違いがなければ、決め手になるのはやはり気迫の部分が大きいでしょう。
このときの中垣明と麻紀子の関係がまさにこれで、麻紀子は闘う前から中垣明に呑まれてしまっています。闘う本人ですら勝利を確信していないわけですから、これでは勝てるはずもありません。
中垣明の勝利は確定的でした。
そして、そのことは当の麻紀子にもうすうす予想できました。
中垣と対峙しながらも、ふたたびとらえられ、素裸にされ、猿に投げ与えられる自身を早くも想像しています。
後背位で牡猿に犯される自身を想像し、屈辱に身を震わせているのです。
しかし、麻紀子は気力を振り絞り、そのおぞましい想像を振り払い、棒に集中します。
それがこの場面です。




中垣はゆっくり、前に出てきた。
麻紀子は隙を窺っていた。
中垣の足が、にじり出た。
麻紀子は床を蹴った。
中垣との距離は数メートルとなかった。棒を伸ばして突進すれば三、四歩で届く。届けば、そのときには中垣は死んでいるのだ。
麻紀子が床を蹴ったのと同時に、中垣は腰をひねっていた。
音もなく投網が拡がっていた。
拡がった投網の向こうに中垣の姿がみえる。そのまま突き進むか、払うかで、麻紀子に、一瞬、ためらいが出た。そのためらいが麻紀子の明暗を分けた。
腰を引いて、眼前に拡がる投網を、打ち払った。
投網の大きく開いた傘が、急に絞られた。一点に棒がかかり、薙ぎ払ったのだ。覆って、まだ長く尾を引いていた。
逢魔麻紀子は焦った。
投網から棒を抜こうとした。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
想像通りの展開となりました。
眼前に拡がる投網を無視して中垣に突進しても、麻紀子が中垣を打ち倒せたかどうかはわかりません。

自分に対して向かってくる、しかもそこそこの重量があると思われる投網を突き抜けて中垣に攻撃できるかどうかですが、まずは投網を突き抜ける為には、
(1) 麻紀子の体重とスピードから導き出される運動エネルギーが、投網の重量とスピードから導き出される運動エネルギーより勝っているか
さらには、
(2)そののちも、麻紀子が中垣に向かって突進できるスピードを維持できているか
ということになります。

また、突き抜けられたとしても、
(3)その時点で中垣の位置を正確に把握していたか
(4)棒が戦闘態勢のままの位置で保たれているか。例えば、棒の動きを妨げるように、投網が棒や腕に絡まっていないか

の最低でも4つの条件がクリアされていることが必要でした(数学や物理に詳しい方、間違えていたら済みません・・・)。

ただ、それは麻紀子自身も認めているように結果論でしかなく、中垣と対峙した当初、麻紀子の精神に「ためらい」が出た時点で勝負は決していました。
投網を意識し、足を停めてしまった時点ですでに麻紀子は負けていたのです。

足を停め、棒と投網をあわせてしまったことで、麻紀子の腰は引け、棒だけが先に突き出され、絞られる投網の格好の的になってしまったからです。
武器を持たない丸腰の麻紀子は、もはや男の敵ではありませんでした。




そのときには、中垣明が傍に立っていた。中垣は麻紀子を背後から腕ごと羽がい締めにした。振りほどこうとしたが、中垣の力は強かった。身動きもできなかった。
「諦めろ。暴れる気なら、当て身をくわせるぜ」
麻紀子は体の力を抜いた。それまでだった。もうどうにもなりはしない。泪が出た。いったんは自由を掌中にしただけに、この絶望は深かった。
「歩け」
中垣に背後からかかえられたまま、もとの事務所に向かって、麻紀子は歩いた。ふたたび、牢獄に戻るのだった。事務所を通り、廊下を通って部屋に入ったときには、舌を咬み切って死のうかと思った。
ベッドに突き倒された。
中垣はドアに施錠した。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
並み居る殺し屋同然の男たちをボコボコになぎ倒して、地下牢獄から悠々と脱出する寸前だった最強の女戦士「麻紀子」でしたが、最後の最後に現れたダンジョンのラスボス「中垣明」に敗れ、ふたたびとらえられてしまいました。
無敵と思われた「明鏡流杖術」が敗れたのです。
あるいはここで最後の奥の手(必殺技)である「全裸攻撃」をおこなっていれば、投網の弱点を見抜き、中垣明を打ち破れた可能性はあります。明鏡流の奥義は、全裸になって敵の動揺を見抜いて闘うことだからです。

まあ、そう麻紀子に教えた父の高時自身も、実は全裸奥義をみせたことがないので、本当に全裸が奥義なのかは少々怪しいところです。老人の男根ぶらぶらは想像したくないので作中で描かれなくてよかったと思っていますが、麻紀子のは単なるうれしい読者サービスです。

いずれにしても、その奥義(最後の必殺技)を出すことなく、麻紀子は敗れ去りました。
投網を前にして動揺をみせたのは麻紀子でした。相手の動揺を見抜くどころか、自身が動揺したのですから、勝てるはずもありませんでした。
もはや麻紀子には、中垣に反撃できる何の手段も持ち合わせていませんでした。
そしてこの負けにより、麻紀子は以降数ヶ月の間、男たちの性交奴隷として飼われつづけることになります。
中垣と闘って敗れた部屋から事務所まで戻され、廊下から牢獄部屋と辿った道を麻紀子自らの足で逆に歩かされ、徐々に希望から遠ざかっていく課程がみごとに描かれています。自慢の杖術をもってしても敗れてしまったことに、麻紀子はショックを受け、同時に、死ぬまで性交奴隷として飼われることが確定した絶望感に打ちひしがれます。
猿の女にさせられることも確定したからです。

杖術で負けたことにより、中垣明にはどうやっても勝つことができないのだとの思いが、麻紀子の心身共に染み込んだでしょう。それは同時に、こんな強い男に負けたのだから、中垣明の奴隷になることは仕方がないのだとの「言い訳」を麻紀子自らが作ったことにもなります。
いってみれば、
「こんなに強い人に反抗するなんて、無意味よ。できるはずないもの……」
といった感じでしょうか。

女性には言い訳は大事なことです。
「言い訳」=「大義名分」だからです。
これ以降、ラストシーンまでは、麻紀子は何をされてもいっさいの抵抗を放棄しました。中垣の活躍により、みごとに「杖術」が封印されたのです。




「立て」
命じられて、麻紀子はのろのろと立った。
「ずいぶん、暴れてくれたな」
中垣の右手が、ほおを叩いた。
耳鳴りがするほどの打ちかただった。一度では済まなかった。左右を交互に、数回、叩かれた。
目まいがして、膝を突いた。
中垣は手錠を拾った。麻紀子は手を後ろに回された。金属の肌に喰い込む感触が、麻紀子を奈落に突き落とした。
「ベッドに上がれ」
いわれたとおりに従うしかなかった。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
とらえた麻紀子に中垣は折檻を加えます。
これは怒りにまかせた暴力というより、反抗した奴隷への戒めではないかと思われます。反抗すれば、平手打ちされ、痛い目を見る。
しかも一度ではなく、麻紀子が心から反省するまで繰り返し叩かれるのです。
今回は平手打ちで済ませるが、つぎはこんなものでは済まさんぞという、主人たる中垣明の思いの表れが、この数回の平手打ちに込められていると思われます。
数回の平手打ちにくわえ、後ろ手の手錠の感触により、麻紀子の精神は一気に奴隷モードに突入してしまいました。
普段なら、多少の目まいを感じたところで持ち前の強気の心で堪えるところでしょうが、あっけなく中垣の前に跪き、命ぜられるままベッドに横たわってしまうのです。
数回の平手打ちでしたが、もはや麻紀子にはそれで充分だったのです。




ベッドに横たわった麻紀子を、中垣は愉しみながら、ゆっくり裸にした。麻紀子は瞳を閉じていた。中垣が尻をなでている。感触を愉しみながら、ゆっくりとなで回していた。もう、悪寒もおぼえなかった。肌そのものが感覚を失ってしまったような感じがした。はてのない凌辱がつづくのだった。
舌を咬んで死ぬことを、麻紀子は考えていた。いつ、死ねばよいのか。猿の女にさせられるときか、それとも、いまか。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
中垣の手でふたたび全裸にされ、麻紀子は永遠の奴隷生活を覚悟します。
精神が萎え、反抗する気も失せ、身も心も男たちに完全に屈服したのがこの場面です。同時に、猿の女にさせられることも覚悟していました。

素裸にされ、主人たちに無理矢理床に押さえつけられる麻紀子。
泣きながらの懇願も無視され、四つん這いにされ、尻を牡猿に突き出させられます。
牡猿が麻紀子の尻を掴み、抱えます。そのおぞましい男根が背後から体に入り、膣をいっぱいに埋め、動き回る感触……。

それは、主人たちの凌辱に馴れた麻紀子にとっても、死にたいほどのおぞましい想像だったでしょう。

「峠に棲む鬼」では、主人公を助ける犬が登場しない為、ライバルの猿はとうとう最後まで登場しませんでしたが、犬が関わる展開が出ていたら、ひょっとすると”猿の凌辱”もありえたかもしれません。

中垣も麻紀子が反抗を完全に放棄したことを悟っています。
捕らえた獲物は美しく、この美しい獲物を永遠に奴隷にできる愉悦が、そのゆっくりとした愛撫の動作に表れています。
中垣は特に麻紀子の尻に執着しています。
ゆっくり服を脱がせ全裸にし愛でながら、美しい尻をなで回しています。
麻紀子の尻の美的な美しさだけでなく、その名器ぶりにも中垣が執着していることが、この場面からも表現されています。




「おまえを射殺することは、かんたんだったのだ」
尻をなでながら、中垣は話しかけた。
「撃って、殺してくれればよかったのよ」
「だが、そうはいかぬ事態になった」
中垣は麻紀子をあお向けにした。
麻紀子は足を拡げさせられた。
「おまえを無傷で連れてくるよう、命じられている」
中垣は太股をなでさすりしている。
「だれに」
「ボスだ。会えば、わかるさ」
性器に指が移っていた。
「おまえを、ボスに渡す。おまえを人質にしているかぎり、父の高時も真庭も、うかつには真相を喋れない。やがて、高時も真庭も殺すが、それまでは、おまえは殺せないのだ」
中垣は執拗に性器を弄んでいた。足を大きく拡げさせ、眺めながら弄んでいる。
「すばらしい体だ。太股も、尻も……」
二本の指が突起を挟み、別の指が差し込まれていた。しばらくそうしていて、中垣は麻紀子をうつ伏せにした。裸になって、乗ってきた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
中垣は「執拗に」性器を愛撫します。
初めて麻紀子をとらえた時もそうでした。




中垣は、またつづけた。片方の指は性器に入れられている。片方の指は突起した肉片を挟んでいた。執拗な愛撫がつづいた。指が麻紀子の中で動いていた。
「どうだ、気分は」
昂ぶった声が訊いたが、麻紀子は答えなかった。最初は打ちふるえていた感覚が、やがて、鈍麻した。それがいまはまたするどくなりはじめている。そのするどさには絶望感と快感が混じっていた。
自分を麻紀子はけものめいていると思った。殺されることが前提にありながら、執拗な愛撫に、ついいつの間にか快感が出はじめている。何か異様なものが股間に棲んでいる感じがした。
(上巻 第二章 ライター 4項より)
このときは、無理な体位で強引に犯す展開となり、麻紀子に苦痛のみをもたらす結果となりましたが、このときといまは状況もちがい、時間的な余裕がたっぷりある中垣ですから、麻紀子の愛撫にじっくり時間をかけます。
名器である膣への執着は当然ながら、麻紀子を殺すに殺せないほど、中垣は麻紀子の体に執着しているのです。
その思いが思わずことばになって発せられている場面がここです。
そして、中垣にはただ犯すだけでは飽き足りず、麻紀子の体を征服したい願望もありました。
それがこの性器への執拗な愛撫です。
一つの推測ではありますが、初めて麻紀子をとらえたとき、真庭の前で犯した麻紀子が反応し、逝かせたことで、これほどの女をふたたびおのれが男根の威力で屈服させてやりたいとの牡の征服欲が中垣にあったのではないでしょうか。

そして、当の麻紀子もその中垣の思いを知ってか知らずか、執拗な愛撫に思わず濡れてしまうのです。
中垣は自分の性技に自信があるのでしょう。そして麻紀子もすぐに感じてしまう体質でした。
麻紀子が濡れたのは、中垣に挿入されても痛みを訴えないことからも明らかです。
麻紀子が濡れたことを確認し、中垣は後背位で責めはじめます。




麻紀子は突き動かされた。中垣は背に回して手錠をはめた手を手綱のように握っていた。その姿勢で、尻を突き動かした。
唇を噛んで、耐えた。麻紀子はおそれていた。快感が訪れないことを、祈った。いつ殺されるかわからないが、死ぬ日までこうして、男の好きにされる。屈辱に耐えながら、その屈辱から喜びを得る女の体が、あさましかった。
脳裡の暗い海に何かが訪れつつある気配を、麻紀子はみつめていた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
後背位で、しかも両手を後ろに引かれている麻紀子。
中垣の男根は膣をいっぱいに埋め、当然のように子宮まで届いています。
執拗に性器を責める中垣の意図を、麻紀子は悟っていました。
中垣は男根で責めたて、感じさせて、精神を屈服させようとしています。ただ「唇を噛んで、耐えた。」のは一瞬で、麻紀子はすぐに反抗を放棄します。屈服させられるのがわかっていたからです。
「女の体があさましい」と考えたのも、ここでも出てきますが、「言い訳」に過ぎませんでした。
感じたくなくても、膣が感じてしまうのだから、どうにもなりませんでした。
具体的な記述は省かれていますが、おそらくこのあと麻紀子は中垣の男根に征服され何度も昇り詰めたことでしょう。

後述にあるとおり、このあと麻紀子は長い間、おそらく一晩中、中垣にセックスで責められつづけます。
中垣は、ボスから麻紀子を連れてくるよう命じられたと、言っています。
だが、反抗心を持ったままの麻紀子を、武術の素人である倉田恵治に引き渡すにはリスクが多すぎます。それでその反抗心を抜き取る為、中垣は麻紀子を快楽で責めつづけたのでしょう。「男根」は女に喜びを与えてくれる尊い存在なのだと、改めて麻紀子の心身に刻み込む必要があったのです。
そして展開は中垣の狙い通りになります。

組織にとらえられた奴隷の男との、なかばレイプ同然に強要されたセックスや、売春婦同様に、組織の指定した男と寝るよう命じられ、初老の新納相手に強要させられたセックスでも、麻紀子は感じて逝くようになりました。

それほどセックスが、男根が好きになったのです。






逢魔麻紀子は目醒めた。
狭いベッドに寝かされていた。起き上がる前に周囲を見回した。狭い部屋だった。天井も低い。それに、ペイントの臭いがした。
部屋全体が揺れている。
揺れは脳にもあった。
強力な睡眠薬か何かを飲まされたようだった。その酔いが、まだ残っていた。酔いの滓が後頭部に溜まって、嘔吐感があった。
天井をみたまま、麻紀子は記憶を探していた。地下牢獄を脱出しようとして、五人の男を叩きのめした。それから、投網。
中垣明に犯された記憶が、最後だった。中垣は長い時間をかけて、麻紀子を弄んだ。はてたあとは、中垣に抱かれて寝た。一休みすると、中垣はまた勃起した。
二度目が終わったあとで、薬を飲まされた。そこからあとの記憶がない。
眠っている間に、どこかに移されたらしいのを悟った。
記憶にある光景も、遠い夢のような気がした。今日が何月何日なのかもわからない。すべてが自分とは無縁に過ぎ去って行く。自分だけは別の次元にいた。進みも退きもしない、停滞した時の中にいた。
死しかない未来を背負った女奴隷に、時はないのだった。そういえば、ひさしく太陽をみた記憶がなかった。
(上巻 第八章 虜囚 3項より)

目が覚めたあとの麻紀子は、自身が「女奴隷」であると素直に受け入れています。
「奴隷」というのは、ご主人さまの命令を忠実に実行する存在ですが、この場合は「性交奴隷」とするのが正しいでしょう。麻紀子には性的行為に通じること以外、強いられる使役はなかったからです。

ここでは、麻紀子が長い時間、中垣明に弄ばれていたことが記されています。「弄ばれた」とあることから、麻紀子を感じさせる為に中垣はさまざまなテクニックを駆使したのでしょう。麻紀子の性器や尻、乳房や乳首、そのほかのさまざまな性感帯を舐め、揉み、撫で回したでしょうし、中垣への性の奉仕に口腔性交も強いたことでしょう。あるいは肛門を舐めさせたかもしれません。
そして「犯された」とあることから、仕上げとして長時間、さまざまな体位で犯されたのです。「弄ばれた」のですから、途中で抜かれた男根を舐めさせられたり、そののちに再び犯されたといったこともあったかもしれません。

「はてた」とあるのは、いっけん、中垣とも麻紀子ともとれる表現になっていますが、「中垣に抱かれて寝た。」のは麻紀子ですから、この文章の主語は「麻紀子」となります。そのため、「はてた」のは麻紀子であり、麻紀子は長時間、中垣の男根に弄ばれ、最後には屈服させられたことがわかります。

反抗心を抜き取られた麻紀子は、もう中垣のいうがままです。しかし、中垣は警戒心を解かない。逝ったあとの油断が禁物だとわかっているからです。おそらく麻紀子は後ろ手に手錠を入れられたまま、中垣の胸に抱かれて睡眠を取ります。
後ろ手の手錠のままだから、寝ようとすればかなりの肉体的苦痛が伴ったはずです。だから、ちゃんとした休みが、深い睡眠が取れない。うとうとした程度でしょう。
それが「一休み」ということなのかもしれません。

そして、そのわずかな休息のあと、もう一度、凌辱されたのです。
もうそのときの麻紀子は、反抗心を抜き取られ、中垣のどんな命令でも忠実に従う性交奴隷そのものになっていました。
その前後の描写や置かれている状況からの想像ではありますが、このときの麻紀子の様子を推測したいと思います。

麻紀子が屈服したあとでも、相変わらず中垣は警戒心を解きません。
だから、麻紀子の後ろ手の手錠はそのままです。
勃起をうながす為、ベッドに寝転んだ中垣の股間に跪いて蹲り、後ろ手の手錠のまま口腔性交にいそしむ麻紀子。組んだ両手に頭を乗せ、横たわったまま油断なく麻紀子の奉仕を眺める中垣明。
中垣の股間に蹲り、男根を喉まで呑んで、しきりに貌を打ち振る麻紀子。
そんな情景が浮かびます。

後ろ手の手錠のままですから、膝だけで体を支えなければならず、長時間の奉仕は困難。口いっぱいにほおばっているから、呼吸もままなりません。
ですから長時間の奉仕をするには、膝を突いて背中をのけぞらせるような格好で、できるだけ胸を圧迫しない姿勢をとったにちがいありません。
中垣の股間に頭を埋め、頭を上下に振って口腔性交をつづけたのでしょう。

「長い時間をかけて、麻紀子を弄んだ」中垣です。
その男根も麻紀子を弄ぶにふさわしい隆々とした尤物なのでしょう。
その尤物を口いっぱいに含み、長時間の口腔性交を強いられ、そのうちに愛撫もされないのについには濡れてしまう麻紀子。
二度目の前の情景はおそらくそんなところでしょう。

そしていよいよ二度目の凌辱です。
勃起した中垣に命じられ、尻を差し出し、後背位で犯される麻紀子。
このときも後ろ手に手錠を入れられたままでしょうから、通常の後背位と違い、麻紀子は頭をベッドにつけ、尻を「より」高くかかげ、中垣に性器を突き出す格好をとったでしょう。
作中の表現でいえば、「うつ伏せになって、抱きやすいように尻を高くかかげて、中垣に向けた。」といったところでしょうか。


中垣は二度目ですから、名器相手でも相当な余裕があります。
尤物を尻から挿入され、声を洩らす麻紀子。
麻紀子の豊かな尻を抱え、中垣はゆっくり責めたてます。
頭をベッドにつけ、尻だけを高くかかげた四つん這いの姿勢でしょうし、両腕を手綱に取られていたかもしれませんから、尤物は麻紀子の奥まで存分に届いたことでしょう。
突かれるたびに、その衝撃は刻印のように麻紀子の膣と子宮、脳裡に刻み込まれたことでしょう。

後述の、クラインの凌辱にもあるとおり、麻紀子は巨根好きのようです。巨根に奥まで突いてもらうのが大好きなのです。そして、そこまで尤物に余裕をもって責められては、麻紀子ももはや屈服するしかありませんでした。
中垣に尤物で弄ばれ、さんざんに責められる麻紀子。
ここでも作中の表現でいえば、名器を味わう為に「中垣は、ゆっくり腰を使っていた。」といったところでしょう。

また、これは麻紀子をセックスで責め抜くことが目的の拷問なので、中垣が満足するまでは逝っても逝っても容赦してくれません。
いつ終わるともしれない凌辱が一晩中つづき、ついには屈服し悶絶させられる麻紀子。

おのれの男根で征服した美しい裸身を眺めながら、中垣は存分に名器を愉しんだことでしょう。そして最後に中垣は、悶絶し無抵抗に横たわる麻紀子の奥に悠々と射精したのではないでしょうか。


脱走を図った女奴隷を再度つかえまえたときは、セックスで折檻するというのが、中垣の調教法なのでしょう。
後述に、このような場面が描かれています。


中垣は、いいながら、麻紀子を裸にした。
麻紀子は観念して目を閉じた。
うつ伏せにされた。
中垣は前戯なしで、尻に乗ってきた。尻の隆起の谷で擦って勃起させると、強引に差し込んできた。騎乗位だった。手綱がわりに、後ろ手に縛った麻紀子の手を取った。
「隠れ家をいえば、痛い目をみないで済むぜ」
中垣はゆっくり動いていた。
「どうだい、昔のご主人様の味は?」
何かを刻み込むように、中垣は同じリズムで突きたてていた。
(下巻 第十七章 宣戦布告 4項より)

またこの中で、中垣の口から自分の男根についての感想、「ご主人さまの味はどうだ」ということばが語られています。
これは過去のいずれかにおいて、麻紀子と中垣に間で、男根の「味」について語られていたことを推測できる表現です。
中垣が麻紀子に「味」の感想を語らせ、麻紀子はそれに正直に答えた。
それは口腔性交で麻紀子に男根を含ませた際なのかもしれませんし、犯している最中にどれだけすばらしい味なのかを語らせたということなのかもしれません。
そのような過去があって、この「どうだい、昔のご主人さまの味は?」と、「さんざん喜んでいたおまえの大好きな味だぞ。どうだ、思いだしたか?」との意味を含んで訊いたのではないでしょうか。
それは「何かを刻み込むように、中垣は同じリズムで突きたてていた。」という、過去の記憶を思い出させるかのような「行為」に集約されているのだと思われます。



さて長くなりましたが、こうしてこの夜、「性交奴隷 逢魔麻紀子」が完成しました。
組織の男と中垣明の手腕により、麻紀子の体はどんな男相手のセックスでも感じるように開発されました。
また、その清く気高かった精神は醜く汚濁し、主人たちに屈服させられ、自身を性器具、あるいは女奴隷と考えるようになっています。



麻紀子自身は、坂本に抱かれることに抵抗はなかった。坂本であれ、他のどの囚人であれ、それは同じだった。いまはもう人格はなかった。
~途中略~
どちらにしろ、麻紀子には相手がどんな男であれ、その男根を拒む理由はなかった。
汚辱に満ちた体となりはてていた。
(上巻 第九章 孤島 2項より)
後述にもありますが、同じ奴隷の男相手ですら、もはや麻紀子は拒みません。
それどころか、麻紀子は衆人環視の中、坂本相手のセックスでも感じてしまい、逝ってしまうのです。
とことん底辺まで堕ちた麻紀子でした。

さて、この一連の出来事により、真のラスボスである倉田恵治に、生け贄である麻紀子が捧げられる態勢が整ったことになります。

また後述になりますが、麻紀子は奴隷の男とセックスをして、ご主人さまたる男たちにとがめられ、素裸での磔刑にされてしまいます。
ただ、これは真庭正之が竹生島に上陸したことでのアクシデント。
それさえなければ、折檻こそ加えられていたでしょうが、磔刑はなく、すでに男たちへの反抗心を放棄した麻紀子にとってはとんだハプニング(いい迷惑)だったでしょう。



イラストは「再び中垣にとらえられ、中垣に凌辱される麻紀子」を描いたものになります。素裸の麻紀子が男に膝を掴まれ、太股を大きく拡げられ、その中に男が入り、正常位で責められている状況を表しています。
モノクロではありますが、男に責められ、大きな声を出し、のけぞるほど感じている有様や、麻紀子の美貌がはっきりとわかる傑作です。

中垣の凌辱について、本作では具体的な記述は後背位で終わっています。
イラストは、麻紀子が男に正常位で犯され、のけぞって声を出すほど感じている様を表している為、この凌辱は二回目以降におこなわれたものを描いたものであり、二度目の凌辱における麻紀子の様子が、上記「あくまでも想像ではありますが」が、事実だったことを裏付ける証拠といえるかもしれません。

Scan10097-1.jpg

★著者:安岡 旦
★販売元:東京スポーツ新聞社
★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。
★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。
★画像使用に対し、原権利者からの削除指示がある場合は即座に削除します。
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峠に棲む鬼「イラスト分析26」・・・代表的凌辱場面を考察する(その4) [峠]

前回に引き続き、「峠に棲む鬼」の主人公である逢魔麻紀子が「レイプの被害者」から「性交奴隷」に代わる分岐点になった場面の紹介をします。
今回もこのブログなりの大胆な解釈(個人的見解)を述べさせて頂きたいと思います。





<独自の解釈なので、不要な方は以下を「ご覧にならない」ことを強くお奨め致します>






あらましです。

「峠に棲む鬼」東スポ版92回のサブタイトル「中年の男が入ってきた。麻紀子に裸なれと命じ、自分もズボンを脱いだ」、東スポ版93回のサブタイトル「男は猿に犯させるといった。麻紀子が嘆願すると、ベッドへ引き倒した」、東スポ版95回のサブタイトル「男は腰を使いはじめた。麻紀子の股間を火の棒が灼いていた」、東スポ版99回のサブタイトル「麻紀子は再び中垣につかまった。ベッドにうつ伏せにされてまた…」の場面です。



関東製薬の闇組織に襲われ、拉致監禁された麻紀子は、男に性の奉仕を命じられます。
男の言いなりなって悶えているうちに、感じてしまい、麻紀子は最後には男に後背位で征服されてしまいます。
場面はそこからのスタートです。





男は、逢魔麻紀子を抱いて寝ていた。
足を絡ませている。左手は麻紀子の陰部にあてがわれていた。ときおり、男の指がのめり込む。そのたびに、麻紀子の体に埋ずめ火のように残っている余韻が、疼いた。
「どうだ。おまえ、よかったか」
男は訊いた。
「はい、ご主人さま」
麻紀子は素直に答えた。たしかに、男は、麻紀子を燃えたたせた。股間から力が抜けてしまっていた。男を憎む気持ちが、いまは消えていた。左手で男の男根を握っていた。もういちど、犯されたかった。
犯されても犯されても、犯され尽きない業火のようなものが、体の奥に潜んでいる気配がする。
性欲のおそろしさ、無残さを知った。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
麻紀子が男を「ご主人さま」と自然に呼んでしまうほど征服されてしまった場面が、つづきのはじまりです。

下巻に記述がありますが、麻紀子は「名器」の持ち主です。
そんな麻紀子を、男は男根で征服したのです。
「快感にゆがむ美貌」、「男根を褒めたたえる泣き声」、男が責めるつどびくびく反応する「白い裸身」、「絶頂時の許しを乞う悲鳴やうめき」、「膣の痙攣」が浮かびます。
男は、放心して無抵抗となった「美しい背筋や尻」を眺めつつ、フィニッシュに向かいます。
真白い尻を両手で鷲掴みにし、はげしく責めたてながら、麻紀子の身も心も征服した満足感に輪をかけ、「名器」に射精する瞬間は「支配欲」をさらに感じていたにちがいありません。
それがこの会話に表れています。

射精したあとも、麻紀子の名器に対する男の満足感が明確に描写されている記述があります。
「左手は麻紀子の陰部にあてがわれていた。」がそれです。
射精で萎んだ男根の代わりに、男は指を麻紀子の膣に入れています。ほんのわずかなひととき(回復までのひととき)でさえ、麻紀子の中から離れたくない様子がこの描写でうかがえます。

これほどの男ですから、本当に麻紀子が感じていたのかは、体の反応で言わずもがなで理解していたでしょう。
にもかかわらず、強いて麻紀子の口から感想を述べさせた。
優越感丸出しの、ご主人さま面したこの男のことばが、麻紀子はもう自分のものだと言わんばかりの傲慢さです。

話の展開から、男ははじめから麻紀子を「征服」する計画だったと思われます。
仲間の話を聞いて、「名器の持ち主」である麻紀子は美しいけれど、「マグロ」なのはきいていたはずです。男はただ犯すだけでは、ただの凌辱では満足できなかったのです。それで一計を案じた男は、ことば遊びをしました。
その結果、男は麻紀子に潜んでいたマゾとしての性を目覚めさせ、その計略どおり、征服したのです。

ただ、マゾに目覚めた麻紀子でしたが、男は最後には強烈なしっぺ返しを食らうことになります。
マゾとなっても、プライド高い自我は以前のままです。
麻紀子を征服したと思い込み、油断しきっている男は、そのことには気づかず悲劇にあってしまいます。




「おまえほど、きれいな奴隷はいない。猿の女にするのは、惜しい」
「おゆるしくださいませ、ご主人さま。わたしを永遠に、こうして……」
「永遠にか……」
男は、つぶやいた。
「そうできれば、な。だが、おまえは仲間の共有物だ。犯されて、そのうちに、殺される運命だ」
「…………」
男のが勃起しはじめていた。麻紀子はゆっくり、擦りはじめた。もう、どうでもよいという気がしていた。もういちど、男に犯されたかった。そして、そのまま死にたかった。
生への道は完全に絶たれていた。希望が絶たれると、復讐心も過去の遠い、もの憂いものに思えた。執着を捨て切れないだけのいちるの光明でもあれば、この男を殺してでもと思うのかもしれないが、いまは、それはなかった。
出口のない闇に閉じこめられていた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
この時点で、麻紀子は自分の置かれた状況を把握しつつも、ご主人さまに犯されることのみを願う、淫乱なメス奴隷になりきっています。
男と足を絡ませ、その胸に抱かれたまま、麻紀子は余韻に体を痺れさせて、思考停止しています。
脱出できないのだから、性交奴隷になるのは仕方がないと、言い訳を繰り返し、犯される自分を正当化しているのです。

自分が名器なのは、いままで相手をした男たちの放出がやたら早かったり、実際に言われて、麻紀子は承知していたかもしれません。
これほどセックスが気持ちいいとは、知らなかったでしょう。
だから、その「名器」の持ち主たる自分が、かつてないほどの快感を与えられ、麻紀子は男に屈服しきってしまいました。
そして、その「ご主人さまの」「愛おしい」男根を握ったまま、麻紀子は放しません。もっと犯して逝かせてほしいと考えており、握ったままなのは男へのその意思表示だったのです。

永遠に男の奴隷でいたいと麻紀子に語らせ、男は有頂天になっていました。その油断が男を地獄のどん底に突き落とすことになるとは、わかっていませんでした。
油断せずに二回目が終わったあとすぐに立ち去っていれば、麻紀子に痛い目をみせられることもなく、麻紀子が脱出しようとした事実はなかったはずです。
性交後の、萎れた情けない男根を麻紀子にみられてしまった為に、麻紀子の洗脳は解け、睾丸を二度も潰されるという大反撃に遭ってしまいます。

それがなければ、セックスの余韻に脱力しきった麻紀子は、中垣明に大人しく連行されたか、描写通りに朝まで中垣にセックスで責め抜かれ、今度は中垣明の奴隷女になりきったでしょう。

倉田恵治が麻紀子を自分の元に連れてくるよう命じた為、麻紀子との関係はこの夜だけになってしまいましたが、そうなればそうなったで、麻紀子から「いい目を見た」にもかかわらず、しっぺ返しを食わなかった稀代の「ラッキースター」として、読者の間で名をはせていたかもしれません。

いずれによせ、この麻紀子の心情の変化は、以降の展開を思うと大変印象深い描写です。



男が乳房を揉みはじめた。
やがて、男は完全に勃起した。ゆっくりと、麻紀子に乗ってきた。麻紀子は足を拡げて、迎え入れた。そうしただけで、何か熱い棒に似たものが脳裡をかすめた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
もはや性交奴隷になりきっている麻紀子は、男の男根を積極的に受け入れます。
麻紀子は自分から足を開いて、性器を拡げました。
男根を握っていたので、「完全に勃起した」のはわかっていました。
麻紀子に擦られて、男は二度目はすぐに入れたがっています。
麻紀子は自分に乗ってきた男の意思を察知して、「足を開いて、迎え入れた」のです。

麻紀子の頭の中には、さっきまでの快感や、それを与えてくれる男根の感触が蘇っています。このときの麻紀子には「ご主人さま」の男根に犯される喜びしかなかったでしょう。犯される喜びで貌は恍惚にゆがんでいたでしょうし、膣もヌルヌルに濡れていたにちがいありません。

さっきまで自分の中で暴れていたご主人さまの「熱い棒」が、また入ってきました。
麻紀子の下半身を征服した「熱い棒」が、脳裡をかすめるところまで届いてきました。
ふたたび、身も心も男に征服されることへの麻紀子の期待感が表れている場面がこの描写です。




男はゆっくり、焦らずに腰を使いはじめた。股間を、火の棒が灼いていた。
「ああ、ご主人さまッ」
麻紀子は、男の胸にしがみついた。
わけがわからなくなりはじめていた。男の一突きのたびにすーと気が遠くなりそうな快感が湧いて出るのだった。
男は同じリズムを保った。小さな気泡がつぎつぎと男の男根から生じて麻紀子を頂点に誘っている。気泡は脳裡の暗い海面に浮かび出て、つぎつぎと、弾け散った。
その速度が速くなってゆく。
気泡は際限もなく湧いた。
麻紀子は悶絶した。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
失神するほどの快感です。
麻紀子は美貌をグシャグシャにゆがませて泣き叫んでいたでしょう。

精神が究極に追い込まれた時は、人は本音が出ます。
この状況で、麻紀子は男を「ご主人さま」と呼んでおり、男根を「火の棒」と感じていました。
序列の最下層に位置する奴隷女には、ご主人さまの分身である「火の棒」には敵いません。
この瞬間は、麻紀子が男を心の底から自分の主人と考え、その男根に犯される喜びを思わず表現してしまったことが、この描写でわかります。

男は「同じリズムを保ち」、麻紀子を責めつづけます。
「名器」である麻紀子相手にこうなのですから、女に対しては相当な経験者なのでしょう。女を失神させるほど喜ばせることも、当たり前のことなのかもしれません。

休むことなく股間からひっきりなしにやってくる「熱い棒」から快感は、今度は「泡」という表現で麻紀子の脳裡を占領していきます。快感がどんどん溜まって、脳裡を満タンにしていきます。

この時点で、男を阻むものはもう何もありませんでした。
男の責めにメロメロの麻紀子が、無我夢中で両手両脚を絡めてしがみついてきています。自慢の美貌も、醜いほどゆがんでいます。
「気泡」のリズムと「麻紀子の呼吸」のリズムは同じでしょうから、麻紀子を一度逝かせている男からすれば、逝くタイミングもわかったことでしょう。
男が止めようとしないのですから、麻紀子にできることはふたたび男に「征服」されることだけでした。
あっけなく、麻紀子は男に征服されます。
そして、その男がもたらしてくれる快感は、麻紀子の意識をフェードアウトさせるに充分な、強烈なものでした。
あまりにも強すぎて、脳が破壊されるのを恐れるほどの快感だったのです。
男の希み通り、麻紀子は征服され、失神させられます。
本作中、麻紀子が犯され失神させられた「明確な」描写は、これが唯一です。
失神しながらも、膣を痙攣させている麻紀子。弛緩しきった白い美貌、白目を剥き、半開きの口からはよだれが垂れている。
そんな麻紀子を想像させる描写です。




気づいたときには、うつ伏せにされて、男に尻から犯されていた。すぐに、男は痙攣してはてた。しばらくたって、麻紀子はトイレに立った。足もとがふらついていた。体には重い揺曳感がたゆとうていた。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
正常位で麻紀子を失神に追い込んだ男は、つづけて後背位を愉しみました。
名器の、「断末魔の痙攣」にも耐えた男です。
正常位だけで済ませるはずもありませんでした。
また、寿行作品にとって、後背位は征服の体位です。
その麻紀子を存分に愉しんで、男は「名器」に放出しました。

麻紀子への”中出し”表現は上巻では四度目になります。
組織員、中垣、真庭、そしてこの男です。
「口腔性交」や「肛門性交」を強いられたとの表現はありますが、射精についての明確なものについては、膣に放出するこの四回だけです。
作者は、男のフィニッシュについては、「後背位」で「膣」に拘りたかったのでしょう。あるいは、膣に拘る男たちを描写することで、麻紀子の名器ぶりを読者に示したかったのかもしれません。

中出しされてもしばらくの間、麻紀子は立ち上がることができません。
失神するほど膣で感じるようになった麻紀子です。
目覚めても、男の責めはつづいており、男の責めに身を任せながら、麻紀子は感じつづけていたでしょう。
膣に射精される感触は、さらなる快感と、男への屈服を呼び起こさせたのにちがいありません。麻紀子はご主人さまに性器を差し出したまま、余韻を貪っていました。

やがて、男が離れます。
自分を占領していた「ご主人さま」が抜け出ることで、至福の時は終わり、麻紀子は自分の役割を思いだしました。
組織員全員の性交奴隷だということをです。
この男は自分を綺麗にしてくれません。男はご主人さまで、自分は奴隷なのだから、それは当然です。そしてつぎの「ご主人さま」がいつ来るか、わかりません。いつまでもぼんやり寝ていたら、つぎの「ご主人さま」が来た時に激怒され、折檻されるかもしれません。
麻紀子はそれで、疲れた体を引きずって、トイレに向かったのです。
ビデなどという便利なものがあるはずもなく、麻紀子はそこでトイレットペーパーで溢れ出る精液を拭いたのでしょう。
「体には重い揺曳感」で「足もとがふらつく」麻紀子の姿は、例えていえばノックアウトされたボクサーのようでありました。
太ももに大量の精液を伝わせながら、いまにも倒れそうになりながらもふらふらとトイレに向かう麻紀子の姿は、「無力な奴隷女」そのものです。
男はそれをみて油断し、二度の疲れには勝てず、寝てしまったのだと思われます。




ベッドに戻った。後頭部の禿げた男は、目を閉じていた。品性のかけらもない顔だった。裸で、死んだようになっている。麻紀子は男根をみた、萎縮していた。みつめていると、急に憎悪が湧いた。どこから湧いたのか、麻紀子にも唐突すぎてわからなかった。男の奴隷になって性欲を体から貪婪に絞りだしたせいかもしれなかった。
麻紀子は体をかがめた。すばやく、男の睾丸を握った。そうすれば男は悶絶するとはきいていたが、真実はわからない。ともかく、両手で力いっぱい握りしめた。握りつぶす勢いだった。
男が、短い叫びを発した。上体が跳ね上がったが、途中で落ちた。落ちたときには、男は失神していた。
麻紀子は手早く服を着た。
(上巻 第八章 虜囚 2項より)
いよいよ男に「痛恨」のしっぺ返しがやって来ます。
肛門を麻紀子に舐めさせた倉田恵治が、竹槍で串刺しにされ殺されるほどではありませんが、美の女神相手にいい目を見ると、必ず報復があるのです。
このパターンは正義の味方と悪が登場するアメリカ映画によく見られます(悪いことをしたものには、その報いが必ずある)が、西村作品にもこのパターンは多いです。
有名なところでは、土田明子や朝倉和子がそうですね。

このあと、目覚めた男が棒をもった麻紀子に素手で立ち向かい、逆にボコボコにされ、今度は棒で睾丸を潰されてしまいます。
それでも、竹槍で刺されなかっただけ、男はまだマシでしたが、こんなに気持ちよくさせてあげたのにこの仕打ちでは、なんとも切ないですね。

イラストは(1)「男に正常位で犯され感じてしまう麻紀子」、(2)「男に逝かされたあとの、放心した状態の麻紀子」を描いたものになります。
(1)のイラストでは男が麻紀子の両脚を手にかけ、ベッドで正常位で犯している情景が描かれています。
男に犯され、麻紀子は恍惚の表情を浮かべ、口を半開きにし、貌をのけぞらせています。男に裸身を晒し、言われるがままに両脚を拡げ、男の凌辱を受け入れているこの麻紀子からは、もはや組織を憎んでいる雰囲気は感じられません。
何もかも忘れて、男根の責めを愉しんでいるようにも、性交奴隷になりきっているようにも感じられます。
逝っている瞬間なのか、麻紀子は両手でベッドのシーツを掴みしめています。
(2)のイラストは男との一度目のセックスが終わったあとの、麻紀子の下半身を表しています。
男にさんざん逝かされて、反抗する気も失せたまさにその状態の麻紀子が表現されています。
下半身(性器)を支配されたことを明確にする為に、イラストも全身ではなく下半身のみとされたのかもしれません。

Scan10091-1.jpgScan10093-1.jpg
★著者:安岡 旦
★販売元:東京スポーツ新聞社
★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。
★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。
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峠に棲む鬼「イラスト分析25」・・・代表的凌辱場面を考察する(その3) [峠]

お久しぶりです。

「峠に棲む鬼」の主人公である逢魔麻紀子は、男という男に数え切れないほどの凌辱をうける中で、初めの頃は「女は犯されることに快感は感じない。」と考えていましたが、ある時点から急に「感じる」ようになります。
じつはそのことが、麻紀子が「レイプの被害者」から「性交奴隷」に代わった分岐点になるのですが、そのターニングポイントが、今回ご紹介する場面です。

今回も、このブログなりの大胆な解釈(個人的見解)を述べさせて頂きたいと思います。

余談ですが、東スポ版を見る手段は今日かなり限られており、国会図書館などに記録された「マイクロフィルム」で見られる程度ですが、ご興味があるかたは夏期休暇を活かしてご覧頂ければと思います。
ちなみに、「新聞そのものを借りる」ことはできません。
その場で記事の閲覧は可能ですが、一度に見られる「フィルム」の数は制限されており、持ち帰りたい場合は、有料でコピーを頼むしかありません。
うる覚えですが、コピー1枚「数十円(百円だったかも?)」かかるので、すべてほしいと「総計250枚くらい」ですので、数千円から数万円かかると思います。
なお、「西暦何年の何月何日から何月何日」の東スポかわからないと閲覧希望を出せないので、事前に調べておくことをお勧めします。
その上で、「どのページに掲載されているか」をその場で確認し、そのページのコピーを依頼します。
コピーもそれなりに時間がかかるので、待っている間の暇つぶしも必要ですし、すべてのコピーを入手するには数日かかるので、やはりお勧めは夏季休暇中ですね。



<独自の解釈なので、不要な方は以下を「ご覧にならない」ことを強くお奨め致します>



あらましです。

「峠に棲む鬼」東スポ版92回のサブタイトル「中年の男が入ってきた。麻紀子に裸なれと命じ、自分もズボンを脱いだ」、東スポ版93回のサブタイトル「男は猿に犯させるといった。麻紀子が嘆願すると、ベッドへ引き倒した」、東スポ版95回のサブタイトル「男は腰を使いはじめた。麻紀子の股間を火の棒が灼いていた」、東スポ版99回のサブタイトル「麻紀子は再び中垣につかまった。ベッドにうつ伏せにされてまた…」の場面です。


さて、事件の手がかりを探しに多摩丘陵までやってきた高時と麻紀子父娘を、関東製薬の闇組織が襲います。そして、麻紀子はふたたび拉致され、男たちの性交奴隷として監禁されてしまいます。
場面はそこからのスタートです。



昼か夜かもわからなかった。
牢獄のようなところに逢魔麻紀子は閉じこめられていた。
どこかの地下室のようだった。倉庫を改造したらしい。八畳ほどの部屋だった。一応、トイレとバスは付いていた。周囲の壁も天井もコンクリートだった。その上に、化粧板を張ってある。部屋には鉄製のベッドが置いてあった。そのほかには家具は何もない。
殺風景きわまりなかった。
組織員の仮泊所か何かに使われているらしい。
電気ストーブが入っていた。底冷えのするコンクリートの部屋もそれでどうにか暖をとることができた。
両手には手錠がはめられていた。
ベッドに腰をおろして、麻紀子は今日が何日かを考えていた。たぶん、一月の八日かそこらだった。多摩の丘陵でとらえられてから二日はたっていた。いや、あるいは三日かもしれない。陽の射すことのない地下牢だから、時間の経過がわからない。判断の助けになるような物音もしなかった。
脱出は不可能だった。ドアは頑丈な鉄製だった。叩こうが蹴ろうが、ビクともしなかった。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
ここでは、麻紀子がいま置かれている情景が描かれています。
脱出不可能な状況であること、逆らったり、杖術が使えないように手錠をはめられていることがわかります。
そして、麻紀子もただ大人しくつかまっているのではありません。
鉄製のドア相手に脱出を試みたり、部屋中を探り回ったりしたことがわかります。そして、今日が何月何日なのかを考えているということは、いつでも組織の隙を突いて脱出することを、あるいは反撃の準備を心づもりしていたことが、ここでわかります。
また、この説明により、多摩丘陵から拉致されてすでに数日は監禁されていることから、麻紀子の身にすでに何かが起きている(あるいはいまから起きる)ことへの期待感を読者に感じさせようとする作者の意図が感じられます。




足音が近づいてきた。
ドアが開けられて、男が入ってきた。中年の男だった。頭が薄い。大男の部に入る。腹が出ていた。男はドアの鍵をかけて、麻紀子の前に立った。
麻紀子は無言で男を見上げた。男が何をしにきたのかは、訪ねるまでもなかった。男の薄笑いをみればわかる。
「手を出せ」
男に命令されて両手を前に出した。
男は手錠を外した。
「裸になれ。それと、いっとくが、何かをいわれたら、ハイと答えるのだ。おれは黙っている女は、嫌いだ」
太い声だった。
「はい」
答えて麻紀子は裸になった。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
このやりとりで、麻紀子が目の前の男とは初対面であること、そして、部屋にやってくる男がだれであっても、表面上は服従する覚悟を決めている心情が描かれています。
男は、麻紀子をみて薄笑いを浮かべます。
おそらく、すでに麻紀子を犯した他の組織員に感想を聞いているのでしょう。期待に顔をゆがめている情景が浮かぶ描写です。

麻紀子は男が部屋に入ってきても、無言で見上げるだけで、自分から能動的に動こうとはしません。それで、麻紀子の嫌悪感や反抗心を、男は悟ります。麻紀子が常に脱出を思い描いていることも、おそらくは感知したでしょう。
だが、現実は麻紀子は男たちの性交奴隷です。ここでは、男はそのことを麻紀子に思い知らせる為に、強いて、一つ一つ順に、麻紀子がすべきことを言い聞かせ、奴隷としてすべき行為を麻紀子の脳裡に刻み込ませようとしたわけです。




「今日は、おまえは、おれの奴隷だ。かならず、ハイのつぎにはご主人さまとつけろ」
「はい、ご主人さま」
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
本作中、ここで初めて麻紀子が性交奴隷として飼われている描写が登場しました。
初めにとらえられた時は、「飼われている」「性交奴隷」というよりも、数人の男たちに「レイプ」された「被害者女性扱い」でした。
ですので、麻紀子の性交奴隷としての本格スタートはこの描写からになります。
このときの麻紀子本人には知るよしもありませんが、以降、西ドイツから帰国するまでの数ヶ月間、仕えるご主人さまが代わりつつも、性交奴隷として飼われつづけることになるのです。




「よろしい、床にひざまずけ」
「はい、ご主人さま」
麻紀子は、男の前にひざまずいた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
男は目の前で徐々に裸になっていく麻紀子を眺めています。ジーンズの上着を脱ぎ、シャツも脱ぎ、ブラジャーを外し、ジーパンを脱ぎ、最後にはパンティを取る。徐々にあらわになっていく、長い黒髪、白い肌、豊かな乳房と尻、すらりと伸びた足、引き締まったウエスト。
中垣ですら感嘆の声を上げる「すばらしい体」です。
そして、その麻紀子が、自分のどんな命令にも言いなりになります。
素裸で自分の前に跪いた麻紀子は、まさに美の女神であり、また奴隷女そのものです。
その女が自分に隷従している姿をみて、男の期待は頂点に達したのでしょう。
期待に男根が怒張しているのがつぎの描写からわかります。




男はズボンを脱いだ。下半身も裸になって、麻紀子の前に突きつけた。麻紀子は黙ってそれを口に含んだ。男はゆっくり腰を使いはじめた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
男はおのれの男根の立派さに自信があるようです。黙って、麻紀子に「突きつけ」見せつけたからです。
「突きつけた」男根は、すでに怒張していました。麻紀子が「擦る」でもなく、それを口に含んだからです。
男は、命ずることなく、突きつけました。麻紀子がどんな態度に出るか、確かめようとしたのでしょう。目の前に怒張した男根を突きつけられて、奴隷であれば従順に仕えるはずだと。
その通り、いきなり麻紀子は口に含みました。
男は征服欲を満足させたことでしょう。

ここで気になる描写があります。
麻紀子は「黙って口に含んだ」とあります。
麻紀子は「それなりの気性の持ち主」であるとされています。男たちの言いなりになりつつも、態度の端々にそれが表れているのだと思います。
いまでいう「ツンデレ」というところでしょうか。
二十人前後の男たちに仕えさせられたといっても、麻紀子には性交奴隷になった自覚はないはずです。麻紀子にとって、男たちの凌辱は一時的な嵐のようなもの。強固な精神力が、嵐が過ぎ去るのを、復讐の機会が訪れるのをうかがっています。従って、奴隷女としての振る舞いも理解していませんでした。いわれたまま、従うだけがいままでの麻紀子です。そういった背景があった上での「黙って」は、おそらく「不平不満を押し殺して」、「表情を押し殺した」麻紀子ではないかと考えられます。
一方の男も、麻紀子の貌を見て心情を理解しています。
口に含んだとはいえ、「黙って」口に含んだ麻紀子を見て、麻紀子の反抗心を理解したでしょう。
麻紀子が自分から積極的に男根を愛撫するとは考えていないはずです。
そのため、あるいは麻紀子の頭を両手で固定しつつ、男自ら、腰を使ったのでしょう。奴隷としての状況を心身共に理解させる為に、あるいは男根を喉まで押し込んで責めたのかもしれません。




男は充分に堪能すると、ベッドに腰をおろした。麻紀子は男の膝の間に引き寄せられて、擦るように命ぜられた。男は膝で麻紀子を抱え、足の踵で麻紀子の尻をなでていた。麻紀子は擦りはじめた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
ここで初めて、麻紀子は手での愛撫を命令されました。
いきなり舐めさせてから手での愛撫というのは、一般的には順序は逆です。美貌だけでなく、すばらしい体をみて、仲間からの話を聞き、男が「たっぷり時間をかけて」、麻紀子との性交を愉しもうと考えていることが、この描写からわかります。




「今日までに、何人にやられた」
「十人か、十二、三人です」
「みんな、こうしたのか」
「はい、ご主人さま」
「そうか……」
男はそれっきり黙って、麻紀子の白い指の愛撫を見下ろしていた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
仲間が何人いるのか、男は把握していません。
組織員ですら、組織の全貌を把握していないことで、組織の闇性がどれだけ深いのかを、作者は読者に理解させようとしています。
そして同時に、麻紀子に過去の凌辱の情景を思い出させることで、もはや「人間の女としては扱われていない」性交奴隷なのだということを、麻紀子自身や読者に改めて思い知らせようとしていることもわかります。
また、他の男たちが麻紀子をどう扱ったのか、知りたいというのも男心でしょう。

男は麻紀子の技巧に満足しているようで、指の愛撫に文句を言いません。
中垣明に拉致されてから、麻紀子はすでに二十人前後の男を経験しています。どこをどう愛撫したら男が喜ぶのか、男の壺を理解するようになりました。
男はそんな麻紀子の「堕ち具合」を満足そうに眺めているのが、この場面です。




「仲間に牡猿を飼っているのがいる。おまえをその牡猿とやらせようとする計画がある」
男は嘲笑混じりの声を落とした。
「おまえの、そのすばらしい体を、牡猿が犯すのだ。猿が前からやるか、後ろからやるか、おまえ、知っているか」
「いいえ、ご主人さま」
「牡猿は人間の女を与えると、まず、体中を調べるそうだ。黒子があると、つまんで取ろうとして血を出すそうだ。毛づくろいという行為だそうだ。黒子の多い女は血だらけになる。そうやって愛情を昂めてから、やおら、おまえの尻を抱く……」
男は声もなく笑った。
「猿でも犬でもそうだが、一度、自分が犯した女は自分の所有物だと思い込む。人間の男が傍に寄ると、牙を剥くのだ。おまえ、その牡猿の妾になるわけだ。つねに、猿に四つん這いにさせられて、そのきれいな尻を、犯される」
男はつづけた。
「おゆるしくださいませ。ご主人さま。そればかりは」
逢魔麻紀子は懇願した。
やりかねない男たちだった。牡猿に犯させて、それを異様な目で見物する。悪寒が走った。猿に尻を抱えられている自分の姿が浮かぶ。そうなれば、もう、舌でも咬み切って死ぬほかはなかった。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
ここで獣姦の話題が初めて出てきました。
他の西村作品では、主人公が裏切られた奥さんに復讐する為、猿の群れに放り込むという作品があります。




亜紀の差し出した尻に最初の猿が近づいた。
猿はうしろから陰毛を分けて毛づくろいをはじめた。
貌をつけてにおいを嗅いだ。性器をいじりはじめた。
ー殺さないでください。殺さないでください。
亜紀は懸命に祈った。
猿は亜紀のかかげた尻に乗った。男根を差し込んできた。後足で亜紀の太ももを掴んでいる。猿は数回、男根を突きたてた。
亜紀は祈りつづけた。尻をさらにかかげて性器を剥き出した。
猿はふたたび、陰毛の毛づくろいをはじめている。性器をいじっている。
しばらくして、また亜紀の尻に乗った。
こんどが本番であった。人間の男と同じ動きで責めはじめた。男根が膣を突いている。三十秒ほど責めたてて、猿は射精した。
(症候群 べし見(べしみ)の貌より)
この作品は、保険金をかけられ殺されかけた夫が、逃げた妻(亜紀)と愛人を山深い山林にまで追い詰め、猿を利用して復讐するというものです。
妻の愛人は猿に殺され、妻は猿の性交奴隷になってしまいます。狂気に浮かされた夫は、別の女を誘拐し、妻と共に猿に与えるのですが、最後は野犬の群れが猿と夫を襲撃し、女たちだけが残される(助かる)というストーリーになっています。
それによれば、猿は「毛づくろいが愛撫」、「男根は人間のよりは小さい」、「後ろ足で女の太ももを掴んでの後背位」、「挿入しては離れて、また挿入を繰り返す」、「精液はすぐにガム状に凝固する」と、その場面をかなり詳しい描写で描いています。
話は横道にそれますが、猿の奴隷になった亜紀を最後に助けたのは野犬の群れでした。犬を正義の味方で終わらせるところは、犬好きの西村先生らしいストーリーですね。




「立て」
「はい、ご主人さま」
裸をみせろと命じた。麻紀子は男の前に立って、前と後ろをみせた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
男はおびえた麻紀子の表情を見て、満足したのでしょう。あるいは「猿との性交」については、冗談だったのかもしれません。あるいは麻紀子の心に秘めた反抗心を見抜き、従わなければ獣姦だぞと脅したのでしょう。
麻紀子が本気でおびえたのを見て、いよいよ、男の凌辱はつぎのステージ「視姦」に移ります。
男は、麻紀子の裸身をじっくり観察します。
それがどれだけすばらしいのか、徳間ノベルス上巻の挿絵にも描かれています。
1970年代の日本女性としては、現実にはあり得ないほどのプロポーションです。
後述ですが、ドイツ人のクラインでさえ、麻紀子は虜にしてしまうのです。
いま改めてみても、山野辺先生の画力のすばらしさに驚嘆してしまいます。




男はしばらくみていて、いきなり、無言で、引き倒した。麻紀子はベッドに倒れ込んだ。男が両脚を引き裂くように拡げた。そして、股間に舌を入れてきた。男の舌は動物のようによく動いた。
麻紀子はじっと耐えていた。
不快感だけがある。とらえられ、ここに閉じこめられてから、すでに十数人の男に弄ばれていた。とらえられた瞬間に覚悟したことではあったが、それにしても、男の性欲の勁さがあさましかった。
執拗をきわめていた。一人が何時間もかけて犯した。爪先から唇までたんねんに舐める者もいた。乳房や性器を一時間もさわっている者もいた。
抱いて寝たまま、肌の感触をたのしんでいる者もいた。
へどが出る思いがした。
だが、逆らえなかった。逆らっても無意味だった。棒がなければ、男の力には勝てはしないのだった。どれもこれも殺し屋じみた男たちだからなおさらだった。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
ここで初めて、多摩丘陵で拉致されて以降の、麻紀子の具体的な状況が明かされました。
男たちはじっくり時間をかけて愉しんでいます。「名器」である麻紀子には簡単に挿入したりしません。そんなことをすれば、あっという間に自分の番が終わってしまうからです。経験したことがないほどの美しい女が裸で目の前に転がっているのです。「舐める」、「肌の感触を愉しむ」は当たり前。とくに、性器や肛門を舐めることは当然だったでしょう。男ならだれでも美しい女を感じさせて征服した気分になりたいものです。
この男もそうでした。
初めて見る絶世の美女の性器。何をしても女は逆らいません。男は技巧を駆使して、麻紀子を感じさせようとしました。それが「動物のように」の動きです。

実はここで初めて、麻紀子が男たちに逆らわないことへの言い訳が出てきます。
「棒がなければ勝てないから逆らわない」という描写です。
これは、麻紀子がこののち「性交奴隷に墜ちる」ことへの布石ではないかと考えられます。「男には勝てないから逆らわない」、「脱出できないのだから性交器具になるのは仕方がない」、「男が自分を奴隷女としたいのだから従う」との言い訳の連鎖で、麻紀子はおのれを納得させていきます。
このロジックはすぐに後述されていきます。

話は戻りますが、男の意に反し、この時点では麻紀子は感じていません。
二十人前後の男たちに凌辱され、麻紀子はおのれの危機的状況を理解していました。麻紀子の凌辱は、殺されることが前提です。男たちは顔も隠しません。そんな状況では感じるはずもなかったのでした。
そのため、男は麻紀子の言い訳が立つよう、計画を変更します。




いずれは殺されるーそれは、わかっていた。
組織の狙いは父の逢魔高時だった。娘を人質にしている限り、高時は真相をばらさぬ。ばらせば、娘が死ぬ、やがて、組織は麻紀子を餌に、高時をおびき寄せる。
そして、二人を殺す。
高時にはかならず真庭正之が同行する。真庭も殺す。それで、組織は悪夢を忘れられる。
前回は、組織は失敗した。油断して、真庭と麻紀子を取り逃がした。あのときといまでは状況がちがう。組織の存亡がかかっている。二度とヘマはやるまい。麻紀子はそのことを承知していた。もう、決して逃げられない。このまま、男たちの性器具となって、死を迎えるしかないのだった。
だが、牡猿の女にならされて、勝手気ままに犯されることは、人間としての矜恃が許さなかった。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
どんなことをしても脱出は不可能。自分は死ぬまで男たちの「性器具」であり、「性交奴隷」として飼われているのだと、麻紀子はこのとき自分に言い聞かせました。
それがこの「言い訳」の描写です。
ただ、その状況の中でも、猿との獣姦だけは拒絶したい麻紀子でした。その助け船がつぎの男のことばであり、麻紀子はそれに乗ったわけです。




「猿の女になりたくなければ、よがり声を出せ。泣け。けものになれ」
男は、顔を上げていい、すぐにまた舐めはじめた。
「はい、ご主人さま」
どういえばよいのか、ともかく、麻紀子は声をたてた。ああ、ご主人さま、おゆるしくださいませ。いえ、犯してくださいませ。ああッー。そのほかに考えられるかぎりの、犯されてもだえる奴隷女の状況を想像して、口にした。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
この助け船は麻紀子の自分への言い訳の決定版になりました。
男もあるいはそれをわかっていったのかもしれません。
猿の女にならない為に、「泣いて」、「よがり声を出し」、「けものになる」のは仕方がないことだったのです。
それ以外に、麻紀子に残された手段は何もなかったからです。
女は言い訳さえあれば自分を納得させられる。
麻紀子が従うことは、男にはわかっていたのでしょう。
ひょっとすると、猿を飼っているのはウソかもしれません。
でも麻紀子は男に従う決心をします。
男に征服されることを、麻紀子はこのとき覚悟するのです。

西村作品は一見では「エロ小説」と思われがちです。
しかし、エロ小説なのだから、レイプされても女は感じても当たり前という理屈は、西村作品には通用しません。
いままでの展開をご覧頂ければわかると思いますが、「何も感じなかった」麻紀子が、男の凌辱に最後には「征服されてしまう」のは、「言い訳」が大いに関係しているのです。
要するに、「女が征服される(男も同じでしょうが)」には、精神的な要素が大きいと述べているのです。
現実その通りではないでしょうか。
一時期、若い女性のファンが多かったということもそれを物語っている(自分の妄想に違和感なく当てはめられる)のだと思いますし、私自身も常磐線の車内で、隣に座った若くてとても可愛い女性(小柄で、小貌のショートカット。残念ながらスカートでした)が文庫本の「晩秋の陽の炎ゆ」を隠すことなく堂々と読んでいたのを目撃しています。
平日の午前中だったので、たぶん彼女は学生だったでしょう(高校生ほど若くなかったので、女子大生か短大生か専門学校)。松戸あたりから乗車し、北千住あたりで降車していきました。
いま考えると、あのとき何で彼女に声をかけなかったのか、心から後悔していますが(笑)、それだけ一時期の西村作品はリアリティーがあったということの証明ではないかと思います(彼女がBL好きでないと信じたい)。




男はそのことばに耐え切れなくなって、麻紀子をベッドから半分引きずり下ろした。ベッドに体を折り曲げられて、麻紀子は男に尻を抱えられた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
自分から振った話でしたが、麻紀子が乗ってきたことで、男はとうとう我慢ができなくなりました。
麻紀子を後ろかた責めはじめました。
すばらしい真白い尻を抱えての責めです。
後背位とも、うしろからの立位とも受け取れる描写です。
男の目の前にも、麻紀子の「若さを示す背筋の凹み」と「尻の豊かさ」が拡がっていたことでしょう。
「名器」の締まりを味わいながら、男の長い責めがはじまります。

実はこの時点ではもう、後述にもありますが、麻紀子の体は反応していたと推測できる描写がされています。
男に命令されるまま、声を出しつづけていたら徐々に感じてしまったと、麻紀子本人も思い込んでいるのですが、すでにこの時点で麻紀子の性器は濡れていました。
麻紀子の「小さな」性器が巨根を苦痛なく受け入れたからです。




たえず、麻紀子は呪文のように大きいとか、すばらしいとかのことばを吐きつづけた。そうしているうちに、いつしか、麻紀子はことばに支配されはじめていた。ことばに真実味が出てきていることにふっと気づいた。遊びがなくなっていた。男のものが体の中で動くたびに、おそろしいほどの快感が生まれつつあった。何か、危険を告げるような怒濤が生じていた。
(上巻 第八章 虜囚 1項より)
いよいよ、麻紀子の中に潜んでいた「奴隷女」の貌が表れます。
愛のない、見知らぬ男の性に仕える事も苦痛ではなくなります。
「男根の味」をとうとう憶えたからです。
クリトリスでしか感じなかった麻紀子が、凌辱を受けても膣で感じるようになります。もうこうなると、「鶏が先か卵が先か」ではありませんが、「凌辱されて気持ちいいから、もっと男根が好きになる」のか「男根が好きだから、凌辱が気持ちいい」のか、いずれにしても際限がなくなります。凌辱を受けるたびに麻紀子の奴隷性は深まってゆきます。
そして、ここでは麻紀子が大きな男根が好きなことも明らかにされました。

とらえられてからこれまで、ずっと心を閉ざしていた麻紀子でしたが、言い訳を繰り返し、心を開いたとたん、男の男根のすばらしさに気づいたのでした。
それがこの瞬間です。
男は「名器」である麻紀子に対しても一方的に責めつけます。
「支配された」麻紀子に残されたものは、「ご主人さま」の命令通りに「感じて」、「征服される」ことだけでした。




たえず、麻紀子は呪文のように大きいとか、すばらしいとかのことばを吐きつづけた。そうしているうちに、いつしか、麻紀子はことばが真実味を帯びてきていることにふっと気づいた。遊びがなくなっていた。男のものが体の中で動くたびに、おそろしいほどの快感が生まれつつあった。何か、危険を告げるような怒濤が生じていた。
「ああッ!」
麻紀子はベッドをつかみしめた。
(東スポ版 第六章 虜囚より)
ノベルズ版、文庫版と異なり、初めに描かれた東スポ版ではこのような描写になっていました。
ひとつは、「麻紀子がことばに支配されはじめている」描写が追加されていること。
もうひとつは、「麻紀子が声を出して感じている」最後の描写が削られていることです。
ひとつめの方は、「支配」ということばにより、麻紀子の性交奴隷としての状況をより的確に描写したい作者の意図の表れと思われます。
男が心身とも麻紀子を征服したいが為、おのれの状況を口走らせたのは、まさにコレにあったのです。
男の狙い通り、麻紀子はことばと男根の両者の責めに征服されます。
ですので、ノベルズ版や文庫版で「麻紀子が感じている」最後の描写が省かれたのは「征服」された麻紀子を的確に表す点では、個人的には少々残念に思っています。

いずれにしても、逢魔麻紀子が「奴隷女」になったエポックメイキング的な事象がまさにこの描写であり、この男こそ麻紀子を「奴隷女」に変貌させた人物なのです。

男の責めに無我夢中になり、最後には麻紀子は失神させられたのでしょう。
後述の通り、わけがわからなくなるほど一方的に男に責められたことは事実で、それほど男には余裕があった。
そのことから、おそらくはわけがわからなくなるほどの長い男の責めに麻紀子は失神させられ、そののち、膣に射精を受けたと考えるのが、正しいと思われます。



イラストは(1)「両手に手錠をはめられ監禁される麻紀子」、(2)「組織員の男に命令され、自ら全裸を晒す麻紀子」、を描いたものになります。
イラスト(1)は両手に手錠をはめられた麻紀子のアップで、アップにすることで両手の間に鎖が極端に短いことがわかります。
これだけ短かければ、極度の筋肉痛などの肉体的苦痛がたちまち起こるでしょうし、寝起きや食事ですら多大な支障があることが容易に想像できます。
このことから、組織が麻紀子に微塵の憐憫すら示さず、長期間の監禁を想定していないことがわかります。
(2)のイラストですが、男の命令で全身を晒す麻紀子が描かれています。
麻紀子は正面への視線を避けており、手前側にいる組織の男への嫌悪感が、絶望感に充ちた表情から感じられます。
まるでミロのビーナスを彷彿とさせる裸身です。
つんと尖った乳首は大きくもなく小さくもなく、豊かな乳房は大人の男の手の平より大きく、美しく描かれています。
引き締まったウエストから豊かな腰とつづき、陰毛と影の違いは明確に描かれていませんが、剛毛という印象は感じられません。
そして太もも。
腰からつづくなめらかな曲線はとても美しく、脛はとても長く、長い足として描かれています。
最後は、奴隷の象徴たる足首の足枷。
これは文章にはない表現です。
両方の足枷をつなぐ鎖がそこそこ長く描かれていることから、いちいち外さなくてもある程度は支障のない長さと思われます。また、ふつうに歩く分には支障はないでしょう。
ノベルズ版の上巻表紙では、床に跪き、尻をこちらに向けて男に奉仕する麻紀子が描かれ、下巻表紙では男の凌辱に感じて貌をのけぞらせる麻紀子が描かれています。
この麻紀子の全身イラストは、読者サービスとして、補完の意味も込め、描かれたのではないかと考えられます。

Scan10090-1.jpgScan10333-1.jpg

★著者:安岡 旦 山野辺進
★販売元:東京スポーツ新聞社 徳間書店
★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。
★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。
★画像使用に対し、原権利者からの削除指示がある場合は即座に削除します。
★掲載画像の再利用(複製・転載・プリント)は固くお断りします。
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峠に棲む鬼「イラスト分析24」・・・代表的凌辱場面を考察する(その2) [峠]

一年ぶり以上のご無沙汰です。
竹生島と比べ、こちらの解釈は非常に難しく、難航しておりました。
今後も不定期に更新したいと思います。

「峠に棲む鬼」の主人公である逢魔麻紀子は、男という男に数え切れないほどの凌辱をうけていますが、代表的な描写は下巻の、
(1)竹生島での磔刑を免れた麻紀子が、真庭の前で倉田に奉仕させられ、犯される場面
(2)西独に拉致された麻紀子が、ヨーゼフ・クラインに初めて犯される場面

2カ所でしょう。

記述そのものが短いため、読まれる方によってもさまざまな解釈がされていると思います。
そこで今回は(2)について、このブログなりの大胆な解釈(個人的見解)を述べさせて頂きたいと思います。





<独自の解釈なので、不要な方は以下を「ご覧にならない」ことを強くお奨め致します>




2)のあらましです。

「峠に棲む鬼」東スポ版154回のサブタイトル「「あなたを処刑にー」麻紀子はおびえた。真庭は腹を決めた。」、及び東スポ版155回のサブタイトル「麻紀子を裸にするヨーゼフ。その体位は四つん這いであった。」の場面です。

西独のヘルバルト社に拉致監禁された真庭・麻紀子夫婦、新納の三人は、フランクフルトの古城に幽閉されました。
ヘルバルト社に必要なのは新納だけであり、真庭と麻紀子は新納からガスの化学構造式を引き出すための、単なる道具でしかありません。
いまに殺されることがわかり、真庭は脱出を試みますが失敗し、自分の処刑と引き替えに麻紀子を差し出させられるのです。

場面はそこからのスタートです。




真庭は、椅子に体を埋めた。
虚脱感が深かった。
麻紀子はクラインの部屋に連れ込まれた。寝室だった。シュルツが出ていった。
クラインが何かいったが、麻紀子には理解できなかった。巨漢のクラインが麻紀子を招いた。唇が奪われた。バター臭い舌が差し込まれた。分厚い、長い舌だった。
思う存分、吸われた。
それが終わると、クラインはその場で麻紀子のセーターを脱がしにかかった。麻紀子は立ったままでいた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

ここで、あまり有名ではありませんが、一つの真実があります。
それは東スポ版とそれ以外(ノベルズ及び文庫)の表現が、若干異なる為、意味がふた通りにとれる文章があるという点です。



②(東スポ版第154回)
真庭は、椅子に体を埋めた。虚脱感が深かった。
麻紀子はクラインの部屋に連れ込まれた。寝室だった。
シュルツが出ていった。

①と②を見比べて頂ければわかるとおり、②では「真庭は、椅子に体を埋めた。」と「虚脱感が深かった。」の間には1行分の行間が無く、一連の文章として描かれています。
②を素直に読めば、「虚脱感が深かった。」のは「真庭」だということになります。
先生はこれをノベルズや文庫版で編集し直し、あえて行間を入れました。

もともと「虚脱感が深かった。」のが麻紀子だった為に、読者に「より」わかりやすくする為、努めて1行間を開けたと解釈するのが素直ですが、椅子に(ぐったり)体を埋めるほどの虚脱感を真庭も持っていたとも言えるかも知れません。

いずれにしても、最終的には麻紀子が「虚脱感を持った」のは事実で、一度はわずかでも希望を抱いただけにふたたび男の性交奴隷に戻されることに、「絶望的な」虚脱感を感じたに違いありません。
そのあと「唇を奪われ」、「吸われた」ことで、麻紀子の脳裡にあるエロスのスイッチがふたたび入ってしまい、このあとの展開はみなさまご存じの通りです。



さて次に、このシーンで麻紀子はクラインにキスをされたあと、セーターを脱がされますが、「セーターの下に何を着ていたのか」に焦点を当ててみましょう。

竹生島にスクーナーで拉致された際、麻紀子の服装で確認できるものは、「体が透けてみえる絹のネグリジェ」、「花柄にフリルのついたパンティ」、「ジーパン」、「毛皮のハーフコート」の四点で、すべてが倉田が用意したものでした。
そして、このときより以前の記述では、麻紀子は当然のことながらブラジャーを着用しており(初めて組織に拉致されたときは、組織員の友野に外された記述から、普段からつける習慣があったことは明らか)、竹生島に拉致され、倉田に着替えさせられて以降にブラジャーをしなくなったようです。

これは、性交奴隷である麻紀子にはブラジャーは不要と主人(倉田?)が考え、与えなかったとも解釈でき、この場合、セーターを脱がしさえすれば、すぐにでも美しい乳房を拝み、触ることができたわけです。
凍死の恐れさえなければ、本当は全裸・足枷で飼いたかったのかも知れませんが(その方が家畜として飼われている被虐感が強く、どMの麻紀子を精神的に支配しやすい)、麻紀子の体はそこら中の男たちが狙っており、全裸などでは危な過ぎて倉田としても保険の意味で衣服を着させていたのかも知れません。


クラインに西独に拉致され凌辱された際も、クラインに外された記述がないことから、この時点でも麻紀子がブラジャーを着用していないことは確かなようです。

ちなみに、初めに拉致された際に、麻紀子が身につけていたものは、「セーター」、「シャツ」、「ブラジャー」、「ジーパン」、「パンティ」でした。
それ以外に、本作中で確認できる麻紀子の衣服は、「ジーンズの上着」、「靴」、「パジャマ」、「コート」、「肌着」になります。

さてそれでは、麻紀子のブラジャーはいったいどこに行ってしまったのでしょうか。
ブラジャーばかりではありません。
麻紀子の元々履いていたパンティも、オリジナルはいつの間にか倉田に奪われており、気がつけば、麻紀子は倉田に花柄のフリルのついたものに着替えさせられていたのでした。

一つの推測ですが、倉田は麻紀子に惚れ込んでおり、その「入れ込み」ようから、着ていた衣服さえも愛おしく感じていたことが想定されます。
従って、麻紀子の下着類(あるいはオリジナルの衣服も)は倉田の愛蔵品として、どこかに保管されてしまった可能性があります。
隠すとすれば、奥さんに見つからない場所でしょうから(笑)、隠し場所は関東製薬本社ビル(社長室)、薬理研究所、竹生島、スクーナーの中、バートルの中、社用車のトランク、等に限られますが、物語の流れからすると、可能性が一番高いのは竹生島のどこかでしょう。

あるいは、ひょっとすると、奥さんに見つかるくらいならと、浅間山か阿蘇山にバートルで運んでいって「火葬」にしたのかもしれません・・・(笑えないジョークですが)。




貧血を起こしそうな感覚があった。
また、嬲りものになる。それも、ことばもわからない巨漢の異国人にだ。はてしない凌辱がつづくのだと、意識がずり落ちて行きそうな感覚の中で、そのことを思っていた。
ジーパンを脱がされた。パンティも取られて、その上に手錠をはめられた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

この時点でも、麻紀子は「花柄のパンティ」を着用していたのでしょうか。

いや、倉田にスクーナーで弄ばれたあと、麻紀子は竹生島に上陸しますが、その後の「奴隷男とのセックス」でも、「磔にされる場面」でも、「新納とセックスする場面」でも、さらにはそのあとの「倉田と中垣に、真庭と並んで犯される場面」でもパンティについては何も記述がありません。
あれほど「人妻の白いパンティ」が大好きな先生なのに、麻紀子が衣服を脱がされる場面で、パンティだけが記述にないのです。

そして、決定的と思われる記述がみつかりました。



④男はふたたび伝声管を把った。
「四人分の着替えを、用意しろ。それから、湯を沸かせ。コーヒーもだ」
命じておいて、男はふっと、肩を落とした。
(下巻 第十一章 深まる謎 2項より)

⑤救助された真庭正之、逢魔麻紀子、新納辰吉の三人は船尾近い船室に収容されていた。
そこには湯が用意されていた。体をつけて暖をとるほどの湯ではないが、バスタオルを浸して熱い蒸しタオルで体を拭くと、蘇る気がした。
三人はそれぞれに塩分を落とし、手足を湯に浸して、濡れた服を着替えた。
(下巻 第十一章 深まる謎 3項より)

この④⑤より読み解けるのは、クラインに凌辱された際に麻紀子が身につけていた衣服は、ヘルバルト社の別働部隊によって船上に用意されたものだったのです。



まとめます。
竹生島にいたとき、麻紀子はフリルのついたパンティをもはや履いておらず、ノーブラ・ノーパン状態(上はセーターのみ、下はジーパンのみを着用)で過ごしていました。
これは倉田を初めとする主人たちが、その気になればすぐにでも麻紀子を凌辱できるように、不要な下着は与えなかったのだと思われます。

そして、竹生島を脱出した際に、ヘルバルト社の別動部隊から与えられた衣服の中には、ブラジャーはなくパンティだけがあったのです。

漁船に扮した工作船内に、女物の着替えをいつも用意しているとはあまり考えにくいのですが(しかも寸法も合っているものを用意している)、世界的コングロマリットであるヘルバルト社のことですから、そこは抜群のリサーチ能力を発揮し、麻紀子にちょうどぴったりなサイズの着替えを用意していました(おそらく日本製でしょう)。

ヘルバルト社に幽閉された麻紀子が着ていた服は、このとき着替えた服です。
西独海軍が、潜水艦内で濡れた衣服をご丁寧に洗濯乾燥までしてくれて、それをヘルバルト社まで送り届けてくれるとは考えにくいですし、麻紀子自身が持ち込んだ記述もないので、そう考えるのが妥当です(麻紀子が脱いだ濡れた衣服は、潜水艦の乗組員が麻紀子の匂いを「おかず」にしているでしょう)。

ひょっとすると、ヘルバルト社の別動部隊は、麻紀子だけでなく竹生島に捕らえられている奴隷たち全員の身体的特徴データーを収集し、それにマッチした着替えを船内に用意していたのかも知れません。

「恐るべし、ヘルバルト社」ですね。




クラインは、素裸にした麻紀子を立たせたまま、すこし離れて、観賞した。前から、そして後ろから。
麻紀子は瞳を閉じた。
クラインが背後にきた気配がした。
ふいに、麻紀子は尻をつかまれた。クラインが両手尻をつかんで、拡げた。そうやって、割れ目に舌を入れてきた。
クラインは執拗にそこを舐め、軽く噛み、割れ目から、肛門に舌を這わせた。舐めて、吸い取ろうとしていた。
その愛撫が数分間、つづいた。
麻紀子は、膝をついた。立っていられなかった。
泪が出ていた。
クラインは麻紀子を這わせた。
ことばがわからないから、クラインは監督が素人に演技をつけるように、手足を把って、体位を決めた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

ここでも麻紀子は全裸にされ、全身を観賞されます。
麻紀子の美しさはヨーロッパでも充分に通用する美しさであったわけです。
さすが、寿行作品中「美女」ナンバーワンヒロインだけのことはあります。

さて、このとき麻紀子はクラインの命令が全くわかりませんでした。
クラインは西独人なので喋る言葉はドイツ語でしょう。
このことがあったためか、娘の紀魅は外語大に通っています(専攻は不明)。
ひょっとすると、自らの負の教訓を生かすべく、あるいは例えドイツ人に拉致されても困らないように、娘にはドイツ語を取らせていたかも知れません(紀魅はロシア語は理解できたようなので、ロシア語専攻かも知れません)。

そして、肛門を優しく愛撫されたことのない麻紀子は、そこでも感じる自身に戸惑いながらも、そんな自分に思わず泪を流しながら膝を突いてしまうのが、この場面です。




その体位は四つん這いであった。
クラインはなおも尻から舐めた。その分厚く長い舌は麻紀子の性器にまで届いた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

クラインの愛撫は、まず麻紀子の肛門を舐めることから始まります。
性器ではなく肛門をかなり長い間、舐めつづけるのです。
麻紀子を肛門への愛撫で感じさせようとしたか、クライン自身が肛門好きなのか、理由はいくつか考えられますが、この場合は、少しあとに記述される肛門性交への布石と考えていいでしょう。

肛門と性器の両方を同時に舐めるということは、尻の割れ目を上下に舐めているわけです。
そして、性器ではなくまず肛門から舐めはじめたということは、クラインは間違いなく肛門性交の愛好者で、通常の性交と同じかそれ以上の肛門性交を行っていることが、この動作に表れています。
麻紀子がどんなに美しいからと言っても、肛門は肛門です。
麻紀子が舐めた倉田の肛門同様、そこは汚れています。
いつ大便をしたかもわからず、その段階で舐め回すのは普通かなり覚悟がいります。
そこを舐め回せるというのは、愛おしいから舐められるのだと考えられるでしょう。
クラインは肛門を愛おしく感じるのほどの、肛門性交愛好者だったのです。
そして、麻紀子の肛門をみて、麻紀子も経験者なのがわかったのかも知れません。
いずれにせよ、クラインの愛撫(ご挨拶)の初めての相手は性器ではなく肛門であり、それは愛好者独特の「味見」だったのかもしれません。




麻紀子は床の一点をみていた。
鬼無村消失の謎を追いはじめて、もうどのくらい凌辱されたことかと思った。数えきれなかった。何十人かの男が、縛られた麻紀子を犯しにきた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

ここで、麻紀子自身の記憶を辿る形をとり、麻紀子が奴隷になってからの男性経験が明らかになっています。
「何十人か」ですから、10人から99人までが該当し、一人が二度(以上)していると後述していますので、男たちに射精された回数は20回から198回(以上)となります。

麻紀子が初めて拉致されたのが十一月十五日です。
このときは中垣率いる関東製薬秘密組織の組織員数人に奴隷として仕えさせられました。
奴隷生活の最後は、西独から羽田空港に戻ってきたのが翌年の二月十五日夜ですから、おそらくは赤軍ゲリラに開放されたのが二月十三日でないかと思います。
合計九十一日間です。
その間のうち、例えば一時的な解放や移動などを除く二日に一日を男の性に仕えていた計算としても、四十五日間は男に凌辱されつづけていたのです。
四十五日で、198回とすると、一日平均4.4回の射精となります。
九十一日間のうち、2/3とすれば、一日平均3.2回。3/4とすれば、一日平均2.9回。
いずれにしても、まさしく性交専用奴隷です。
寝る時間と食事の時間等を除けば、一日の大半を男の性に仕えていたことになります。


また、文章中の具体的な記述では何人の男が数えられるでしょうか。

<上巻>
「中垣明」、「(おそらく)友野」、「乗用車の三人の仲間=麻紀子に叩きのめされた三人の男」、「捕らえられた真庭の前で、麻紀子を犯していた男」、「蛇の生殺しは嫌だぜといった真庭」、「麻紀子を猿の女にする話をした男」、「十三人の男たち」、「倉田恵治」、「坂本」の計23人。

<下巻>
「新納辰吉」、「麻紀子の口で射精した男」、「クライン」、「麻紀子を拷問した男」、「シュルツ」、「警備の男」、「四人の警備員」、「射殺された二人の男」、「ポーカーをしていた三人の男」、「麻紀子を馬乗りで犯していた男」、「岩田」、「杉本」、「小川」ですが、「四人の警備員」と「射殺された二人の男」・「ポーカーをしていた一人」、「麻紀子を馬乗りで犯していた男」はおそらく同一人物なので、計13人となります。

合計36人です。
36人が二回射精すれば72回となり、45日間とすれば一日平均1.6回。九十一日間のうち、2/3とすれば、それでも一日平均1.2回になります。

奴隷となっている間、麻紀子は毎日最低でも1.2回の射精を受けていたわけです。
それこそ、膣に射精された精液を拭う間もなく、次の男に仕えさせられていたことになります。
上巻にも記載があるとおり、おそらくはつねに全身精液まみれだったでしょう。

さらには、このあとにも再度麻紀子は組織に捕らえられており、中垣と八人の組織員、倉田恵治に二・三日のうちに計十人に犯されています。

そして、最後にトドメの記述です。



⑨麻紀子がここ、鬼無村に帰省したのが、十一月四日だった。村人消滅を知り、捜査にかかってから三ヶ月以上になる。その間の苦悩に充ちた闘いが思われた。
屈辱に充ちた日々でもあった。
性器具として、敵に虐げられた絶望の過去が、ずしりと記憶に重い。いや、記憶だけではなかった。体にもその重みはある。何十人の男が体を弄んだことか。何百回となく、性器を、肛門を、そして唇を、犯された。精液のドロリとした記憶が体を埋めている。
体が腐ってしまった気がする。腐敗は内臓にもおよんでいるようだった。
その腐臭にまみれた麻紀子を迎える雪の白さが、痛かった。
(下巻 第十六章 新たな敵 1項より)

これは麻紀子一行が西独を脱出し、鬼無村に生還した際の、麻紀子の述懐です。
ここでは射精回数が「何百回となく」となっています。
この数をMAX999回とすると、91日間では一日あたり11回となり、それこそ想像を絶した回数になります。

これはあくまでも個人的な想像でしかありませんが、若くて体力のある女性がどんなに頑張っても毎日「午前中一人」「昼間一人」「夜一人」の計3人が体調を崩さないで相手ができる限界ではないかと思います。
それはただ寝ていれば勝手に男が逝ってくれるわけではなく、「お仕え」した上で、麻紀子自身も感じることを要求されるからです。

それでも「一人が一度では決して済まなかった」訳ですから、一日の射精回数が6回(一人2回ずつ)とすると、45日間で270回、2/3の61日間では366回となります。

「裸の冬」の主人公である白骨紅のように、同時に、二人や三人を相手にさせられていたことも想定されるので、200回~400回は数としてはあり得たでしょう。

捕らえられ、奴隷となっていた間は、麻紀子の口・膣・肛門には常に男根が挿入されていた(口、膣、肛門に同時挿入の上、両手で一本ずつ愛撫だとMAX5人同時)と言っても、過言ではありません。
よくぞ、心と体がもったモノです。





一人が一度では決して済まなかった。二度目は、肛門を責めるか、口腔性交を強いた。
女の体は、男にとってはあらゆるところが、性器だった。尻の割れ目だけで射精する男もあれば、後ろ手に縛られてベッドに転がされた麻紀子の両の足の裏で男根を擦り合わして射精する男もいた。
乳房で包んでそうする男もある。
女の体で性器にならないところはなかった。女は男の玩弄物としてのみ存在する。とらえられてはじめて、男の本性がはっきりわかった。
男は、女に人間としての価値を認めようとはしなかった。大切に扱うのは、性器具としてのみ、大切にするだけであった。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

ここでは、麻紀子がこれまでに受けた、具体的な凌辱内容が明らかにされています。
麻紀子が日常的に肛門性交を強いられていた事実、当然のことながら口腔性交もそうですが、ありとあらゆるテクニックを行使して男に奉仕させられていたことです。
日常的に肛門性交に使用された肛門は、オリジナルとは明らかに形状が異なり、おそらくいつも口を開けている状態になっています。
クラインは麻紀子の肛門を観察した際に、そのことに気づき、麻紀子が肛門性交の常習者であることに気づいたのです。
麻紀子が自分と同じ趣味を持っているのだと、あるいは趣味でなく強制されてだとしても、日常的にそこは性交に駆使されているのだとわかったのです。




これから、異国での闇の底にうめかねばならない生活を、麻紀子は思った。当分は、このクラインという男の奴婢にされるのであろう。好きなときに、クラインは麻紀子を裸にする。
厭きれば、だれかに払い下げられる。それは通訳のシュルツかもしれない。
心も体もボロボロになって、あげくは締め殺されるのであろう。ふいに、麻紀子は貌を上げた。
クラインはいまはあお向けになって麻紀子の股間に頭を突っ込んでいた。舌が、陰唇を舐め回し、ときに強く吸う。吸われた瞬間に、麻紀子は消え入りそうな感覚にとらわれた。クラインの口中に体が吸われてしまうような不安感であった。
不安感はするどい歓喜をも含んでいた。同時に、失禁しそうなおびえが走った。
「ああッ」
麻紀子はうめいて、思わず足をつぼめた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

クラインは相当な女好きのようですから、女性のあそこを舐めるのもかなり上手なのでしょう。そのテクニックに、麻紀子は虜にされてしまいます。
陰唇を舐め回してから、膣とクリトリスを吸われ、おもわず声を洩らしそうになって、麻紀子は顎をのけぞらせます。
このとき、麻紀子の視線は宙を漂い、その瞳には官能が浮き、半開きになった唇からはあらい吐息が漏れていたはずです。
そして、クラインの口での愛撫がつづき、麻紀子はお洩らししそうなほど感じてしまうのです。
「思わず足をつぼめた。」という表現には、もっとそこを舐めて吸ってほしいとの「麻紀子の想い」が込められており、そのため、足でクラインの顔を挟みこみ性器を押しつけたという表現になったものと思われます。

この時点で麻紀子はクラインに対する抵抗をいっさい放棄してしまいます。麻紀子の股間は既に溢れるほど濡れていたはずです。

このときの麻紀子の「ああッ」といううめき声は、読者の期待感をあおり、次の展開を予感させるキーワードになっています。
これにより、多くの読者がワクワク感というか、読者の希望通りの展開を予想したことでしょう。

そして、「異国の闇の底にうめく」という表現を用いて、麻紀子がクラインや通訳のシュルツ、その他大勢の男たちの性に仕えることばかりを考えているのがこの場面です。




クラインが、体を引いた。
裸になる気配がした。
クラインがベッドに腰を下ろして、麻紀子を手招いた。素裸になっていた。
麻紀子は這い寄った。クラインの命令はわかっていた。股間に入って、手錠をはめられた手でクラインの男根を握った。はじめてみる巨大さであった。気味が悪くなるほど、硬度がなかった。
口に含まされた。口が変形してしまいそうな感じがした。頭を上下に振って、口腔性交をつづけた。クラインはなかなかやめさせてはくれなかった。
十分あまり、それをやらされた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

クラインとは言葉は通じなくても、裸でベッドに腰を下ろした男が、女を手招く意味を麻紀子は理解しています。
口腔性交させられるときは、このパターンが多かったのでしょう。
奴隷のやるべきことを体で理解している麻紀子は、立ち上がることなく、床を這ってクラインの股間に自ら入っていきます。
クラインもその麻紀子の仕草をみて、奴隷女としてクラインの性にひれ伏す覚悟を決めたことに気づいたでしょう。
人妻でもある麻紀子が屈服したのです。
クラインの気分はさらに昂ぶったはずです。


麻紀子はクラインの男根に口腔性交で仕えはじめます。

このとき、麻紀子はクラインに男根を舐めさせられながら、何を考えていたのでしょう?
はじめは確かに「貧血を起こしそう」、「意識がずり落ちて行きそう」と、絶望感に打ちひしがれていた麻紀子でしたが、クラインの優しい愛撫に、一変します。

はじめに肛門を丹念に愛撫され、次は性器と愛撫が続き、とどめは、麻紀子自身がクラインの男根を口で愛撫することで、体はできあがってしまいます。

そして、麻紀子は男の奴隷とされていたこの数ヶ月間に、すっかり男根に馴れ、好きになっていました。
口に含んで愛撫すると、犯されているときの快感が蘇るのでしょう。
そして、クラインの男根はいままで体験したことのない巨根ですから、口に含んだときの衝撃は相当なものだったでしょう。
硬度がないことにはすぐに馴れ、麻紀子はすっかり巨根に心を奪われてしまいます。



⑬紀魅は単時日で女の奥に眠る性のすべてを引き出されることになる。
(花に三春の約あり 第三章 鷲の巣 2項より)

麻紀子の娘である紀魅に関する記述が、このときの麻紀子にそっくり当てはまるでしょう。
麻紀子は男根を口に含まされることで、濡れる体質になっていました。
巨根を挿入され痛がっていない(すんなり受け入れている)ことから、この場面でも、麻紀子はクラインに男根を舐めさせられ、一層、濡れてしまっています。

この描写以外にも、他の作品ではありますが、少なくても下記の⑭~⑲の6カ所に同様な記述があります。



⑭長い口腔性交だった。どの部分にどのていどの強さで歯を使ったらよいかを由紀は心得ている。男根を口にすることへの嫌悪感はなかった。仕えているうちに由紀自身も濡れてくる。口にしている男根がいまに由紀をつらぬく。前からか、這わされてかは、男しだいだ。由紀は忘我の境地を彷徨うことになる。
(沈黙の渚 第四章 凍土ツンドラ 5項より)

⑮由紀は跪かせられた。男に突きつけられた男根を由紀は、口にした。
口にしているうちに、由紀は欲望をおぼえた。衝き上げるような欲望が湧いてきた。堪えがたいはげしさであった。
由紀はその場に這った。
「おねがい!犯して」
懇願した。
(ふたたび渚に 第五章 魍魎 6項より)

⑯半勃起状態の男根が目の前にある。紀魅は口に含んだ。
口腔性交をつづけているうちに硬度が増して膨れ上がった。
ニールは傲然と突っ立ったままだ。
紀魅は半分も口に入らない男根を相手に口腔性交をつづけた。
できることなら、ニールを殺したい。やってできないことではない。口腔性交をつづけながら睾丸を握り潰せばよい。倒れたら羽化真人に教えられた蟷螂拳法で喉を突き破れる。
しかし、いざニールの前に跪くとそれができなくなる。殺意が失せる。ニールに犯されることのみを思う。犯されはじめるとたちまち狂瀾状態になる。黒人さまの男根さまと、口走ることになる。
それだけの威力を秘めた男根であった。
口にしているいまもすでに炎は取り憑いている。
ジョディにしても同じだ。あえぎながら肛門に舌をさし入れている。紀魅とジョディはニールの奴隷になりきっていた。いかなる屈辱にも堪える。屈辱は炎と化す。偉大な支配者であった。
ニールの男根には、女同士の性愛を粉微塵に打ち砕くだけの魔力が秘められていた。尊いのは男であって女ではないことを紀魅もジョディも悟らざるを得なかった。
女同士では失神するまではいかない。ニールは無造作に眠らせてくれる。
(妖しの花乱れにぞ 第三章 フロリダの恥部 5項より)

⑰紀魅は瞳を閉じてイワーノフの男根を口に含んだ。
口腔性交をつづけた。
つづけているうちに汚らしさは消えた。紀魅は自身の膣が濡れているのを知った。
紀魅はベッドに上体を投げ出していた。
イワーノフが巨きな男根を背後から挿入して責めている。
ああッと、紀魅は声を洩らした。
(花に三春の約あり 第三章 鷲の巣 2項より)

⑱黒人が裸になった。極度に黒人は昂ぶっていた。異様に大きな真黒い男根が天を衝いている。血の気の失せた貌で左菊がそれをみている。蛇への恐怖が残っているがたちまち左菊に女本来の犯される炎が取り憑く。最初の相手は黒人だ。いまの麻里がみても心臓が締め上げられるようなすさまじい男根であった。麻里は黒人の男根に眸を瞠ったことをおぼえている。
黒人でそれも異様なほどの男根を持った黒人にその男根ゆえに屈服するのだと思うと麻里はそれだけで濡れた。
麻里は黒人に跪いた。口にして使えた。黒人はそれを傲然と見下ろしていた。意のままだった。這えといわれれば這ってお尻を差し出した。背後からの男根の責めにあえぎ、叫びつづけた。黒人の男根の岩乗さに精神を奪われた。大小は問題ではないというがそれはウソだ。岩乗なもので犯されるのでなければホテルの廊下も便所も意味をなさなかった。
鉄抗から解かれた左菊が突っ立った黒人の股間にしがみつくようにして男根を口にしている。
(頽れた神々 第一章 罌粟の都 4項より)

⑲紅は、口に含んだ。女のしなければならないことは紅は心得ていた。口に含まなければマルカーンは承知しまい。男根を必死になって口に含むのを見下ろすことで男は制服本能を味わう。
数分間、マルカーンがもうよいというまで、紅は口で愛撫していた。
その頃には紅の心に変化が生じていた。
女の性が屈辱を抑え、男の凌辱を待つ昂ぶりが生じはじめていた。口にしたものが逞しく思えはじめていた。口いっぱいになっているものがいまに紅をつらぬく。そのときの感触がすでに脳裡に渦巻いていた。嫌悪しかなかったマルカーンの巨大な軟体動物に似たものが、尊く思えはじめていた。
(裸の冬 第二章 アラーギ族 4項より)


すべてに共通していえることは、「男根を舐めさせられているうちに濡れて、したくなってくる」どの女性も、充分なる男性経験を積んで、体が馴れている(体が快感を憶えている)場合でしょう。
とくに、全員が性交奴隷として飼われている場面の描写なので、この傾向はとくに顕著です。

ここで麻紀子は十分もの間、口腔性交をさせられます。
つまり、読者にも麻紀子にも、クラインがかなりの遅漏であることが、これでわかったのです。奴隷女を存分に満足させられる男だということが読者のみならず、麻紀子にも伝わりました。

これで、いよいよ読者の期待感が最高潮に達する状況になりました。




突然、クラインが体を離した。麻紀子は床に這わされた。さっきと同じ格好だった。
クラインの男根が尻にあてがわれた。しばらく擦っていて、ゆっくり押し込んできた。
麻紀子は背をそらせた。臓腑にあたりそうなところまで、それは届いていた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

ここで注目すべくは、麻紀子は巨根を痛がらず、すんなり受け入れている点です。
性器と肛門への愛撫、及びそれにつづくクラインへの口腔性交での奉仕によって、麻紀子は相当に濡れていたのです。
このあとの衆人前のレイプのときは、麻紀子はクラインの巨根の挿入時には、苦痛に貌をゆがめています。

麻紀子の尻をみて、クラインは麻紀子が股間をひどく濡らしているのがわかりました。
早く入れてほしがっていることにも気づきました。
それでわざと尻の割れ目で男根をしばらく擦り、挿入せず、焦らしたのです。

記述こそ無いものの、麻紀子がそれに堪えられず、自ら足を拡げて濡れた性器を差し出す仕草が、この場面に想像できます。

そして、こちらも記述こそ無いものの、その巨大な存在の挿入に、麻紀子が思わず大きなうめき声を洩らしたことも想像できるでしょう。
それは竹生島で倉田に凌辱された場面をみればわかります。
夫の前での凌辱とはいえ、麻紀子は倉田に後背位で犯された瞬間、快感のうめきを洩らしました。
作中に、倉田の男根のサイズについての記述はありませんが、初老と表現される倉田恵治の男根は白人男性と比べて大きかったとは言い難いでしょう。
その倉田より遙かに大きな男根が挿入され、挿入感はかなりのものだったに違いありません。倉田の時は「低い声を洩らした」程度でしたが、このときは「大きなうめき声」を放ったと思われます。



(21)由紀は男に両足を担がれた。体を折り曲げて男が挿入して来た。由紀は歯を喰い縛った。その瞬間には男根のことしかなかった。征服されるよろこびの心のうめきしかなかった。由紀は男にしがみついた。ああ、おとこさまと、由紀は胸中で叫びを放っていた。
(風の渚 第四章 謀略の墓場 4項より)

まさに、このときの麻紀子もこの由紀と同じ状況だったはずです。

手錠をはめられた両手を床に突っ張り、貌を床につけ、尻を高々と掲げ、クラインに差し出している。尻を抱えられて逃げ出すこともできず、背筋をのけぞらせ、お腹いっぱい、膣一杯に巨根を受け入れている。巨根からもたらされるあまりの快感に、その美貌を激しくゆがませ、歯を喰い縛っても、大きなうめき声を洩らしてしまう。

このときの麻紀子の様子はこんな感じでしょうか。



(22)
クラインはしきりに何かをいっていた。何をいっているのかは、わからない。両手で麻紀子の尻を抱えていた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)


この場面でクラインがいっている台詞は、おそらく「麻紀子の名器」についてではないかと想定されます。
詳しくは既述しておりますので省略しますが、名器と一言でいっても3パターンあり、(1)サイズ(いわゆる「きつい」)、(2)締まり(いわゆる「キュッと締まる」)、(3)感触(いわゆる「数の子天井」)の中で麻紀子が明確に当てはまるであろうパターンは「(2)の締まり」でしょう。
(1)は麻紀子の身長がそこそこ高かったことを考えれば可能性は高くなく、(3)については当てはまりそうな描写がありません。
男根の鈍感な部分でも(2)ははっきりわかりますから、巨根の西欧人にでもわかる「名器」となれば、麻紀子は(2)の名器の持ち主だったと、いってもよいかも知れません。

繰り返しになりますが、西村先生は他作品においても「欧州女のあそこはガバガバで、使い物にならん」と述べられています。



西村作品は男性の性器描写が中心で(立派とか巨根とか)、いわゆる女性の「名器」表現は本作以外にはほとんど見あたらないのですが(詳細分析は「峠に棲む鬼「イラスト分析22」・・・麻紀子は処女だったのか(中編)」参照)、有名なものを挙げてみます。

(23)坂田はふるえる声でそういいながら、暗い中で杉野静子に這い上がり、馬乗りに跨った。すぐに天国がやってきた。。ものの一分ともたなかった。絶品だと坂田は思った。どこもここもが密着して隙間がなかった。しめりを帯びた肉に包まれただけで、果てるかと思われた。
(汝!怒りもて報いよ 第二章より)

(24)高右衛門は喘いだ。足りない女だけに遠慮がなかった。吸いつづけるさいを見下ろした。
やがて、さいを押し倒した。
じきに、はてた。吸い取るようなさいの膣であった。さいは、締めて、体をふるわした。
(血の翳り 第三章 系譜 2項より)

このように、本作以外にはほとんど「名器」表現が見あたらないのはなぜでしょうか。
ひとつの推測ですが、西村作品の大部分は男性の登場人物が主役であり、女性はサブに甘んじています。
性交においても、基本的には男性が女性を責める描写が多いです。
ここで女性が名器だと男性がすぐに逝ってしまい、性交の主導権を男性がとれなくなってしまう為、そのように極端な表現になっているのではないでしょうか。
とくに(23)は状況的には全くそのような推測を補完する状況での場面になっています。


さて、麻紀子は後背位で犯されて感じてくると、尻が上がり、左右に振る癖があるのがわかっています。


(25)しだいに麻紀子の反応が昂ぶっていた。尻が上がっている。それをかすかに左右に振っていた。
(下巻 第十章 多国籍企業 1項より)

(26)紅は尻をマルカーンの腹に押しつけた。小さく左右に振った。
マルカーンが短く吠えて、射精した。
(裸の冬 第二章 アラーギ一族 4項より)

(27)お尻から責められながらもだえ狂ってみせた。実際にいきもした。何人もに責められているうちに堪えがたくなることがあるのだった。犯している少年にしがみついて尻を打ち振った。真澄がいくと少年どもは喜んだ。
(死神 ザ・デス 第二章 性交地獄 1項より)

「裸の冬」や「死神」でも同様な表現があります。
おそらくこのときの麻紀子は、倉田恵治に犯されたときの自身や白骨紅と同様、尻をかかげて、クラインの腹に尻を押しつけ、左右に打ち振ったことでしょう。

このときは、麻紀子もクラインの男根のすばらしさに夢中になっています。「ご主人様の味」をもっと味わいたくて、尻を打ち振りながら膣を締めたのでしょう。

天性の名器ぶりに加えて、そこを思いっきり締められて、遅漏のクラインも驚愕したに違いありません。
そして、このつぎの瞬間から、膣の感触を味わうかのように、クラインはゆっくりと麻紀子を責め立てはじめます。



(28)
スローモーな突きたてがはじまった。
麻紀子は肘をついた。
快感が、体を侵しはじめていた。
それは抑えることのできないものであった。抑えも耐えもできない快感が、性器を中心にして、湧き上がっていた。脳裡にも黒い炎が燃え転がりはじめていた。ああッ、ああッ、と麻紀子は叫んでいた。女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)
既述の、

「麻紀子は背をそらせた。臓腑にあたりそうなところまで、それは届いていた。」

という文章と、

「女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。」

というこの文章にはつながりがあります。

臓腑とはいわゆる五臓六腑のことで、頭に近いところの臓器では心臓や肺臓、胃などがあり、人間の大事な内臓を一言で表す言葉です。

そして麻紀子の述懐をひもとくと、”クラインの巨根は、(背をそらせても)胃にあたりそうなところまで届いているように感じられた”とのことですので、つまりは、このときの麻紀子は”巨根で膣から胃までを串刺しにされ、五臓六腑のすべてをクラインに支配された(と感じた)”と状況だったのでしょう。
それは麻紀子にとっても初めての、衝撃的な経験でした。

そしてこのことが、後述の”奴隷になり得る”という文章につながるわけです。

これ以降、麻紀子の脳裡には倉田恵治や中垣明に入れ替わり、ヨーゼフ・クラインが”ご主人さま”として君臨します。

ここでは、体の支配は「快感が、体を侵しはじめていた。」という表現で、精神の支配は「脳裡にも黒い炎が燃え転がりはじめていた。」という表現が表しています。
身も心も屈服し、すべてを支配される麻紀子。
それを西村先生は「ああッ、ああッ、と麻紀子は叫んでいた。」という文章に表現しています。このときの麻紀子に許されたほんのわずかな自由は、犯される快感を声に出して叫ぶことだけだったのです。

それに続く「麻紀子は歯を喰いしばりながら」という表現ですが、これほどこのときの麻紀子の様子を表す具体的な描写は他にありません。
このとき麻紀子は「歯を喰い縛って」いたわけですから、白目を剥くほどの快感にその美貌を激しくゆがめていたのでしょう。
この表現によって、麻紀子のみならず、読者の期待感もこのとき絶頂に達します。この期待感は、読者の期待を裏切らない最後の一文に結集されていきます。



文字通り、クラインの奴隷となった麻紀子は、クラインの望むままに、感じ、泣け叫び、逝かされるしかありませんでした。
絶世の美女でありながら、名器の持ち主でもある奴隷女がおのれの男根に屈服し、悶えまくり、うれし泣きしながら昇り詰める様子を見て、クラインは征服欲を満たし満足したことでしょう。

つまりは、この瞬間に”期待感”を満足させていたのは、「読者」のみならず、「麻紀子」であり、「クライン」でもありました。
驚異的にも三者を同時に満足させる、西村ワールド全開の瞬間でもありました。



この”クラインとのセックス描写”をひもとけば、麻紀子が「巨根」好きであることが明確に記述されています。
中垣明や倉田恵治に犯され、逝かされたとき、あるいは、のちの夫となる真庭正之とセックスしたときにすらない、男根に対するこまやかな描写や巨根に犯されているときの被虐的な描写です。
いままでの麻紀子は、精神を支配されたことで、犯され感じていました。
しかしこのクラインに限っては男根そのものが素晴らしいがために、精神の支配とダブルの快感に麻紀子は襲われています。
そして、つらぬかれた巨根から生じるあまりの快感に、麻紀子は奴隷になることを心の底から願ったというわけです。

そしてこの麻紀子の想いは、本項の最後に一文に結実することになります。

妻のために命がけで闘っている夫を差し置いて、初めは強要されたとはいえ、妻は巨根のドイツ人とのセックスを堪能しています。
竹生島に監禁されていたときも、麻紀子は夫の真庭に見られながら、倉田の男根を舐め、尻の穴を舐め、最後には後背位で犯されて、うれし泣きしながら、いきまくっていました。
貞淑だと思っていた妻が、実は「男根大好きの弩淫乱女だった」姿を見せつけられるは、「目の前でたっぷり中出しされる」場面を見せつけられるは、夫からすれば、たまったもんではないですね。



(29)
その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)

既に紹介済みですが、最後の

その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。

は、特選と東スポでは文章そのものが異なっています。

<東スポ>
その瞬間は、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
<徳間ノベルズ>
その瞬間は、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
<徳間文庫>
その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。”
(※理由推測:東スポ、ノベルズ共に「は」が有ることから、徳間文庫版は編集ミスと思われる。ちなみに、「は」が有ると無いとでは文章の意味が大きく異なってくる。文庫版では、「どうにもならない尊い思いがその瞬間に訪れた(麻紀子が いったとも受け取れる)」訳だが、東スポ版では「今だけクラインの男根が尊く思えた」ことになる。それまで気持ちが悪い対象だったクラインの男根がいまは尊く感じる」ということ。ここにも女性の内面をきめ細かく表現したい、西村先生の意志が現れているのがわかる)






麻紀子はクラインに強姦されているにもかかわらず、巨根を痛がらずすんなり受け入れ、すぐに大きな喜びの声をあげています。
「女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。」という表現は、麻紀子が男根に屈服し、心底から男の奴隷になりたいと考えた瞬間(自我が崩壊した瞬間、あるいは心身とも奴隷に堕ちた瞬間、死ぬまで奴隷でいることを受け入れた瞬間)でもありました。

そして、最後には「男根がどうにもならない尊いもの」=「女にとっての宝・かけがえのないもの」=「奴隷にとってのご主人さまそのもの」と考えるに至りました。
これは麻紀子の精神がクラインの男根に屈服した瞬間でもあり、肉体的にも絶頂に昇りつめた瞬間でもありました。

これ以降、逢魔麻紀子は西独都市ゲリラに救出されるまで、脱出や抵抗など(クラインの殺害を考えることすら)、いっさいの反抗を諦め、男たちの性に仕える事だけを考える性交奴隷になり切るのでした。



最後までの描写こそありませんが、クラインはこのあと、麻紀子を死ぬほどよがらせ、泣き叫ばせ、何度も逝かせたことでしょう。
いつまでたっても逝ってくれないクライン相手に、麻紀子はその巨根のすばらしさを大声で訴え、おのれが屈服することを何度も訴えたことでしょう。
そして、最後には失神にまで追い込まれたのは、いままでの展開からして間違いありません。

クラインは失神して意識のない、そんな麻紀子の膣に悠々と射精をしたのです。

真白くて美しい裸身が意識を失い目の前に横たわっている。
その意識を失わせたのはおのれの男根の威力。
意識のない美しい女は膣に大量の精液を含んだまま、そこを痙攣させています。
クラインがその気になれば、この美しい女はいつでもこの姿をさらすのです。



この征服感、満足感が、やがてエスカレートし、それだけでは事足りず、のちの激しい虐待につながっていきます。



余談ですが、西村作品の中でとくに初期の頃の作品は、かなりのリアリティーを追求しており、それは女性が凌辱されるシーンにも見受けられます。

例えばこの「峠」では、
(30)女は、犯されるにしても性器に変化はない。それに、犯されることに快感は感じない。男はちがった。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項より)

と、麻紀子の感想を引用する形で、「女はただ凌辱されただけでは気持ちいいと思わない」と明確に述べられています。そして、その後の凌辱場面で、麻紀子が感じてしまったときには、その前からの詳細な描写により、麻紀子が精神的に屈服され、その後、肉体も順に征服されていく課程が記載されています。

初期作品と、それ以降では作品全体のテーストがかなり異なる為、一概に比較はできないのですが、このあたりの細かなリアリティー追求(ただエロイからと言うことではなく)が、「個人的」に非常に興味の引かれるポイントです。
皆さんはいかがでしょうか。



イラストは(1)「クラインにパンティを脱がされ、全裸にされる麻紀子」、(2)「クラインに後背位で犯される麻紀子」を描いたものになります。
イラスト(1)の麻紀子はクラインにパンティを脱がされる際、抵抗するようにクラインの手を押さえており、上体がつんのめり、逃げ出すような仕草をしています。
本文中では無抵抗で全裸にされた麻紀子ですが、安岡旦先生のイメージでは「嫌々ながらに脱がされる麻紀子」と「その抵抗を愉しみながら、麻紀子を脱がしていくクライン」が強かったのだと思われます。
イラストのクラインは赤ら顔に描かれ、麻紀子の抵抗を愉しむように卑猥な表情を浮かべています。

(2)のイラストではクラインが後背位で麻紀子を犯しながら、鋭い目でその様子を観察している情景が描かれています。
麻紀子は上体を床につけ、尻を高々とかかげクラインに性器を差し出し、ご主人さまたるクラインに完全屈服しています。
その麻紀子の様子を見ながら、満足げに犯しているクラインの様子が描かれているのが本イラストです。
Scan10154-1.jpgScan10155-1.jpg
★著者:安岡 旦 福田隆義
★販売元:東京スポーツ新聞社 スポーツニッポン新聞社
★この画像は、作者、出版社などの原権利者が著作権を保有しています。
★この画像は、純粋に作品の紹介を目的として、引用しています。
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化石の荒野にイケメンホームレスが登場!? [化石の荒野]

いまさらの話題ですが・・・。

今日、何気に「化石の荒野」を眺めていたら、表紙のイラストに見覚えが・・・。
あれ?
Scan10005 (132x200).jpghomuless (167x200).jpg
あれれ??

左はご存じ、徳間書店 西村寿行選集1の「化石の荒野」。
昭和52年(1977年)11月10日発行の初版本 表紙イラストです。
それに対し、右側は一時期ネットで有名になった「イケメン過ぎるホームレス」です。

中国では「寿行先生」も「化石の荒野」も有名(?)のようですし、このホームレスも寿行ファンの可能性がかなり高いとみた(笑)。
相当に西村作品に入れ込んでいるとみた。
いや、まちがいない。
このイラストのパクリですな、これは。

服装もそうですが、雰囲気といい、表情といい、鋭い眼光といい、とくに髪型といい、お得意の「まるっきりコピー」攻撃です。
30年以上前のイラストまで真似するとは、恐るべし、チャイナ。4000年の味。

でも、彼に聞いたら「このイラストがおれの真似をしているんだ。勝手に真似をするな!」と本気で言いそうですね(笑)。

ちなみに、イラストは本作主人公の「警視庁捜査一課 刑事仁科草介」です。
横山明先生による傑作です。

化石の荒野 (1977年) (西村寿行選集)

化石の荒野 (1977年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1977/11
  • メディア: -



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峠に棲む鬼「イラスト分析22」・・・麻紀子は処女だったのか(後編) [峠]

<独自の解釈なので、不要な方は以下をご覧にならないことをお奨め致します>




さて、本題に戻ります。


男にとって魅力のない裸身ではないとの自負は、麻紀子にある。すらりと伸びた肢体であった。乳房も尻も豊かだ。
(上巻 第二章ライター 2項より)

と、麻紀子が考えているように、これは自惚れではなく、二十五年間、おのれの美しさを磨き上げ、その結果、男たちの視線を浴び、しかし、それだけで済むはずもなく、おそらくさまざまな男たちとの経験を積んできたことで、このような自負(プライド)を持つように至ったのでしょう。

では実際のところ、麻紀子の男性経験はどうだったのでしょう。




「ええ、命令通りになります」
麻紀子はうなじを染めた。この真庭にならこの場に押し倒されてもかまわないと思った。真庭の手が肩にかかるのを待った。
きらめくような何かが脳裡を走った。
(上巻 第二章ライター 2項において)

について、まず考えてみます。

⑥ですが「麻紀子が真庭とセックスがしたい」と、明確に考えた場面です。
「きらめくような何かが脳裡を走り」は、その瞬間、麻紀子が濡れてしまったとも、とることが出来ます。
「男の命令通りになることに喜びを感じる」性癖を、麻紀子自身に表明させ、「麻紀子はマゾ」だと、読者に明らかにしました。
真庭との、セックスの期待に濡れたということは、その気持ちよさを想像できるだけの経験がある、しかもひょっとすると、SMの経験すらあることを、読者に想像させる場面がここです。



このほかに、さらに六カ所、「麻紀子がSM好き」であることを読者に想起させる記述があります。
⑦、⑧、⑨、⑩、⑪、⑫の記述です。


「また縛って、後ろから犯すの」
「そうしてほしければね」
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)


「後ろ手に縛って、犯してもいいわ」
細い声だった。
真庭は起きて手錠を持ち出した。麻紀子を転がして後ろ手に手錠をはめた。そうやっておいて、麻紀子の尻をかかげさせた。麻紀子は逆らわなかった。真庭は豊かな尻の割れ目に唇をつけた、しばらく舌で弄んだあとで、掌を入れた。麻紀子のはひどく濡れていた。かすかなうめき声がきこえた。
「犯してッ、もっと辱めてッ」
小さな叫びを麻紀子はあげた。
悪夢は麻紀子の脳裡にも棲みついていることを、真庭は知った。
(上巻 第五章 白髪の老人 3項より)


蹴りながら、麻紀子は終生、中垣の奴隷で過ごすことになりそうな予感をおぼえていた。それでもよいという気がした。
(上巻 第三章 鬼との対決 3項より)


麻紀子は自分を戦士だと思っていた。報復の闘いに打って出た戦士であった。とらわれて奴隷にされるのは定めの一つとしてしかたがないと思っていた。
(上巻 第八章 虜囚 4項より)


人間は男も女も究極的にはマゾヒストなのかもしれなかった。
(上巻 第九章 孤島 2項より)


スローモーな突きたてがはじまった。
麻紀子は肘をついた。
快感が、体を侵しはじめていた。
それは抑えることのできないものであった。抑えも耐えもできない快感が、性器を中心にして、湧き上がっていた。脳裡にも黒い炎が燃え転がりはじめていた。ああッ、ああッ、と麻紀子は叫んでいた。女は男の、人間は人間の奴隷になり得る生きものだということを、麻紀子は歯を喰いしばりながら、思っていた。
その瞬間、クラインの男根がどうにもならない尊いものに思えた。
(下巻 第十二章 西独 4項より


⑦⑧についてですが、通常、この場面の解釈としてあげられるのは、「真庭と麻紀子それぞれが、中垣たちに受けた凌辱を再現することで、わずかでも心を癒そう(薄めよう)としている」というものです。
実際、真庭は、「すこしでも中和できる方法」として、解放直後の麻紀子を犯しています。

中垣たち組織員に縛られて犯されたことで、このときに麻紀子のマゾの血が目覚めた可能性がないとは言えませんが、⑩にあるように麻紀子は初めから「とらえられたら、男たちの奴隷になる」という発想を持っていました。

そのような発想を持つと言うことは、潜在意識では「男の奴隷になりたいと考えている」と思われ、「殺し屋じみた男たちが、とらえた女をどう扱うのか」をきちんと理解しているということでもあり、さらには、「どのように振る舞えば(刺激すれば)、男のS性を引き出せるか」を麻紀子自身が理解している(中垣に弄ばれて、泪をこぼした場面)、ということです。
つまりは「麻紀子には、マゾとしてのSM経験がある」という解釈も充分に成り立つのではないでしょうか。

そして、西村先生は⑪⑫において、麻紀子自らに、おのれが「マゾヒストである」「奴隷である」と語らせています。

⑥~⑩に、⑪⑫を加えた描写により、「逢魔麻紀子はマゾヒストである」=「SMが好き」=「SMの経験がある」と解釈することが、自然な流れであると思います。




「いまはおまえの体を賞味しよう。すばらしい体だ。充分に愉しませてもらうぜ」
「いいわ」
「いい覚悟だ」
(上巻 第二章ライター 4項において)

つぎに⑬ですが、奥義を究めた武術家といえど、若い女性ですから、初めてのときは「好きな男」としたいと考えるのではないでしょうか。
仮にそれがこのときだとしたら、凌辱されるというのに、処女のくせにあまりにも堂々とし過ぎています。
「命が奪われそうになっているから諦めた」ということもあり得なくはないでしょうが、なにものをも恐れぬこの態度は、逆に考えれば、麻紀子には男性経験が(ひょっとすると、膣内射精の経験すら)あると考えるのが自然な流れです。

このときは潜入調査に臨んでいたわけですから、最悪のパターンとして、とらえられ凌辱されることを想定し、避妊薬を服用していたのかもしれません。
(ほとんどの寿行作品では、凌辱される側の女性に避妊や妊娠という発想が無いのですが、ここでは「ひとりの女性としてどうか?」という観点で、考察しています)

この場合、ここは「いままで大勢の男を経験してきたし、こんなことぐらい平気よ(大したことじゃない)」という、虚勢かもしれませんが、男性経験という裏付けがあっての、自ら覚悟して乗り込んできた態度のあらわれだと推測することができるでしょう。



以上の事柄から、総合して判断した結果、麻紀子は「処女だから痛かった」のではなく、単に「乱暴に犯されることに」、「はげしい痛み」が生じたとの結論が導き出されました。
ろくな愛撫もせず、雰囲気が全く盛り上がらない状況で、無理な体位でいきなり挿入されれば、どんな女性でも痛いのは当然でしょう。



その上、痛かったもう一つの理由として推測できる記述があります。


屹立した男根があった。
麻紀子は引き起こされた。
目の前に中垣の男根があった。中垣が頭髪を掴んで貌を引き寄せた。口を開かざるを得なかった。中垣は何かを割るように突き入れてきた。口が裂けそうだった。
中垣は頭髪を放さなかった。掴みしめたまま、腰を使った。
泪が出た。呼吸困難にもなっていた。なんどか、吐きかけた。喉まで届いていた。
(上巻 第二章ライター 4項より)

よくある黒人の男根にあるような明確な記述こそ無いものの、中垣は巨根だったのです。
巨根の中垣に無理に犯され、はげしい痛みを感じたのでしょう。



結論ですが、あくまで個人的見解ではありますが、「麻紀子には二十五歳なりの男性経験があった」と考えています。
しかも世間一般的な二十五歳ではなく、お誘いや誘惑が多かった分、絶世の美女なりの相当の経験を積んでいたといえるのではないでしょうか。



まとめてみます。
(1) 麻紀子はスタイル抜群の絶世の美女で、平時は女王様気質の性格もあって、男にモテモテだ。
(2) 麻紀子は普通の二十五歳の女性より、多くの性体験をしている。
(3) 麻紀子は名器であるが故に、いままで、挿入から快感をあまり得ていなかった。
(4) しかし、セックスには興味があったので、性の快感を得るためか、あるいは好奇心からか、SMに傾倒していった。
(5) 麻紀子はマゾヒストだ。
(6) 中垣は実は巨根だ。
(7) 麻紀子は名器なので、膣が締まっている。
(8) 中垣には無理な体位で、はげしく犯された。
(9) (6)(7)(8)により、麻紀子は犯されたときに、はげしい痛みを感じた。
(10) 中垣に屈辱的に逝かされて、体が男に目覚めはじめた。
(11) はじめは、中垣の巨根は痛いだけだったが、馴れると巨根が好きになった。
(12) 一日に何人もの男に犯され、そのうち、体が男根に馴れていった。
(13) もともとSMが好きだったこともあり、男の性の奴隷にされることを自然と受け入れた。

イラストは、東スポ版「峠に棲む鬼」第38、39回に掲載された「関東製薬の組織に拉致された逢魔麻紀子が、中垣に凌辱されたときに、いかされた」場面を描いたものになります。
麻紀子の逝き貌を描いた数少ないモノで、安岡旦先生の傑作です。

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峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
  • メディア: -



峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
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峠に棲む鬼「イラスト分析22」・・・麻紀子は処女だったのか(中編) [峠]

後半戦に向かう前、話は少々、横道にそれます。

作中、「逢魔麻紀子は名器」と言うことになっていますが、そもそも「名器」とはいったい何なのでしょうか。



数メートルまで這い寄った二人は、揺り椅子の男二人に狙いをつけた。先方の二人は気づかなかった。声高に喋っていた。
日本女の性器のすばらしさについて、あけすけに喋っている。
消音拳銃がなった。
日本女の性器の話がとだえた。
(下巻 第十五章 報復 3項より)

の場面です。

西ドイツ・フランクフルトにあるヘルバルト社に拉致監禁された麻紀子は、男たちに代わる代わる凌辱されてしまうのですが、そのとき、男たちが仲間うちで喋っている感想がこれです。

これ以外にも、

クラインの男根が尻にあてがわれた。しばらく擦っていて、ゆっくり押し込んできた。
麻紀子は背をそらせた。臓腑にあたりそうなところまで、それは届いていた。
クラインはしきりに何かをいっていた。何をいっているのかは、わからない。両手で麻紀子の尻を抱えていた。
(下巻 第十二章 西独 4項より)



その男は精液を拭えとはいわなかった。あわただしく、尻に乗ってきた。すでに勃起していた。
男が、何かをいった。
「鰐に喰わせるのは惜しい女だと、そういっているんだ」
シュルツが通訳した。
(下巻 第十五章 報復 2項より)



竹生島で、奴隷の麻紀子を抱いたことを思いだした。鍵を造るためではあったが、手錠をはめられた麻紀子を、抱いた。なぜか、そのときの感触が思われた。すばらしい体だった。いままた、その体が凌辱されようとしている。
(下巻 第十二章 西独 4項)



同じとらえるのなら、中垣は麻紀子にしたかった。あの体が、、また抱ける。
(下巻 第十七章 宣戦布告 2項より)

との描写があり、前の二つは「クラインと組織の男がそれぞれ麻紀子の名器を褒め称えている場面」、後ろの二つは「新納と中垣がそれぞれ麻紀子の名器を褒め称えている場面」ではないかと推測しています。


幼い頃から杖術で鍛えあげた肉体。
名器はその副産物と言えるでしょう。

実はわたし自身も、過去に一人だけ、名器の女性に巡りあった経験があります。

彼女はレーサーでした。
彼女の出場していたレースはジムカーナというもので、距離こそ短いものの、レースの基本中の基本というものです。
背格好は中肉中背で、一見、特別何か凄そうなタイプには見えなかったのですが、「わたし、脱いだらすごいんです」(古っ(笑))という筋肉質タイプでした。
その子が名器だったのです。

感想はというと・・・、「すごい(気持ちいい)」のひとことで、それまで(それ以降も)一度も経験したことのない「味」でした。

一言で言えば、中に何かいて、それがギュッと握りしめるんです。
例えると、赤ん坊のような(小さい)手が、中でギュッと握りしめる感じで、先っちょを握られたときは思わず「おっ」と声を出してしまったほどです。
もう少し詳しく言いますと、先っちょも、真ん中も、根本も、それぞれが別々に締められる感じでしたが、一番ギュッとされたのが先っちょでした。

案の定、気持ちよすぎて、あっという間に終わってしまって、こんなすごい体験は初めてだったので、終わったあとで見たら足の指に「クラッチだこ」もあって、「なるほど」と納得したわけです。

経験者の方はご存じだと思いますが、自動車レースは「座席に座ってアクセル・ブレーキを踏み、ハンドルを切るだけ」と言うイメージは間違いで、実は、とんでもなく肉体を駆使するスポーツなのです。
とくにジムカーナは走行中は、座席はあってもほとんど意味をなさず、ずっと中腰でいるのとあまり変わりません。

その状態で、両足でアクセルブレーキの操作、右手はハンドル操作、左手はサイドブレーキ操作と、めまぐるしく同時並行で行い、体には激しい前後左右からのGが襲いかかってきます。
レーシングスーツを着てヘルメットを被れば、まるでサウナで筋トレを行っているのと変わらず、そういうハードな運動をつづけたことで、「クラッチだこ」も出来るほどですから、「名器」は生まれるべくして生まれたと言うべきでしょう。

さて、話はだいぶそれてしまいましたが、逢魔麻紀子は名器の持ち主として描かれています。
それに対して、別の作品で先生は「欧州女のあそこはガバガバで、使い物にならん」と酷評しておられます。

先生の体験談はさておき、膨大な知識の中には「体を鍛えた女性は名器である」との情報がインプットされていたことがわかりました。

そして、男たちが麻紀子を凌辱することにあれほど固執したのは、単に貌や体が美しいと言うだけでないことも、わかりました。

まさしく逢魔麻紀子は西村寿行作品史上、最高の「いい女」だったわけです。


後編へつづく。

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峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
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峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 1978/03
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峠に棲む鬼「イラスト分析22」・・・麻紀子は処女だったのか(前編) [峠]

今回ご紹介するイラストは、「峠に棲む鬼」徳間ノベルズ版「第三章 鬼との対決(東スポ版では第三章は「痕跡」となっている)」になります。
以前、別の機会にご紹介したのですが、場面説明のため、改めてご紹介させて頂きます。



<今回の議題>
「関東製薬の組織に拉致された逢魔麻紀子は、はじて凌辱されたとき、処女だったのか?」という議論が以前、ネット上にありました。


<問題となった記述>
中垣は麻紀子の尻を抱えていた。麻紀子は顔を床につけ、耐えていた。両手を離してほしかったが、それはかなわぬことだった。おそらく、麻紀子が杖術を会得しているのを知っているのだ。
はげしい痛みが股間をつらぬいていた。躱すことも、這って逃げることもかなわなかった。中垣は完全に挿入して、万力のような力で麻紀子の尻を抱えていた。
中垣は、ゆっくり動いていた。動くたびに麻紀子はほおを床で擦られた。性の快感は消えていた。無理な姿勢が、苦痛を限度近くに押し上げている。
「ゆるしてッ、おゆるしになってッ」
麻紀子は思わず悲鳴を上げていた。
中垣は悲鳴を歯牙にもかけなかった。
(峠に棲む鬼 上巻 第二章ライター 4項より)

ここに「はげしい痛みが股間をつらぬいていた。」とあり、それがこの議論の元になった記述です。
「峠に棲む鬼」の表現解釈であるため(ネット上では一応の決着がついたようですが)、この場を借り、当方の解釈を述べさせて頂きたいと思います。



<逢魔麻紀子とはどんな女性か?>
まずその前に、「麻紀子がどんな二十五歳の女性であったのか」を改めて文章中より、まとめてみました。


報道記者も含めて十二人の男が、麻紀子をみつめた。男にみつめられるのは、麻紀子は馴れていた。
(上巻 第一章消えた村 2項より)

麻紀子はいつも男の視線にさらされ、見つめられることに馴れていました。
おそらくは、物心がついた頃から、男の視線を意識してきたのでしょう。
麻紀子の実体験を語る形で、ずばり断定していることからも、麻紀子が常日ごろどのような状況にあったかが、この文章からも推察されます。



その他にも、そのことを記述した箇所がいくつか存在しています。


麻紀子が相手になると、中垣は体の中に電灯がついたように、急に明るく、熱っぽくなったのがわかる。
中垣の視線が麻紀子の横顔を、胸を、そして妄想の中で麻紀子を裸にしているのがわかる。中垣は思いもかけない獲物になかば錯乱気味であった。
手折れるかもしれない美しい女に、のぼせてしまっていた。
(上巻 第二章ライター 3項より)

このときの中垣は演技でした。
しかし、麻紀子を拉致して犯したいと考えていたことは事実でしょうし、その思いがあったからこそ、麻紀子は過去の男たちとの反応違いを見抜けなかったのです。
中垣の例は例外ですが、数多くの男とのさまざまな経験をし、その積み重ねが二十五歳の麻紀子を形成しています。




倉田の視線がねばい。
倉田は麻紀子の面倒をみたがっていた。別のことばでいえば妾である。家も建ててやるという。なんどか打診されていた。
倉田恵治の視線が、逢魔麻紀子の胸から腰にそそがれていた。
視線が麻紀子を裸にしていた。麻紀子には男の渇望のはげしさはわからない。ただ、この倉田の前に裸身を横たえることはないであろうと、それだけはわかっていた。
(上巻 第一章消えた村 4項より)

ここでは、社長の倉田から何度も「お誘い」があったことが述べられています。
自分が勤務している会社の社長から、一軒家(いっけんや)のプレゼントと引き替えに愛人になるよう何度も迫られるほど、麻紀子は美しいのです。
もちろん関東製薬は一流企業であり(おそらく一部上場企業)、その社長が物色しているのですから、都内(それも高級住宅街)の新築一戸建ては間違いなく(文中では「豪邸」とされています)、女性として「億」の価値があることは間違いないところです。
そして、この魅力的な申し出を問答無用で却下するほどですから、麻紀子には社会的地位や資産のあるさまざまな男性陣が群がっていた(モテモテ状態)のだと、推測することができます。




真庭正之は視線を戻して、逢魔麻紀子をみた。蒼然とした歴史に囲まれ育ったにしては、現代感覚に溢れた女だと思った。容貌が知的にととのっている。網膜に裸身が残っていた。あお向けに倒れた裸身が。みごとに伸びた足だった。白い太股から尻に向かっての盛り上がりが消えない。
閉ざされた八百年の歴史が生んだ美しさがあった。
(上巻 第二章ライター 2項より)

麻紀子の魅力は、真庭の記述からも読み取れます。
「タクシーの運転手風情には、手さえ握ることのできない女。億の価値がある、現代感覚に溢れた美しい女」
それが本作の主人公、逢魔麻紀子なのです。



この他にも、文中では

<上巻>
(1) 中年の運転手だった。バック・ミラーの中でさっきからしきりに麻紀子を窃み見していた。
(2)「お客さんのように美しいかたが、こんな山奥の村に生まれたとは、ふしぎですね」
バック・ミラーに面長の白い貌が映っている。彫りが深かった。双眸に湖のような静けさがみえた。お世辞ではなく、本心から運転手はそう思った。
(3)車窓に向いた横顔の、すこしばかりしゃくれ気味の鼻筋が、運転手に自分の氏素性や不運を呪わせた。
(4)麻紀子はジーンズ姿であった。背丈がある。すなおに伸びた足が微風を切った。
(5)兵頭はいきなり麻紀子のような女に遇ったことに、呆気にとられるというか、とまどっていた。
(6)いまはおまえの体を賞味しよう。すばらしい体だ。
(7)この美しい体をこんなふうに弄ばれるとは、想像もしなかった。
(8)殺すには惜しい体だ。とうぶんは弄ぶことになる。
(9)処刑される前に、あの男と同じように、この美しい尻を抱いてはどうだ。
(10)わたしは、君の尊い体がー
(11)真庭は麻紀子の貌を覗いた。街灯の明かりに大きな瞳が炯っていた。仔猫の眸を思わせる炯りであった。
(12)「世話のやけるお嬢さまだ」
(13)「そう。饗応にあずかってはならんと、厳命されている。女の体も、そのうちに入る」
(14)乳房と尻に生命力が盛り上がっていた。凝脂の肌だった。
(15)そのとき、真庭はおのれが死に直面していることも忘れて、麻紀子の尻を無性に美しいと思った。
(16)すらりと伸びた下半身だった。
(17)おまえの、そのすばらしい体を、牡猿が犯すのだ。
(18)つねに、猿に四つん這いにさせられて、そのきれいな尻を、犯される
(19)男は裸をみせろと命じた。麻紀子は男の前に立って、前と後ろをみせた。
(20)おまえほど、きれいな奴隷はいない。猿の女にするのは、惜しい。
(21)すばらしい体だ。太股も、尻も……
(22)わたしは、君が好きだ。君は美しい。その肢体の美しさの前に、わたしは永遠にひざまずいていたいくらいだ。
(23)惚れて惚れぬいた女を、これからはどんなにでも弄べるのだと思う昂ぶりがあるようだった。
(24)わたしは、君にどんなことでもする。生涯、君に尽くす。君は豪壮な家に住み、世界一周でもなんでもできる
(25)自由にできる美しい女奴隷がいるということに、妖しい昂ぶりが湧くようだった。
(26)「きれいだ」
  坂本がうめいた。
(27)「ああ、きれいな、お尻だ」
  坂本が、またうめいた。
(28)薄明かりの中で麻紀子のゆたかな尻が小刻みに突き上げている。真白い尻だった。すばらしく伸びた足が森中の目の下にきていた。膝を突いた、そのふくらはぎに力がこもっている。冷たくて、陶磁器に似た足だった。

<下巻>
(1)麻紀子は背を向けている。若さを示す背筋の凹みが、尻の豊かさが、目の前にある。
(2)それに、女に興味があれば、とびきりの美人を与えよう。
(3)六人の中では、麻紀子がずばぬけて美しかった。どうせ抱くのなら、容貌肢体の美しい女がよかった。
(4)新納がはげしく腰を使った。
  「とても、美しい体だ」
  新納は、はてていた。
(5)新納は麻紀子の耳に口を寄せた。
  「あなたは、美しい」
  その声は大きかった。
(6)わたしは、麻紀子さんに惚れていた……
(7)竹生島で、奴隷の麻紀子を抱いたことを思いだした。鍵を造るためではあったが、手錠をはめられた麻紀子を抱いた。なぜか、そのときの感触が思われた。すばらしい体だった。いままた、その体が凌辱されようとしている。
(8)クラインは、素裸にした麻紀子を立たせたまま、すこし離れて、観賞した。前から、そして後ろから。
(9)麻紀子は背をそらせた。臓腑にあたりそうなところまで、それは届いていた。
クラインはしきりに何かをいっていた。何をいっているのかは、わからない。両手で麻紀子の尻を抱えていた。
(10)麻紀子はふつうの女とはちがう。武芸者である逢魔高時の娘だ。杖術の奥義を会得している。気性もそれなりに強い。
(11)麻紀子は失神しかけていた。体中に青黒い筋が走っていた。筋は、豊かな乳房にもある。
(12)欧州の女にはない肌理のこまやかな、なめらかな肌だ。殺すことも犯すことも、好きほうだいにできる肉の女。
(13)「鰐に喰わせるのは惜しい女だと、そういっているんだ」
(14)日本女の性器のすばらしさについて、あけすけに喋っている。
  消音拳銃がなった。
  日本女の性器の話がとだえた。
(15)同じとらえるのなら、中垣は麻紀子にしたかった。あの体が、また抱ける。
(16)麻紀子は、野萩広子の傍にうつ伏せた。
「二人とも、なんともいえねえすてきな尻だぜ」
 だれかが、笑った。
「そう、みごとな尻だ」
(17)「おめえの体は、たっぷりと抱いた。いい尻だったぜ。
(18)陽が麻紀子の裸身の影を長くひいている。
均整のとれた、美しい肢体だった。陽にくるまれて、肌の生ぶ毛が明るい金色に輝いていた。
(19)麻紀子は無言だった。裸身が動いた。白い尻の隆起が陽の中で動いた。髪が躍った。豹のように麻紀子は草原を疾っていた。
(20)髪と乳房が躍っていた。陰毛がはげしく動いている。白い裸身が迫っていた。豊かな腰だ。
(21)死を前にして、杉本は麻紀子を、ふっと、神格化した。裸身が、この世のものではないような気がした。

と、今回、説明用に取り上げた記述以外に、上巻で28、下巻で21の、麻紀子の容貌肢体を褒め称える記述が散見されます。
1.美貌の持ち主、2.豊かな乳房、3.美しい体、4.美しい尻、5.すばらしく伸びた足、6.肌理のこまやかな、なめらかな肌(凝脂の肌)、7.名器の持ち主、8.均整のとれた美しい肢体、9.白い裸身、10.はげしい気性  等、数え上げたらきりがありません。

日刊紙を途中から見た読者にも、スムーズに内容を理解させなければならないということもあるのでしょうが、逢魔麻紀子が「西村寿行作品」史上、空前絶後、究極の「いい女」であることが、この記述数からも読み取れるでしょう。


<逢魔麻紀子とは・・・まとめ>
体術や武術を学んでいて、強い。それなりに気性がはげしい。美貌。抜群のスタイル。豊かな乳房と尻。背が高い。長い足。色白で肌がきれい。名器・・・。

映画で麻紀子を演じてほしい女優さんを強いてあげれば、「米倉涼子」かな・・・(あくまで、個人的見解です。ファンの方、すみません)。


長いので、後編へつづく。

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峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈上〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
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峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

峠に棲む鬼〈下〉 (1978年) (西村寿行選集)

  • 作者: 西村 寿行
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